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まち+COMEETUP_帰国生のリアル

こんにちは!
2024年6月15日に、帰国生のリアルを紐解くまち+Co MEET UP!が開催されました。

今回のゲストのお二人である床井愛実さん檀上穂香さんは、高校生限定イベントに参加して神薗議員と知り合い、その後神薗事務所のインターン生として活動することに!お二人とも帰国生で、帰国生教育の現状に問題意識を持っているという共通点もあり、本イベント開催に至りました。

海外にいた頃や帰国後の生活・学習、保護者との関わりや進路選択についてなど、当事者目線でのお話をたくさん伺いました。以下、大学生インターンの根本がリポートします!

目次

はじめに〜行政目線でみる帰国生教育〜

神薗:私はマニュフェストの一つに【多様な子どもたちが、心地よいと思える学びの環境へ】を掲げており、その中で帰国生や外国ルーツの子どもたちのフォローアップ体制の強化も目指しています。

帰国生の人数

渋谷区のデータを他自治体と比較してみると、人口規模が同じくらいの文京区、港区、武蔵野市、目黒区などに比べ、帰国生が少なく、小学校の帰国生の数は特に少なくなっています。

この一因として、渋谷区の区立小学校や中学校では帰国生向けのケアがほとんどなされていない問題が挙げられると思います。他方、世田谷区や武蔵野市、目黒区などは、授業面のみならず生活面なども含めて、しっかりしたサポート体制を構築しています。

渋谷区では今後、同じようなニーズを抱えている外国ルーツの子どもたちと帰国生を、対象としてまとめる方向で、サポート体制の構築にあたりたいと思っています。現在、提案のフェーズに入っており、今後も政策実現に向けて取り組んでいく予定です。

Q1.ゲスト自己紹介/今、何してる?

床井:こんにちは、床井愛実です。今年の春に高校を卒業し、現在はギャップイヤーを取っています来年アメリカのスミス大学に進学予定です。
現在は主に、こちらの議員インターン活動とアルバイトをしています。また、教育分野では無料塾の運営を行っており、今月その代表を引き継いだところです。他にも色々と活動しています。

檀上:皆さんこんにちは、檀上穂香です。現在、かえつ有明高等学校の3年生です。約4年間イギリスに滞在し、昨年の8月に帰国しました。今は主に、神園さんのもとでインターン活動をしています。総合型選抜の受験を控え、地元の児童館でのボランティア活動や、教育格差のテーマに取り組むための活動もしています。本日はよろしくお願いします。

Q2.いつ、どの国でどんな経験を?

神薗:では、最初に住んでいた国とそこでの経験について具体的なエピソードかをお聞かせください。

床井:私はシンガポールのインターナショナルスクール年長の年齢で入学し、その後マレーシアのインターナショナルスクールに通い、再びシンガポールのインターに戻りました。海外にいった当初は日本語しか話せない状態だったからか、最初の2週間は何も話さなかったそうです。その後1ヶ月ほどで英語を話し始め、やがて日本語と英語の両方が第一言語のようになりました。

現地では有名な観光地に行ったり、マラソンに参加したりと、活発に活動していました。親に決められたわけではなく、合唱やプログラミング、粘土アート、テニスなど様々な習い事にも積極的に挑戦しました。親が唯一干渉してきたのは、日本語の本を読む習慣をつけるための塾に通わせたことくらいで、この経験は帰国後も活きたので感謝しています。

海外生活で特に印象に残っているのは、大規模な誕生日パーティーを開催したことです。親が企画してくれて、ジャングルジムを貸し切って50人ぐらいでパーティーをしました。現地でできた友達とは直近でも会ったくらい、ずっと関係が続いています。

檀上:私は2019年の11月(中学校1年生)から2023年8月(高校2年生)までイギリスにいました。そして、一つの国内にいながら現地校とインターナショナルスクールの両方に通いました

当時、英語がほとんど分からない状態で現地校に入りました。英語がネイティブでない子のための取り出し授業があったものの、公立の現地校よりも私立のインターナショナルスクールの方が圧倒的に英語教育のサポートが手厚かったため、そちらに転校することを決めました。インターはコロナ禍でのオンライン対応も迅速でした。

また、現地校は同じ人種が多い学校で、私はアジア人として良い意味でも悪い意味でも目立っていました。学校生活の中で差別に直面することもありましたね。言語面も含め、居心地の悪さを感じていたのが正直なところです。その点、インターナショナルスクールは文字通り国際的で、色々なバックグラウンドを持った子たちと出会うことができました。英語を習っている途中の子も多く、サポートが手厚いため、結果的に私は転校して良かったと思っています。両方の学校を見ることができたのは、貴重な経験でした。
弟は、私と違って現地校でうまくやっていたので、学校と合う・合わないは本当に人に寄るのだと思います。

英語が全然わからなかったため、最初はホームシックがひどかったです。しかし、母が手作りで日本料理を作ってくれ、家では日本語を使っていたので、それが本当に精神的な助けになりました。

イギリスの学校は休みが多く、その際にイギリス国内やヨーロッパにたくさん旅行に行き、貴重な経験ができました。欧米では家族の時間を大切にする文化があり、日本にいた時よりも長く家族の時間を過ごすことができたのが良かったです。
私は本当にコロナのど真ん中に行ったので、慣れない土地で不安なことが多い中、家族と共に過ごせたのは大きな支えとなりました。

Q3.帰国後の学校選択や生活は?

床井:私は帰国後、地元の公立小学校に戻りました。海外にいた頃から夏休みの間は日本に戻って学校に通っていたこともあり、いじめもなく楽しく過ごせました。小学校時代の仲間たちとは今でもみんなで遊ぶほど仲が良いです。
珍しいと思うのですが、私は補習校に通っておらず、日本語での勉強には苦労しました。通っていたインターナショナルスクールもかなりゆるかったので、基礎学力が身についていなかったんです。でも、小学校の先生が個別に丁寧にフォローアップしてくれて助かりました
その後、中学受験をして大妻中野に進学しました。同じ帰国生の兄が公立校の英語の授業とはどうしてもレベル感が合わず、もっとやりたい勉強をするために私立に入ったことから、私も中学受験をする運びになりました。
進学先でも、問題文の英訳をもらうなどして学校でサポートを受けながら学びました。ただ、日本語力を培う機会が家族間の会話のみだったので、国語への苦手意識はずっと強かったです。

英語力の維持については、海外の友達と連絡を取り続けるため、自主的にYouTubeや映画で楽しく勉強を続けました。学校でもオールイングリッシュの授業やアカデミックな英語を扱う授業があって良かったです。学校生活では、どうしても帰国生と一般生の間に壁がありましたが、帰国生同士のクラスは仲良くやっていたと思います。

檀上:私は高2の途中でかえつに編入しました。受験では英語の作文、日本語の作文、面接をやりました。TOEFLに似た難しい試験や英語のグループ面接があり、特殊な試験だったと思います。補習校ではなくjobaやenaのロンドン校に通って対策しました。インターに日本語の先生がいて、アカデミックな日本語に触れる機会が確保されていたのも良かったです。
元いた学校に戻ることも可能でしたが、帰国生のクラスがあると高いレベルの英語の授業を受けられるし、境遇が同じ友人が多い方が安心できるし、学校側も帰国生へのサポートに慣れていると思ったので帰国生が多い学校に編入することを決めました。

かえつは帰国生も一般生もみんな仲が良く、英語と日本語混ぜて話していても「海外かぶれ」みたいな扱いをされることもありません。授業は講座型でなくアクティブな対話を重視しているので、生徒同士もお互い話しやすく知りやすいのが良い雰囲気の土台にあるのかなと思います。帰国生と一般生が入り交じる状況に慣れている人が多いのも、みんなが仲良い理由だと思います。
英語で哲学について学び対話する授業などでも英語力が培われますし、普通の授業に追いつけるように、帰国生用の補習もあります。
また、親とは進路で険悪になることもなく、私のやりたいことを全部応援してサポートしてくれるのが本当にありがたいと思っています。

神薗:海外にいながらどのようにして学校を選びましたか?

檀上:ロンドンの塾からの情報や先に帰国した友人から聞いた話をベースに、インターネットで情報を集めたり、一時帰国の際の限られた時間で学校説明会に行ったりして学校を選びました。

参考:帰国生の中学受験

Q4.高校後の進路選択〜海外大か国内大?受験方法は?〜

神薗:床井さんは海外の大学、檀上さんは国内の大学にチャレンジする選択をしたわけですが、それぞれ理由を教えてもらえますか?

床井:私が海外大の受験を決めた一つの理由は、帰国生が比較的少ない高校に通う中で、インターの時のように一クラスにさまざまな国出身の人たちがたくさんいるような環境を恋しく思ったからです。日本の大学で行きたいところがなかったので、世界に目を向けてみようと調べ始めたのもきっかけでした。

スミス大学はLGBTQコミュニティに力を入れており、人種の多様性もあります。白人が多めですが海外経験がある学生も多く、留学生も多数いるので、多様な背景を持つ人々と交流できます。女子大学ですが他の大学とも提携しており、その大学の授業を取れたり、学生と交流できたりするのも魅力です。

人数が少ないからこそ卒業生のネットワークも強く、小さい大学にしては資金力もあります。アメリカ人に言えば100%通じるような著名な卒業生も多く日本人コミュニティも強いんです。それがスミス大学を選んだ大きな理由です。

神薗:入試に際し、塾や学校のサポートなどありましたか?

床井:海外大受験専門塾などに通わず、学校にも前例がほとんどなかったので、自分の力でどうにかしました情報収集はインターネットで、話を聞けそうな先輩もインスタで検索して探しました
対策については高2の春には英語の資格試験を取り終えて、高3の5月頃からSATやスクールレポートの書類、推薦書類などを準備して臨みました。

神薗:すごい!床井さんは自分の力で何でもアクティブにやれる感じですね。次に、檀上さんが国内の大学を選んだ理由は何でしょうか?

檀上:私はイギリスにいた時から大学は日本にしようと決めていました。海外で過ごしたからこそ日本語で学べる楽しさが分かり、日本語で自分の意見を言う方が自信が持てるとも感じていたからです。日本の大学の中には英語の授業も多く、帰国生と交流できる学部もたくさんあります。大学の途中で留学もしたいと考えています。

Q5.帰国後、日本の高校での勉強についていくことへの不安は?

神薗:檀上さんは中学の途中で海外へ行ったわけですが、帰国後日本の高校へ入る場合に勉強についていけるか不安でしたか? 海外の塾で日本の教科の勉強も継続していましたか?

檀上:やはり帰国して高校に入る時に、英語以外の科目は一般生と一緒に学ぶというのがとても不安でした。でも、高2の2学期になると、文理選択で科目数もだんだん少なくなってきますし、特に私は総合型選抜の受験生がメインのクラスに所属しているので、必要な科目数がさらに少ないんです。海外の塾で小論文の授業を受けていたので日本語を忘れるということもなく、心配していたほど問題はありませんでした

神薗:今、大学入試のあり方も変わってきているので、必ずしも主要教科全て受験で使うというケースばかりではないですよね。保護者世代の大学受験とは違い、国立では3割、私立では6割ほどが総合型選抜・推薦入試を採用していますし、特に帰国枠で受験する場合、必要な科目数が限られている場合が多いように思います。

Q6.大学卒業後の将来について

神薗:将来は海外で仕事をしたいなど、何か考えていることがあれば教えてください。

床井:よく海外大に行くと言うと海外で働きたいの?と聞かれますが、全然わからないというのが正直な気持ちです。私は、日本を俯瞰的に見られるのが海外大の魅力だと思っていて、そこで勉強したことを日本社会に還元したいと思ったから海外大を志望したんです。ただ最近の政治情勢等を見てると、日本に残るのはちょっと不安もあります。

檀上:私は日本と海外をつなぐ中介役のような仕事に憧れています。両方の良し悪しが分かるので、大学で留学してその視点をさらに深めたいと思います。世界を飛び回り、日本の良さを外に広げ、海外の良さも日本に持ってくるような仕事ができたらと思っています。

神薗:架け橋的な感じでいいですね。お二人のこれからが楽しみです。

Q7.行政や社会に何を期待する?

神薗:最後に、自分の経験を踏まえた上で、社会や行政に期待したいことかを教えてください。

床井:私は多様性のある社会を目指していきたいです。帰国生は海外と日本で何不自由なく生活してきたと思われがちです。「英語ができて羨ましい」と言われることはあれど、日本語で学ぶことの困難が周りには伝わらなかったりします。帰国生が抱える困難や悩みは、当事者や身近な人でないと想像しづらいのだと思います。だからこそ、もっとみんながお互いの気持ちや多様なバックグラウンドの人を受け入れられる社会になってほしいし、それに貢献したいです

檀上:私は「生きづらさの解消」がなされた社会を目指したいです。例えば帰国生が変に浮いたり、海外でアジア人だから差別されたりするのは単に個人の問題ではなく、社会の制度や環境が原因として起こる事象だと思います。
また、神薗議員の元でのインターン活動を通して、行政だからこそ根本的・構造的な解決が期待できると感じました。大学でもそういったことを学びたくて、社会構造や政策に原因や改善の種を見つけるなど、今ある社会問題についての探究を続けたいです。

神薗:本当にシステムや仕組みが変われば大きく変化することがあると思います。行政がやるべきことは、マイナスの状態にある人たちをみんなと同じゼロの状態に戻すサポートです。多様性のある環境を作ることや、必要なサポートを提供できる仕組みを整えていくことが大事だと、お二人との対話を通して改めて感じました。

おわりに

筆者は帰国生ではないので、どのお話も非常に新鮮でした。帰国生というと特権者的に見られがちですが、言語面が追いつかないまま教室に放置される、国内外でいじめや差別に遭うなど、サポートの手薄さや周りの理解のなさから多くの苦難に直面することも多いはずです。そして他文化・多言語に触れてきた帰国生の特性をポジティブに活かせるような教育システムの構築がなされると良いなと思います。
高校生(と卒業したての学生)ながら、自身の状況を客観視し、社会問題に繋げて行動まで起こすことのできる素晴らしいお二人と、共にインターンできる機会をいただけてありがたく思っています!
大学生の私としても学びの多いMeetUp!でした。
ここまで記事を読んでくださった皆さまもありがとうございました。

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