『とことんやさしい工作機械の本』Mother Machineってなに?
『今日からモノ知りシリーズとことんやさしい工作機械の本』は2011年10月20日日刊工業新聞発行の4名の方の共著書です。
mother machine? お母さんの機械?これは工作機械のことで、日常生活の中ではあまり表に出てこないケースが多いと思います。しかしながら、最近では一部の大手メーカーは番組のスポンサーの一つになって、自社のPRコマーシャルをだしているところが増えつつあるようです。
工作機械は、機械を作る機械(mother machine)といわれており世界のモノづくりを支えています。ただし工場の中で活躍しているので、そこで勤務したり、働いている方以外はそのマザーマシンである工作機械を見ることは少ないです。
われわれが日常使っているスマホも元をたどればマザーマシンで加工された中の部品やケース、などで完成されて、わたくしたちの生活を便利にしてくれています。
今回一つの事例でご紹介する機械があります。『高精密レーザー加工機』です。強力なレーザー光は太陽の光を虫眼鏡で集めて紙を焦がすのと同様に、レンズやミラーで集光することにより、材料表面を局所的に数千度まで加熱でき、溶解、蒸発、あるいは昇華させることができます。
今までは板金の切断や曲げ加工、溶接、焼き入れなどの素形材加工に使われてきました。最近は精密加工の領域でもどんどん用いられるようになってきています。
我々の生活で身近な例で挙げますと、医療の部品でステント(血管を広げる機能 https://www.cvi.or.jp/chiryou/shinshikkann/20190516_17.html)という部品があります。ステントにお世話になった方、お世話になっている方もおられるかもしれませんが、体内に入れる医療器具で直径2~4mm程度の網目状の細い管になっています。
狭くなった血管や尿管を広げて流路を確保するための部品です。これを機械加工で形成することはとても困難ですが加工では、加工反力がほとんど生じないため微小な部品を形作ることができます。
あくまでも一例で、他にいろいろなマザーマシンがあります。日本ばかりでなく、欧米、台湾、韓国、中国製のマザーマシンがその用途の目的と精度に応じて活躍をしています。
ちなみに筆者はこの業界のニッチなマザーマシンのメーカーに勤務していました。ホーニングマシンというマザーマシンを海外に販売し、彼地で販売されたマザーマシンが今もなお活躍して、現地の方々が喜んでいる報告を受け大変嬉しく思っている次第です。