計画錯誤の罠: たすくの失敗 (なぜ見積もり通りに進まないのか?)
煩悩:おい、随分長く机に張り付いているじゃないか?まだ、タスクは終わらないのか?
たすく:うるさい。今はな、煩悩に振り回されてる状態じゃないんだよ!
1日で終わると見積もったタスクがあれや、これやでもう3日もかっちまった。見積もりが甘かった。だからって、煩悩の誘いに乗るわけにはいかない。これは明日までに仕上げなければならないからな。
煩悩:そうか、今は俺の出る幕ではないということか。「自己欺瞞」を呼ぼうか?
たすく:言い訳考えてる余裕もないんだよ。明日提出しなければ、プロジェクトの進捗に影響する。もっと、余裕を取っておけばよかった。
たすくは終わらないタスクにイライラしていた。煩悩、自己欺瞞もたすくにすり寄る状況ではない様子である。
タスクの見積もり通りには進まなかった。
未来の行動の時間、労力、予算を予測することは難しいのであろうか?
見積もりが予定通り進まない理由とその考察
世の中のプロジェクトの多くが見積もり通りに進まないことはよく知られており、特にITプロジェクトにおいては約80%が失敗すると報告されています。また、全体のプロジェクトに関するデータでも、約70%が目標を達成しないとされています。このような状況は「計画錯誤」として知られており、プロジェクトが当初の計画通りに進行しない主な原因にはいくつかの要因があります。
では、プロジェクト、タスクが予定通り進まないのでしょうか?
理由
不完全な情報: 初期段階で必要な情報が揃っていないため、見積もりが不正確なまま見積もる。
予期しない問題: プロジェクトの途中で予期しない問題が発生することがあります。例えば、技術的な障害、外部要因(天候、規制の変更など)、人員の欠如などが考えられます。
楽観的な見積もり: 過度に楽観的な見積もりは、実際の所要時間やコストを過小評価する傾向があります。これにより、予定が大幅にずれ込むことがあります。
経験不足: 類似のタスクやプロジェクトの経験が不足している場合、適切な見積もりを行うのが難しいことがあります。過去の経験がないと、時間やリソースの適正な配分ができません。
コミュニケーション不足: チーム内および関係者とのコミュニケーションが不足していると、重要な情報が共有されず、見積もりの精度が低下します。情報の齟齬が生じることで、計画に遅れが生じます。
変更要求: プロジェクトの途中で新たな要求や変更が加わることで、初期の見積もりが変更されることがあります。これにより、追加の作業や調整が必要になります。
リソースの問題: 必要なリソース(人材、機材、予算)が不足している場合、見積もり通りに進行するのが難しくなります。リソースの確保が不十分だと、予定通りの進行が阻害されます。
これらの要因が相互に重なって計画錯誤になってしまうのですが、では対策としては。
対策
余裕(バッファ)の設定: 見積もりには10〜20%の余裕を持たせることで、予期しない遅れや追加コストに対応できます。これにより、計画のずれを最小限に抑えられます。
リスク管理: 予期しない問題に備えてリスク管理を行い、リスクの特定と対応策を考えます。リスクが発生した際に迅速に対応できるよう、事前に対策を講じておきます。
現実的な見積もり: 楽観的ではなく現実的な見積もりを行い、バッファを含めることが重要です。現実的な見積もりにより、計画の信頼性が向上します。
経験の活用: 経験豊富なメンバーの意見を取り入れ、過去のプロジェクトから学んだ教訓を反映させます。これにより、見積もりの精度が向上します。
コミュニケーションの強化: チーム内および関係者との定期的なコミュニケーションを確保し、情報共有を徹底します。情報の共有により、計画の齟齬を防ぎます。
変更管理: プロジェクトの変更要求に対する明確なプロセスを設定し、変更が発生した際には見積もりの再評価を行います。これにより、変更に柔軟に対応できます。
リソースの確保: 必要なリソースを事前に確保し、リソースの不足を防ぐための計画を立てます。リソースの確保により、計画通りの進行が可能になります。
結論
プロジェクトが見積もり通りに進まない理由は多岐にわたりますが、適切な計画と管理を行い、柔軟に対応することで、見積もり通りに進行する可能性を高めることができます。計画錯誤を避けるためには、現実的な見積もりとリスク管理、そして余裕を持たせることが重要です。
たすくは、プロジェクトに関する情報不足にもかかわらず、また未経験分野のプロジェクトであったにもかかわらず、楽観的且つ自分の優秀さを誇示するために、短めに見積もってしまった。たすくの個人的、感情的、性格的なことが大きな要因でしょう。
結果的にプロジェクトに遅れをもたらしてしまっては、未熟要素が露呈されていまい逆効果になります。
プロはできることと、できないことの見極めができることが一つの要素ではないでしょうか。
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