【とやままちなかコンシェルジュ】まちの人々 vol.6
建築からはじまる“営みのデザイン”
studioSHUWARI Inc.
種昻 哲さん
建築物は本来無機質なものですが、そこでくつろいでいたり、美味しいものを食べたり、仕事をしていたり、人々が生活している様子が感じられるような、どこか生きた温もりのある空間に出会うこともあるでしょう。そんな空間には、やはり惹かれてしまうもの。
建築家の種昻哲さんが手がける建築には、まさにそんな温かさを感じる空間が広がっています。
種昻さんは、富山県上市町の出身。県外の大学卒業後は富山の設計事務所に勤め、その後名古屋のデザイン事務所で働いていました。
居酒屋、レストラン、住宅、ショールーム、オフィス、とジャンルレスに様々なインテリアや建築の設計を経験し、その経験が独立した現在の、自由で柔軟な発想の源泉になっているのだと言います。
富山で独立してからは、建築業界にとどまらず、和紙やガラス、鋳物など、ものづくりにかかわる人との出会いが多くなったそう。
そういった人たちから受けるインスピレーションや、日々暮らしていく中で見えてくるまちの風景も、設計のアイデアやヒントに。
例えば、路面電車沿いにある種昻さんの事務所1階につくられたシェアキッチン「RAIL SIDE TABLE」。
プライベート空間がセミパブリック空間になり、路面電車を通じてまちとつながるイメージで設計されたこの空間。路面電車のある風景だからこその発想から生まれました。
料理教室、ワインイベント、会議やパーティーなど、様々な使い方がされていて、この場所で集まったあと路面電車でまちへ繰り出す、といった動きも出てきているそう。
この空間が路面電車と接続し、人とまちをつなげるきっかけになっているのです。
設計することは、そこで生まれる営みもデザインすること。
種昻さんの頭の中には、富山のまちで新たな人の動きを生み出すアイデアがたくさん詰まっていて、どんなものが形になっていくのか楽しみに見届けていきたいです。
――あなたにとって“まちなか”とはどんな存在ですか?
「富山のまちなかには、自分たちでも何かできそう、と思わせる余白があると思います。
建築をデザインする時も、イベントなどを企画する時もまちの『使い方』や、まちへの『開き方』を意識しています。」
「建築デザインの話、住まい、お店、働く場所、お酒、カフェ、まちの使い方、イベントなどについてお話ししましょう。」
建築、設計に限らず、アイデアを形にしたり、行動を促したり、まちをデザインすることに面白みを感じて活動されている種昻さん。
建築や空間デザインに興味のある方はもちろん、まちで暮らし働く魅力を知りたい方は、ぜひお話を伺ってみてください。