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私の芝居日記 1号 「母と暮らせば」

こんにちは。マチノワジョブの山本です。
初めての記事となります。よろしくお願いします。
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私は伊豆の片田舎に住んでいたので初めて芝居に接したのはテレビ。NHKの教育チャンネルで観たつかこうへいの「戦争で死ねなかったお父さんのために」でした。テレビで芝居を観るというハンディキャップを楽々と乗り越えて迫ってくる、そんな凄い芝居でした。演劇鑑賞会に入っていた若い頃には青年座や文化座といった新劇もよく観ていました。また、知人が役者をやっていたので小さな芝居小屋にも通いました。ミュージカルにはまって帝国劇場にも通いました。そして、齢を重ね65才。どんな暮らしぶりをしようかと考えている時、故人となった著名な映画評論家の淀川長治さんが「食事を削っても、芝居を」と言っていたことも思い出しました。これからは、質素な暮らしの中で芝居をいっぱい観ようと思っています。
この体験を伝えることで、コロナ禍、鬱屈とした日々を送っている方に新し楽しみを見つける手助けになればと思います。

私の芝居日記1号
「母と暮らせば」(こまつ座)
作:畑澤聖悟
演出:栗山民也
演者:富田靖子、松下洸平
日時:2021年7月10日(土)17:30~19:00
場所:紀伊國屋ホール(新宿)
戦後間もない長崎が舞台。被爆し、原爆の後遺症に怯える助産婦の福原信子と爆死し幽霊となって母親の前に現れた息子浩二の二人だけのお芝居。
医学生だった浩二は市街地にあった長崎医科大学で被爆し爆死する。死んだ息子浩二が幼いころから住んでいた自宅に幽霊となって現れる。生き残った母親と二人で楽しかった運動会の話、好物だった特製おむすびの話、母親が助産婦になった理由、医大進学の話、そして浩二が語る壮絶な爆死の話と続く。市井の人々の慎ましく穏やかな生活が一発の原子爆弾が奪い去る様を芝居は見せてくれます。
当日はコロナ禍にもかかわらず、紀伊國屋ホールは満席で、幕が下りるとスタンディングオベーション。私も立ち上がって拍手。二人とも出ずっぱり、喋り続けの90分。熱演でした。母親役を富田靖子、その息子を松下洸平が演じています。松下は朝ドラで注目された若手俳優。この芝居の初演にも出演し、幾つもの演技賞を取っています。この二人、芝居が終わったら、へとへとで、楽屋で一息、二息して家の帰るんだろうなと想像してしまいます。
この作品はこまつ座「戦後 命 の三部作」の一つ。もう一つの作品「父と暮らせば」も5月に上演されています。
原子爆弾がもたらす惨事の実態を知ることは被爆国の国民である我々の責務ではないか。原子爆弾の廃止廃絶の道筋が見えない今、是非、多くの人々に見てもらいたい芝居です。

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