<THINK AGAIN から(1)> 第8章「平行線の対話」を打開していくには、から
アダム・グラント著「THINK AGAIN」を読んで、いろいろな気づきがあった。そこで自分でまとめるついでに少しづつ内容を紹介しようと始めた。
複雑な問題の「本質」に切り込んでいくために
複雑なことをシンプルに伝えられるとわかりやすいとよく言われるが、複雑なことは複雑であって、そう簡単には単純化できない。複雑であるということをちゃんと伝えるが、表現は考える必要がある。複雑性を伝える、グレーゾーンを大切にする。急速には拡散しないけど。
〇 複雑なことを伝えるには、表現の工夫が必要。
複雑なことは単純化しないで複雑であるということをしっかりと伝えることを恐れない。専門家が不確実で不明な点を認めると、人は驚きその問題の本質に注目するようになる。そのためには、表現の方法が重要になる。
例えば、温暖化のような複雑な課題では、グレーゾーンを中心に討論すべき。そうすることで、「なぜ温暖化が問題なのか」ということではなくて、「どんな措置が具体的に必要なのか」に意識が向くようなる。
「どのように」と問いかけることで分極化が緩和され、積極的行動のための建設的な話し合いが展開できるようになる。
「多様性はよい。だが、複雑でもある」といったメッセージを受け取った時、人々は多様性を受け入れ、推進するようになるという。事実の複雑性を認めることで、話し手や書き手の説得力が損なわれることはない。むしろその主張の信ぴょう性が増し、視聴者や読者の関心を高め、好奇心をかき立てる。
〇 建設的な対話では、自己の感情を下書きやたたき台のように処理する。新しい展望を得るたびに何を感じるかが変わる。
激しい論争や討論が行われている時に、この本で紹介されている4つの思考モード(※)で考えると、牧師のように説教しようとしたり、検察官のように主張したり、政治家のように立ち回っていると、複雑さは「不都合な真実」に思えることもあるだろう。
しかし、科学者の視点で考えるとそれは「刺激的な真実」と言える。
現実が複雑であるということは、知性を獲得して、進歩を続けるための新たなチャンスだからだ。建設的な対話の過程で自分の仮説を検証し、時にははじめから自説を考え直すことさえある。
〇 選択肢が白か黒しかないと、中立的な立場にいる人は、問題について考えることも関わることも拒否するようになる。
選択肢が白か黒しかないと、「私たち」対「あの人たち」という思考になってしまって科学的に考えるよりも勝ち負けに関心が向けられてしまう。
そうすると中立的な立場にいる人は、問題について考えることも関わることも拒否するようになってしまい、大多数の人の行動意欲が失せてしまい、他の人が何もしないのに、なんで私がやらなくてはいけないの・・・、となってしまう。
今回は、複雑な問題を複雑だと認めて、手間がかかるけど単純化しないでしっかりと対話の中から考えていこう、それによって多くの人が複雑な問題を考えていくようになる、ということを取り上げてみた。今後もこの本の内容をまとめて、取り上げていく予定。
※4つの思考モード
・科学者的思考とは、自分の仮説に自信を持ちながらも謙虚さを持ち、他の事実にも目を向け、そこから新たな発見が生まれる、それを繰り返していくというもの。
・牧師的思考は、信念がぐらついている時に、理想を守り自説は正しいと相手を説教しようとする。
・検察官的思考は、相手の間違いを見つけてそれを明らかにするために論拠を並べる。
・政治家的思考は、多くの人の支持を得ようと立ち回る。
・この3つの思考モードに入ると、それぞれの行動に没頭して、自分の見解が間違っているかもしれないなどと再考しなくなる。
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