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詩人宣言Ⅷ
闇の中を走る自転車の群れ
僕はどこに向かうのか
駅からどこかへ向かっているようだが
街道をへて
自分の家に向かっている
とも
思えたが
暗い道。夜中。
自転車の群れはそれぞれに
ライトで道を照らしている
誰と一緒に走り
どこへ向かおうとしているのか
わからない。
隣に、聡がいた。やつもペダルをこいでいる
確か、小学校の時にはやつだけ自転車がなく
いつもみんなの後を、走りながらついてきた
その
やつが、隣にいるやつが、無言でペダルをこいでいる。
僕もまた、言葉を発することなく、ひたむきに足を回す
夜が明けない
闇の中を足を回し続ける。
ライトは前を照らすが、届く先は短い
周りに何があるのか
どこへ向かおうとしているのか
わからない。
集団の中
闇夜の中
僕は、まだペダルをこぐ
一人 またひとり
と
左に 右に
軽く手を挙げながら
道を折れていく。
集団の数は減っていき
隣にいた聡も消えた。
まだ
僕はペダルをこいでいる
不安を抱えたまま
そして、
詩をつづっている。