【深堀りインタビュー】2023年7月着任 在宅診療医 在原房子先生
今年度の7月にまちだ丘の上病院の新しい在宅診療医として、在原房子(ありはらふさこ)先生が着任してくださいました。
本記事では在原先生のご紹介をするとともに、魅力をたっぷり伝えていきます。
▼訪問看護リハビリステーションヨリドコの紹介はこちらの記事から
ー 自己紹介
名前:在原房子(ありはらふさこ)
出身:北海道札幌市
資格:内科認定医 家庭医療専門医・指導医
北海道では、読書会や写真展の開催など、医療とは異なる文脈の活動も行っていました。
趣味、好きなこと:観葉植物を育てること、ラジオを聞くこと、筋トレをすること、読書すること。おじいちゃんおばあちゃんが大好きで札幌では訪問診療中に撮りためた写真を集めて写真展を開催しました。
苦手なこと:暑さも寒さも苦手で、関東の夏の暑さとクーラーの寒さに参っています(泣)。同じことを繰り返すこと、変化がないことが苦手で常にワクワクを探しています。いつでもワクワクする方に進めるように心と体の余裕を持っていたいと思っています。
性格:基本的には楽観的で性善説で生きています。石橋は最低限叩けば、あとは渡ってみればどうにかなると思っています(笑)
問題の根っこに思いを巡らせたり、相手の行動の背景にある価値観などを知るのが好きです。理想に向かって道を切り開いていくというタイプではないですが、その分流されてたどり着いたとしても置かれた状況を最大限楽しもうと思っています。まちおかとの出会いもまさに流された先に縁やタイミングが重なったものでした。この出会いを最大限楽しもうと思います!
― 在原先生のこれまで(医師を目指したきっかけなど)
「一人で自立して生きていけるように」という考えから、医師を目指しました。「人の命を救いたい」や「絶対に◯◯科の医師になりたい」という明確な意志もなかったため、初期研修終盤で同期の医師が続々と進路を決定していく中、進路迷子になってしまいモラトリアム期間として総合診療科で勉強することにました(笑)
その過程で「家庭医療」に出会いました。家庭医療では、臓器や疾患にフォーカスを当てるだけではなく、生活背景、家族、生い立ち、地域など、様々な視点から患者さんの全体を捉えることが求められます。家庭医療の幅の広さと奥行きの深さに面白みを感じました。
また家庭医療の視点から、患者さんを多角的にサポートしようと思うと、医師一人で診ることはできません。ともに働くスタッフのサポートが必要で、チーム力が診療の質に大きく影響します。チーム作りや教育など、医療だけではない幅広い分野に医師として関わることにも面白さを感じました。
ー 在宅診療の道へ進んだきっかけ
病棟や救急の現場で勤務していた際に、「◯号室の◯◯病の人」という呼び方に違和感を感じるようになっていきました。
そんな中、家庭医療研修の一環で在宅緩和ケアのクリニックに研修に行く機会がありました。その時に、在宅では「患者」であることはその人のごく一部でしかなく、あくまでも「生活者」であると感じました。
「生活者」である相手に対して、自分自身も人として関われることがとても新鮮で居心地良く、今まで感じていた違和感や息苦しさが和らいだのを覚えています。
また、在宅では治療のために患者さんの生活を変える・指導するという視点ではなく、一人ひとり異なる生活や想いに合わせて創意工夫を凝らして治療をカスタマイズすることが求められます。
疾患の治癒・コントロールだけではないオリジナルのゴールを見つけて目指していくことがとても面白いと感じています。
ー まちおかを選んだ理由
出会いは本当に偶然でした。これまで紡いできたご縁が繋いでくれたと感じています。
まちおかは、自分を医者としてだけでなく人として面白がってくれる場所だと感じました。
多くの組織では在原本人ではなく医師としての在原を求められます。まちおかでは、医師である前に在原本人に関心を持ってくれたことが嬉しかったです。
また見学に来た際に、想いを持ってまちおかで働き、自らの言葉で語ってくれるスタッフに多く出会い、より魅力に感じました。
ー 在宅診療で大切にしていること
患者さんと一緒に生きること、生きる力を邪魔しないことを大切にしています。
医師―患者という関係を越えて人と人として関わり、ともに喜び、ともに悲しめる関係でありたいと思っています。
一方で正しい医療知識をもって病気の予防や治療を提案することや、適切なタイミングで予後などの今後の見通しをお伝えすることなど、医師にしか出来ない役割があることは忘れてはいけないと常に心に留めています。
またこれまで在宅診療を行ってきた中で、人には上手に生きる力、そして上手に最期を迎える力があるのではないかと感じる場面に多く遭遇してきました。
医療はその力を発揮してもらうためのサポート手段であり、ついつい治療することが目的となって彼らの力を邪魔することがないようにと気をつけています。
ー まちおかでやりたいこと
今までは札幌という都市部を中心に勤務をしてきており、あまり「地域」という感覚がありませんでした。まちおかでは、一人ひとりの患者さんに向き合うことに加えて、地域にある病院、地域に根ざした在宅診療がどのような役割を担うべきか、広い視野を持ちながら診療をしていきたいです。
また、まちおかでは病院、訪問看護どちらのメンバーも心理的距離が近く、柔軟な人が多い印象があります。顔の見える関係性だからこそ、仲間と丁寧に対話を重ね、柔軟でシームレスな診療をしていきたいです
ー どういうチームにしていきたい?
自分たちの医療、自分たちのチーム・メンバーに誇りをもって働けるチームでありたいです
そのためには、医師、看護師、リハビリ、ソーシャルワーカー、事務などそれぞれの専門職が対等にそれぞれのプロフェッショナルを発揮できる関係性や環境が必要と思います。
また、スタッフ同士の仲がいいことは職場の雰囲気作りにはとても大切な要素とは思いますが、「仲良し」であることのために意見が言い合えないチームではもったいないと思います。
お互いの意見や考え方が異なるときでも尊重しあい、意見を言い合える、「仲良し」を超えたより豊かな関係性でいたいと思います。
ー どんな人と一緒に働きたい?
訪問診療に限らずですが、医療の現場ではイレギュラーなこと、理不尽なことに多く出会います。その中でも訪問診療では、病い・老い・死に接する場面が多く、そんな現場では、正義感や使命感だけではのりきれないしんどいことがたくさんあります。向かい風の中でもユーモアを持って一緒に面白がり工夫して乗り切れる人と一緒に働きたいです。
また、在宅の現場では、医療や介護の文脈だけで1つの正解にたどり着けるわけではありません。関わる人それぞれが、様々な価値観を持ち寄って、現時点での最適解を探していく必要性があります。だからこそ、「それは医者が決めること、それは家族が決めること」と他人事にせずに、一緒に悩んでくれる人と働きたいです。
ー メッセージ
始まったばかりでまだまだ小さく未完成ではありますが、一緒に悩んで考えて、そして面白がりながら在宅診療部を作っていく仲間を募集しています。地域に根ざした、体温が感じられる在宅医療を一緒に楽しみましょう!
ー 仲間を大募集
現在、常勤訪問看護師と常勤訪問診療同行看護師(立上げメンバー)を募集しています。見学、オンライン面談は随時受け付けています。
お気軽に遊びに来てください。