デザイナーのアウトプットには30年かかる(その2)
みなさん、こんにちは。デザイナーのもじゃもじゃです。
デザイナーのアウトプットについての続き(その2)です。
前回(その1)では、やっぱり見た目も大事なのよ。でもそのためにはすごく努力してます。
ということを書きました。
今回は、僕がそう考えるキッカケになった大きな出来事を書きます。
金網に叩きのめされた夜
ある商業施設のインテリアを担当した時のこと。
見せ場となる柱を装飾するために、周りにおしゃれな金網をカーテンのように垂らして柱を巻き、ライトアップして、さらにそれをガラスの柱の中に閉じ込めようとしたことがありました。
金網のメーカーをいくつか探して、サンプル取寄せて、イメージ通りだったので発注。
ところが施工された柱はひどいものでした。あまりの酷さに、たまたまその場に居合わせたクライアントさんが、ガラスをはめるのを止めさせて「本当にこれでいいの?」って電話してきたほど。慌てて見に行くと、カーテンのようにおしゃれな感じでかかってるはずの金網は、あちこちがからまりぎしぎししてて、想像以上の汚ならしさでした。
金属のネックレスとか時々変にからまっちゃって取れないときあるじゃないですか、あれが脚元から天井まで2.5m、柱一面にへばりついてると思ってください。
こんな風に絡まるなんて、全く想像できていませんでした。だってサンプルではシャラシャラ〜ってしてて、レースのカーテンのようになびきそうだったんだもの。それが間違い。
10センチくらいのサンプルを見て、それが2m以上になった時のことを想像もせず、検証もせず、ついでに夜間現場も、見せ場の柱にも関わらず大丈夫だろうとタカをくくって立ち会わず、、、全然努力が足りてなかったのです。
その時社長に叱られた時の言葉はきっと一生忘れません。
「おまえ、もの作ることにもっと真剣に向き合えよ。」
完膚なきまでに叩きのめされた感じでした。いかに本気で向き合ってなかったのか、小手先だけでデザインした気になって、自分事として捉えられてなかったのか。
それ以来、ものが出来上がるときにはひたすら考えて突っ込んで手を動かして、自分にできる努力をおしまないように心がけています。もちろん案件ごとにかけられる時間は違いますが、その時できることはとことんやるつもりでいます。
見た目をとことん突き詰めるのがデザイナー
僕が失敗から学んだのは、成果物、つまり見た目が大事といっても、なんかちょっと見栄えのいいもの、レベルではなく、手を尽くして考え尽くして、自分の経験を全てさらけ出して見た目を気にしなくてはいけないのだということです。そうしなくては見た人の心は動かない。想像以上に重い「見た目」なのです。(もっとも僕の失敗はそれ以前のレベルですが、、)
ちなみにその金網は完全には直せず、ガラスに半透明のフィルムを貼ってなんとなく中がキラキラしてるガラスの柱、とごまかす事で許してもらいましたが、本当にデザイナー人生を変えるほどの大きな失敗でした。(ちなみにこの現場他にもトラウマだらけで、ほんとうに沢山のことを学ばせてもらいました。寛容に接してくれたクライアントさんには感謝しかありません)
デザイナーの目とアーティストの目
さて、そうやって考えると、デザインは問題を解決するための知恵。というのがデザインの本質で、デザイナーは知恵を使って何かの問題を解決する人。と繰り返しお伝えしてきましたが、成果物を作る過程のデザイナーは、ちょっと違うかもしれません。
どうやら自分をさらけ出す、アーティストとしての目が必要です。この時だけは問題を解決するデザイナーの目と、内なる想いを開放するアーティストの目がごちゃごちゃになりながら、対象に超近づいてみたり、ものすごい俯瞰でみたりしながら、自分のエゴと冷静さをぶつけ合いながら、モノを形にしていかなくてはなりません。そうして時には変態的だったり執念を感じさせるような作業の末に、あるべきものはあるべき形に、余計なものは極限まで削ぎ落として、デザイナーの成果物は生まれます。
よく、逆に1周回ってこれだよね。とかいったりしますが、
僕に依頼されたあなたの会社のロゴは100周回って、ただの◯になったのです。(タイトルのイラストね(笑)でもこのイラストは間違ってるんでそれは次回直します。)
さて、ここで実は重要な点がもう一つあります。言うてもあなた、100周も回れんの?ってこと。次回はなぜ100周まわれるのか。というお話をしたいと思います。
それでは、また。
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