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私の芝居日記 10号 「子供の時間」

「子供の時間」(文化座)
作:リリアン・ヘルマン 
翻訳:常田景子
演出:西川信廣
音楽:池辺晋一郎
出演:佐々木愛 / 新井純(客演) / 米山実 / 小谷佳加 / 高橋美沙 /
姫地実加 / 大山美咲 / 松永佳子 / 若林築未 / 大鳥鈴乃 / 市川千紘 /
深沢樹 / 神崎七重 / 五味佐和子 / 原田琴音
日時:2021年10月16日(土)14:00~16:30
劇場:東京芸術劇場シアターウエスト(東京池袋)

芝居には当たりハズレがあります。昔、余りにもつまらなく途中で劇場を出たこともありました。でも、稀にとても良い芝居に出会うことがあります。
今回はそんな良い芝居です。長生きして良かったと思いました。

アメリカのマサチューセッツ州郊外が舞台。学生時代からの親友だった二人の女教師は苦労の末に女子校を立ち上げる。女学校は地元の裕福な婦人が後ろ盾となっていた。
女学校に在籍していたその婦人の孫娘がついた嘘が学校と女教師二人の人生を崩壊させる。「二人は恋人、同性愛者」という嘘。それを信じた夫人が女学校の父兄にそれを伝え、学校は窮地に追い込まれる。
後日、孫娘が嘘をついていたことが判明し、婦人は心から謝罪するが、すでに女学校に生徒は1人もいない。女教師の一人は、同性であるもう一方の女教師にプラトニックな恋心を抱いていたことを告白し自殺する。こんなストーリーです。

胸が苦しくなるような舞台。嘘をつく孫娘を演じた原田琴音の演技も見事で舞台から引きずり落としたい衝動に駆られました。(苦笑)
リリアン・ヘルマンの戯曲が良い。ストーリーも台詞も秀逸です。
女教師カレン・ライトを演じた高橋美沙が格別。絶望的に悲しい芝居を美しく演じる。美しいから伝わってくる絶望感。その台詞を聴き、姿を観ているだけで胸が熱く苦しくなりました。こんな経験は滅多にありません。
米山実、姫地実加、佐々木愛 、 新井純らも素晴らしく、濃密なセリフ劇を堪能しました。
こうした優れた演劇を80年間続けてきた劇団文化座に感謝したい。
では、またお会いしましょう。さようなら。

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後記:日曜洋画劇場」
「子供の時間」のチラシを読むと、昔見た映画のストーリーとそっくり。50年以上前にテレビ朝日「日曜洋画劇場」で観た「噂の二人」のストーリーと同じなんです。50年以上前に同性愛を扱った映画。衝撃的な内容だったのではっきり覚えています。
調べてみると。原作はリリアン・ヘルマンの「The Children's Hour(子供の時間)」。ブロードウェイの舞台で評判となり、1961年に映画化され、1962年に日本で公開された時の邦題が「噂の二人」。「子供の時間」と「噂の二人」は同じだったんです。監督はウィリアム・ワイラー、主演はオードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーンです。
「日曜洋画劇場」では「噂の二人」が放送された1969年に「鉄道員」、「十二人の怒れる男」、「理由なき反抗」、「草原の輝き」といった名作が放送されています。
私は日曜の午後9時の放送を楽しみにしていました。伊豆の片田舎に暮らす少年が洋画に触れる唯一の手段だったんです。
「噂の二人」を観たのは14歳の時。今回の芝居は52年目の邂逅といったところでしょうか。感慨深いです。

大人の時間2

池袋にある東京芸術劇場










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