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■「南海トラフ地震の真実」こそ協会賞にふさわしい

マスコミってナニ?(68)ニュースの存在を考える 「マスコミへの道」改

◇中日・東京新聞もひっそりこっそり

昨年8月に出版され、菊池寛賞なども受賞したノンフィクション「南海トラフ地震の真実」を図書館で借り、遅ればせながら読了。

政府や各自治体、防災関係者らが大騒ぎを続ける南海トラフ地震の発生確率は、都合よく水増しされたものだ、と同書は訴えている。
中日新聞や東京新聞紙上では5年前、2019年に連載された記事がベースとなった本だが、新聞連載時にはさほど注目されず、単行本になり、賞を受けるなど注目を浴びて東京新聞などでは当時の記事を再度掲載するなどした。しかしその後も、本格的に後追いするマスコミもないまま今日に至っている。

先日、朝日新聞が「自民党派閥の裏金問題」で新聞協会賞を受けたことに、もやもや感を覚えると書いたが、中日・東京新聞記者の小沢慧一氏こそ、協会賞に値する仕事をしたんじゃないか、と思う。

そんなことを思っていたら、先月30日に優れたノンフィクション作品に贈られる「第23回新潮ドキュメント賞」を同書が受けたということを知った。その記事は、ネット上では東京新聞にしか載っていなかった…。中日・東京以外の紙の新聞がこれをベタ記事ででも紹介したのかどうかは不明だが、いずれにせよ改めて注目されるような扱いはどこのマスコミもしていないだろう。
「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が先月8日に発せられ、1カ月たっても何も起こらず、なかったことになっている。ならば、「南海トラフ地震の真実」が再度注目を集めてもよさそうなものだ。
その中日・東京新聞にしても、自社の立派な特ダネに遠慮しながら、腫れ物に触るような扱いを続けている印象を受ける。

結局のことろ、国や地方、防災関係者ともマスコミは同じ穴のムジナなのである。
防災への関心が減ることは、マスコミにとっても関連のビジネスチャンスを減らすことにつながるのだ。
結果的に、地震が起きるのか起きないのか。今生きている人間が死ぬまでに起きなければ、いったい何だったのか―という気もする。

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