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『昼の顔は現役大学生』未来の模索中に出会った街中スナック
2023年4月から街中スナック京都店のマスターを務めている村上翔太郎さん。昼の顔は現役大学生。勉学や課外活動、アルバイトをしている中で、街中スナックの存在を知り、コンセプトにビビッときて、マスターになることを決意したという。そこにはどのような経緯と想いがあるのか?インタビュー形式でお届けいたします。
1999年生まれ、大阪府大阪市出身。
中学時代は剣道に打ち込む。高校では一転、生徒会に入り、最終的には生徒会長を務めた。
高校卒業後、フリーター期間を経て京都文教大学臨床心理学部に入学。臨床心理を学ぶ中で、地域福祉に興味を持ち、現在は就労継続支援B型事業所「三休」でインターンシップをしつつ、街中スナック京都店でマスターをしている。
幼少期時代から、自分の思いに真っ直ぐに
_それでは、インタビューを始めさせていただきます。よろしくお願いします。
村上:はい、よろしくお願いします。
_まず最初に、村上さんはどんな幼少期を過ごしてきましたか?
村上:幼少期は大阪の下町で過ごしたのですが、外で遊びまくっていたらしいです(笑)両親からよくそうやって言われます。公園で遊んだり、家と家の隙間を探検したり、忍者ごっこしたり・・・ 4つ下の弟がいるのですが喧嘩もたくさんしていましたね。
_なるほど、そうだったんですね。
村上:そういう幼少期を過ごしてきたので、周りからは落ち着きないって良く言われてましたね(笑)
_落ち着きないっていうのは、公園で走り回っているやんちゃな少年のようなイメージですか?
村上:それもそうなんですが、電車で降りていく人たちに手を振ったり、街ですれ違う知らないおじちゃんに話しかけに行ったり、思いついたらとりあえずやっちゃうみたいなところもあったんですよね。
ただ、自分からぐいぐい行くのは得意ですが、逆に相手から来られるとすごく緊張してしまうところもあります。それは昔も今も変わらず、ですね。
_そういうことですね。可愛らしい少年だったんですね!
ひとつのことに打ち込む楽しさを知った中学時代
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右から3番目が村上さん
村上:それから、中学3年間は神奈川の横浜で過ごしました。中学時代はもうひたすら剣道をやってましたね。
_おお~なるほど、強豪校に行かれてたんですか?
村上:いえ、弱小校だったんですが、部員全員が本当に熱心な部活だったんです。1日3回練習も参加率100%でしたね。強豪校のように設備が整っていたわけではないのですが、剣道が好きで、もっと上手になりたくて、勝ちたくて、全員で一生懸命やっていたのがとてもいい思い出です。
_とても素敵な思い出ですね。青春の1ページですね。
村上:そうですね、部活が全ての中学時代でしたね。
相手から来られると緊張してしまう性格に加えて、大阪から転校してきたこともあり、転校生の注目を浴びながら周りと打ち解けるのには緊張もしましたし苦労もしましたが、それが気にならないぐらい剣道に打ち込んでました。
_そんなに剣道に打ち込めたのは、何か理由があるんですか?
村上:今考えれば、理由は2つですね。1つは自分がひとつのことに集中するタイプだから。何かに打ち込むことが好きなんだなと今となってはそう思います。そしてもう1つは、中学生になる前に両親が離婚をして寂しい思いをしていたので、剣道に打ち込むことで紛らわしていたんだと思います。
剣道で培った経験を次は生徒会で活かす
_そういう理由があったんですね。高校でも剣道を続けられたんですか?
村上:いえ、続けませんでした。続けたいとは思っていたんですが、紆余曲折あり、生徒会に入りました。
_え、生徒会ですか?それはどういうきっかけで?
村上:最初は剣道部に入りたいと考えていたのですが、強豪過ぎて入ることが出来なかったんですよね。それで最初はフラフラしていたんですけど、やっぱり何かしたい!という気持ちが強くて。そこで先生からおすすめされた生徒会に入りました。生徒会自体よく分かってませんでしたが、何もしないよりはいいなと思って。結局、高校時代は剣道に代わって生徒会一色でしたね(笑)
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手前右側が村上さん
_そうだったんですね。高校生になると帰宅部も良くある選択肢だと思いますが、なんで「何かしたい」と思ったんですか?
村上:ん〜、打ち込めるものがないとシンプルに楽しくないなと感じていたからです。
_それは共感できますね。一生懸命になれるものがあるのは嬉しいことですよね。
ちなみに、生徒会は実際どんな感じだったのでしょうか?
村上:ここでもさまざま紆余曲折があり、結果生徒会長もやることになりましたが、反骨心が支えになって最後までやり切ることができました。
_反骨心?詳しく聞かせてください!
村上:従来の生徒会を変えたいって気持ちが強かったんですよね。先生の使い走りになる生徒会が嫌いで嫌いで(笑)
だから生徒会長になったのも自分から立候補したわけではなく、立場的に自分しかいないとなって引き受けましたが、生徒会の在り方を変えたい!という思いに従って突き進むことができました。
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右から2番目が村上さん
_そうだったんですか、生徒会でも熱く過ごされてたんですね。実際に生徒会長としての役割はいかがでしたか?
村上:まずは楽しかったですね。そして周りとの接し方にたくさんの学びがありました。
_どんな学びだったんですか?気になりますね。
村上:自分の考えを整理して言語化しないと後輩の理解を得られないことを痛感したり、先生の立場を考慮しつつ、こっちの言うことを聞いてもらうためにどうしたらいいかのかを必死に考えたり。校則を変える交渉もしていたので、時にはしっかりと強く主張したり。
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_なるほど、貴重な経験ですね。その時に学んだことがその後の大学や今の生活に繋がっていることは何かありますか?
村上:全部繋がってはいるのですが…とりわけ強いのは、大学やお店などどんな組織にいても自分の役割を客観的に考えることは癖付いているなと感じます。
自分で考え行動することで、未来の可能性に向き合い始める
_それは、この先の人生でも絶対に必要な観点ですよね。その後の大学はどういった学部に進学されたんですか?
村上:実は、大学に進学する前に高校卒業してから1年間フリーターをしました。そこで改めて自分自身と向き合う中で、今までの人生でキツイことや逃げ出したい局面に出会った時に乗り越えられたのは親身に寄り添ってくれた先輩や先生の存在があったからだということに気が付くタイミングがあって。じゃあ、その親身に寄り添う職業は何かと考えた時に、カウンセラーだなと思ったんですね。
そこから周りにいる大人に「カウンセラーや臨床心理を学ぶなら、どこの大学がいいか」と聞いて回った時に、1番に名前が出たのが今通っている京都文教大学でした。
_そういう経緯があったんですね。実際に大学で学んでみてどうでしたか?
村上:1番印象的なのは、正直大学の授業ではないのですが(笑)、学部の繋がりで知った「地域連携学生プロジェクトREACH」というプロジェクトです。
福祉のさまざまな問題を解決する活動を地域と連携しながら行なっています。
実際の課題と向き合うことで、机上の勉強だけでは見えてこないリアルな現状について自ら考えられたのは、とても良い機会だなと感じています。
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_なるほど、実際に自分で足を動かした実践的な学びが面白いなと感じたんですね。
では、そのひとつとして街中スナックの存在があるのでしょうか?
村上:はい、その通りです!
未来の可能性のさらなる模索中に出会った街中スナック
_そうだったんですね。街中スナックのマスターになることを決めたきっかけをもう少し教えて下さい。
村上:拠点づくりに特化した場所に身を置きたいと思ったことがきっかけですね。
REACHでの活動を通して、「福祉と街づくりをどう繋げるのか」という視点にとても興味が出てきたんです。
ただ同時に、街づくりというのは多くの人にとっては意識が高いテーマになりつつあって、そのハードルをどう下げるかが街に根付いていく上で重要だと考えました。
そんな時に聞いた代表の田中さんの「僕らはスナックで街づくりをやっています」という言葉だったんです。もう、とにかく刺さりました。これだ!となりましたね。
_いいタイミングで街中スナックを知ったんですね。
ちなみに今まで飲食店で働いた経験はありますか?
村上:居酒屋のバイトぐらいですね。
_そうなんですね、となると居酒屋で言うと店長の立場である街中スナックのマスターになることに不安などはなかったですか?
村上:不安になる前に、まず驚きました!不安になる余裕すらなかったというか…(笑)
実際にお店に立ってみて、どう感じているか
_相当驚かれたのが伝わります…(笑)
そんな中、4月からお店に立たれてると思うのですが、実際どんな感じでしょうか?
村上:SNSの運用や、お金の管理、メニュー開発など慣れなくて迷っているところもありますが、カウンターに立つということには思いのほか抵抗がなく楽しんで立てています。
マスターとしてお店の運営を自由にやってみようと託されたこともあり、ワクワク感の方が強いのが本音です。
ただ、まだ慣れていない細かい業務も多いので、そこに早く慣れてお店をより良くしていくことにもっとエネルギーを使えるようにしたいなと考えています。
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_素晴らしい心意気ですね。お店に立っていて、楽しいなと感じる時はどんな時ですか?
村上:個人的には、年上の方とたくさんお話をする機会が日ごろは少ないので、自分の人生において勉強になるお話が出来る時はとりわけ良い刺激を感じていますね。
さまざまな人生の先輩とお話をすることで、自分が今までの人生で培った考えの答え合わせになったり、軌道修正にもなるなと感じています。
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_それは街中スナックならではの楽しさですよね。逆に苦労していることはどんなことですか?
村上:2つありますね。
1つは、年上のお客様が多いからこその楽しさがある一方で、お話をする時のカジュアルさとフォーマルさのバランスはまだまだ難しいなと感じています。
もう1つは、商売としてお店の利益を追求していくことです。今までは生徒会やREACHなど利益追求しない活動をしていたので、お店を運営していく上での考えがズレてしまうことが多いんです。そこのシフトチェンジをしっかり定着させていきたいと思います。
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楽しさと苦労を同時に感じている
理想像はお客様同士が自然と繋がれるハブのような存在
_マスターとしてとても重要なことですね。今後の成長がさらに楽しみです!
そういった成長を踏まえて、村上さんはどんなマスターになっていきたいですか?
村上:実はですね、あんまり喋らなくていいマスターになりたくて・・・。あ、サボりたいってことではないですよ(笑)
お客様同士が自然と繋がれる様な居場所を提供出来る様になりたいんです。僕からのお声掛けは多くはない中で、お客様同士が繋がって盛り上がるっていうのが理想。
僕はひたすら「このお客様ってこんな人なんですよ、お隣さんはこんな方で」って言って楽しそうに会話をしているお客様たちを見ていたいな、なんて思っています。
_村上さんの温かい人柄こその理想ですね。素敵です!
村上:”ここに来たら新しい繋がりや面白い出会いが絶対ある、楽しくて居心地も良くて間違いない居場所”としてお客様に認識してもらえるように頑張りたいです。
_応援しています!それでは、最後にこれからママやマスターになることを考えてる人へ何か一言お願いします。
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現役大学生マスター村上さんから、これから仲間になるママ・マスターたちへ
村上:今までの人生で培ってきたことを実践して試す場所として、とても良い場所だと思います。僕みたいに、街づくりや福祉の領域だけではなくて、ビジネスや商売、コミュニケーションなどなど複合的な要素が絡まって出来上がっているのが街中スナックなので、今までの領域をさらに深めながら、プラスして幅広い知識や経験が身に付くと思っています。
ぜひ、一緒に楽しみながら街中スナックを盛り上げていけたらと思います!