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デザイナーのアウトプットには30年かかる(その3)

こんにちは、デザイナーのもじゃもじゃです。
デザイナーのアウトプットについての続き(その3)です。

前回(その2)では、僕の失敗経験から学んだ、見た目にこだわるならハンパ無くこだわる(1周回って、ではなく100周回る)いうことを書きました。

その3では僕が思うデザイナーに不可欠なことは何かを書きます。

100周回るのは、言うほど簡単じゃない

依頼されたロゴを考えるのに100周くらい回りますと書きましたが、
同じことぐるぐる考えてるわけじゃありません。色んな視点でものを見て、色んな方法で形にして、トライ&エラーも繰り返して100周です。これ簡単じゃないです。じゃあ、なぜ出来るのか。
それはデザイナーはデザイナーという生き方を送っているから。

・デザイナーってやっぱ元々持ってるセンスが違うからね。
・いやー僕はデザイナーさんみたいな才能ないから。

なんて、よく言われますけどね。まずこれが間違ってます。
センスも才能も、努力である程度身につきます。よく見せるための理論やセオリーもあるんです。つまり、教育の場で学べるのです。最近はネットでもゴロゴロ転がってますから、独学だってある程度学べます。これだけで、まあ、職業デザイナーって名乗れる人もいるでしょう。頑張れば何周か回れるでしょう。
しかし、ここから大きな違いがあると思ってます。

デザイナーという生き方

僕は、職業ではなく、デザイナーという生き方になった時に、本当に自分がデザイナーと言えると思っています。
例えば花屋でチューリップを見てきれいだなーと思ったとしましょう。
今こそ聞きます。なんで?なんでそのチューチップはきれいなの?
(チコちゃんw)
僕は多分無意識に考えてます。あ、このチューリップ花のつき方の角度が絶妙で茎の長さとのバランスいいな、あとこのつぼみから少し開き気味の状態だと花びらのエッジが綺麗な丸みなんだよねー、そっかチューリップの隣にカラーがあるからカラーの白とチューリップの黄色が映えるんだ、大きさ感も揃ってて統一的なイメージになってるなー。この花屋さんディスプレイ上手いなーとか。
(答えはチコちゃんぽくない)
こんなのを24時間やってます。いや、それはウソだけど、何か心が動いた時、何がこの花をきれいに見せてるんだろう。という目で見てる。意識的にスイッチ入れて考えてみることもあるけど、大抵なんとなく考えちゃう。常に一歩踏み込んで物事を見てしまったり、そうなってる仕組みが気になって仕方なかったり。
この、美しさや、こころがなぜ動いたかを、なんとなく考えちゃうのがデザイナーという生き方ではないかと思います。努力もするけど、無意識に支えられる部分がとても大きい、生き方に「なっちゃった」のです。
そうするとどうなるか。生活しているだけで、頭の中にものすごい量の引き出しが出来ます。毎日沢山のタネが詰まっていくのです。100周回れるだけの体力が身に付くのです。

ピカソの30秒

誰もが名前くらいは知っているであろう偉大な画家ピカソ
彼には有名な逸話があります。

ある日、彼の大ファンだという女性に、絵を描いてと紙を渡されました。
ピカソはそこにさらさらっと絵を描き、女性に渡してこう言いました。
「この絵は100万ドルです」
驚いた女性は言い返します。
「だってあなたがこの絵を描くのにたった30秒しかかかってないじゃないですか」
ピカソは
「お嬢さん、それは違う。30年と30秒だ」

30年画家として積み上げてきた技術や経験があるからこそ、30秒で素晴らしい絵が描けるという話です。さっきのデザイナーという生き方の話しも同様で、それだけの蓄積があるからこそ100周も突き詰めて考えることができるのです。僕もデザインの道に入って30年以上経ちます。まあ、僕の30年ではピカソの100万ドルには遠く及びませんけどね。

はい、ようやくタイトルにつながりました。デザイナーのアウトプットには30年かかりますが、それは30年後ではなくてこれまでのデザイナー人生、僕の場合は30年分乗ってるんですよーというお話でした。

そんなわけで

三回のまとめ

・デザイナーは心を動かすようなモノを作る。
・やっぱり見た目も大事。でも、中途半端はダメ、ハンパなく大事。
・デザイナーとは職業ではなく、生き方である。

3回にわたって、デザイナーのアウトプットについて書いてきました。なんだかんだ言って、見た目は大事なんですが、文章の長さからも、並々ならぬ思いの強さを感じていただけたのではないでしょうか。
また、自分のエピソードもお伝えしました。これからも自分の経験などを交えながら、デザインの話を続けていきますので、わかりやすい、とか、参考になる、と思った方はぜひフォローやスキをお願いします!

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