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Have a lunch - Challenges by Ms Thandeka

テンデッカちゃんに初めて会ったその日、面接が終わって、大家さんが車で彼女を自宅まで送って行くのに私もご一緒させていただいた。

「テンデッカ、何が食べたい?」

帰路はちょうどお昼を過ぎた頃で、彼女は大家さんにスパーでハンバーガーが食べたいと答えた。南アフリカでよくみかけるファストフード店で、以前友人が彼女の誕生日会をしてくれたレストランだと言っていた。高級ステーキハウスで研修生のポジションをつかんだ彼女だが、レストランで食事をした経験は数えるほどしかない。

不愛想なおばさんがレジで注文を取り、驚くほど待たされて、生温いチーズバーガーが出てきた。ハンバーガーに限らず、南アフリカはオペレーションがのんびりしていて、人手があるのに皆楽しそうに談笑していて全く回転している気配がないことがよくある。回転したらもっと収益が増えてサラリーが上がるかもとか、お客さんを待たせないようにしようとか、そういう概念があまり一般的ではないのかもしれない。

大家さんはソースを抜いてほしいといったのにソースがたっぷり入っていると少し残念そうだった。テンデッカちゃんはピンク色のサイダーを片手に大ぶりのビックマックみたいなのとポテトをペロッと平らげて、バーガーは美味しかったけど、ポテトは塩辛くてあまり好みではなかった、とこちらも残念そうな表情だった。

このなんというか、おっと思った最初の出来事だった。面接のセッティングから住むところ用意、これから3か月間研修中のサラリーの補填までサポートしている大家さんが厚意でご馳走してくれたランチに対して、好みではなかったと、とても素直にありのままの残念な感想がむしろ新鮮だった。

テンデッカちゃんの挑戦は続く。

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