■東京新聞の「天皇」の扱い
マスコミってナニ?(23)
ニュースの存在を考える 「マスコミへの道」改
◇沖縄復帰式典で「お言葉」
15日は沖縄の本土復帰50年記念日だった。翌16日は東京で発行される大手新聞6紙のうち、日経を除く5紙がそれを1面アタマ(トップ)で扱った。
そのうち、記念式典の様子を伝える写真で、「天皇陛下」が大型モニターでオンラインであいさつする様子を載せたのが読売、産経、そして日経(扱いは1面カタ=2番手)だった。
朝日、毎日は天皇が入った写真は社会面など別面で載せていたが、東京新聞が最も天皇の扱いが小さかった。各紙は「天皇陛下の『お言葉』」として、あいさつ全文を載せていたのに、東京は1面本記の中にカギカッコで説明するだけ…という対応だった。各紙は「天皇陛下の『お言葉』」として、あいさつ全文を載せた。東京は1面本記の中にカギカッコで説明し、他のあいさつ文と一緒に、別面で地味に「お言葉」を紹介。載っていないのか、と思ったほど。
※本記事初稿で、東京新聞に天皇のお言葉全文掲載なし、と書いたのは誤り。よく見たら載ってました。名古屋の中日新聞を1日遅れで見たら、お言葉全文が載っていたので、16日付東京新聞を見直して気づいた次第。
東京は反権力、反体制の報道姿勢を改めて示したようでアッパレ…である。
紙面の政治的色合いを右から説明すると、反共・親米・皇室バンザイの産経、それに準ずる読売、本当はどうでもいいんだけどとりあえず批判をしない日経の順に並ぶ。朝日は皇室内でシンパが多いので冷ややかに皇室報道をしているようで、実はかなり丁寧に報じており、毎日がこれに続く。東京新聞は名古屋の中日ではこんな扱いはきっとしていないと思うのだが、この数年ますます左寄りになっている、と感じる。
そうした報道姿勢で、確実に読者を獲得しているとは思うので、それはそれで結構なことである。それでいいと思う。
新聞にはそれぞれのカラーがあり、読者はそれを選べるのだから、どんどん好きなように報道すればよいのだ。
みんなが右ならえする必要はまったくない。発行部数がどんどん減る中、そうしたカラーの違いはどんどん出していかざるを得ないだろう。
東京の報道姿勢に怒る人も、産経のそれに怒る人もいなくていいのだ。
それでも、もう新聞は読まれないのだけれどね。
※写真は5月16日付の読売と東京の1面」
2021年2月19日の「■われわれはマス「ゴミ」ではない!」から60本にわたって書き綴った、マスコミ界歴35年の筆者が、改めてマスコミ(新聞、出版、放送)界と社会、世界について書き綴る。マスコミ志望者必読。