別府リトリート1/ファンタジーの温泉へ
羽田から飛行機に乗った。
携帯電話を持っているか何回も確認した。
前回の沖縄リトリートでは携帯電話を空港に忘れたからだ。
(※『スマホなしで沖縄旅行を過ごしてみた』も読んでくださいな)
飛行機が飛んだ。
あまりにも順調で逆に怖い。
前回がハプニングだらけだっただけなのだけれど。
忘れ物もなさそうだし、電車も飛行機も時間通りだし、急患も出ないことに驚きを隠せない。
ポンコツの道を走るわたしとしてはあり得ない事態だ。
そして、小心者なので思ってしまう。
いや、こんなもんじゃない。こんな落ち着いたリトリートがあってたまるか。
こころの予防線だけはしっかり張っている。
きょうからQUANTAのリトリートに再び参加する。
移動の間、なんとなく今の気持ちをリアルタイムで残しておこうとパソコンを開いた。
今回のテーマは「王の帰還」だ。
ロードオブザリングみたい。
そう思った人はわたしだけではないはず。
およそ1ヶ月半くらい前だったか、リトリートの参加条件にうっかり当てはまっているのを、うっかり知ってしまった。
また参加しないといけないんだ・・・!!
わたしが王などと全然ピンと来ないんだが。
申込んだあとから「条件に当てはまってたけど、今回は参加しない」というTweetを何件か見てびっくりした。
申込みまでの数時間、助走が必要ではあったが「参加しない」という選択肢が自分にはなかったことに。
わたしはずっとサポート役が得意だと思っていた。
学生の時は、副部長、副会長など二番手の役回りが多く、仕事もアシスタントや助手や誰かの隣で翻訳と解説とツッコミと拡張をすると誉められた。得意だと思っていた。
それが今度は「王」になるらしい。
思い返すのは3月。
沖縄でのリトリート。
「あんな、ちゃんとわかるように言うとくけどな、あんた相当ポンコツやで。そろそろ自覚、頼むで。」
と始まって早々に言われた(だいぶ意訳です)。
「そうは言っても、ポンコツの中ではまだマシな方ですよ〜。人のサポートとかもできますし」と思っていた。
だがしかし容赦無く主催者全員から「ポンコツ」に向ける温かい眼差しを浴びた3泊4日だった。
ナイフとフォークで丁寧に解体されるチキンのような気持ちからはじまったが、最後はすごく楽で居心地がよかった。
そうしてようやく自分でも認められたし、今では進んで「ポンコツ」を名乗っている。
ありがたい。(?)
何度もいうが別府のリトリートでは「王」になる。
ポンコツだけど、王。
王なのに、ポンコツ。
相反するようだけど、どちらもわたしのことらしい。
これは一度どっぷりファンタジーの温泉に浸ってみるのもいいのかもしれない。
ファンタジーの中なら、何にでもなれる。
「王になるわたし」を思い描くには、それくらいの距離がある。
今までの物語をしばし預けて
「本当はどんなわたしでいたい?」
それを問いかけることになりそうだ。
窓から見える山がなだらかで良い。
大分の気温は東京とさほど変わらないようだけど、ほんのりあったかい気がしてる。そしてわたしはちょっと緊張している。
(羽田空港から大分空港を経て、ホテルまで移動の車中より)