まち+COMEETUP_ 切りひらく力を育む親子習慣とは?/SEL教育
10月20日のMeetUp!は、下向依梨さんをゲストにお迎えし、SEL(ソーシャル・エモーショナル・ラーニング)教育と親子習慣をテーマとした対話やワークショップが行われました。
現地の参加者はそれぞれの背景や関心事を活発に共有し、イベントを共に作り上げてくださいました。SEL教育や親子の対話、地域社会と学校の連携の重要性、また探究学習の意義ついてなど、話題は盛りだくさんです!
ゲスト紹介
神薗:「拡張家族Cift」*という、渋谷区の宮下パーク前にあるビル内の一角のシェアハウスでえりさんと出会い、多くの共通点を通じてつながりが生まれました。現在、えりさんは沖縄を拠点に活動しています。
下向:私は大阪で生まれ、公立の小学校に行った後、さらに学びたくて神戸の私立校に進学しました。しかし、偏差値に重きを置いた学習環境に息苦しさを感じ、高校はスイスに行くという選択をしました。スイスでは地域の方々と触れ合いながら学ぶ機会が豊富にあり、言葉でなく「思い」を伝え合うことの大切さを感じました。大学は日本の国際基督教大学に進学し、そこで社会起業家精神(ソーシャルアントレプレナーシップ)*を学びました。そこから発達心理学等を学び、子どもたちに響く教育とは何かを探求する中で、非認知能力が重要だと感じ、SEL(社会性と情動の学び)に出会ったんです。
SEL教育について
SEL教育って何?
下向:SEL教育とは、自己認識や他者理解、共感、社会的スキル、責任ある意思決定といった力を伸ばし、子どもたちが自己肯定感や意欲を持って社会と関わりながら、自分の生きたい世界を自分で切り開いていく力を育てる学びです。私は沖縄から全国の公立小中高校の教育改革に関わり、このSEL教育の普及に尽力しています。
SELは、教育における非常に有用なアプローチの一つですが、他の学びと組み合わせながら柔軟に活用することが大切だと考えています。SELの普及を通じて、子どもたちが自己と社会をつなぎ、健全で豊かな未来を築く一助となればと願っています。
なぜSEL教育?
神薗:日本の子どもたちの学力はいずれも世界的に高水準ですが、意欲や向上心といった面で、著しく低い状況にあります。
これは子どもたちに限ったことではなく、大人にも共通する問題です。社会を変えるためには、健全な方法で意見を表明することが重要ですが、それを示せている大人がどれだけいるのか、疑問に感じることもあります。
こうした課題に対応するためにSEL教育が鍵になると思っています。実際に渋谷区では、SEL教育などを通して、子どもたちが自己肯定感を育み、自由に遊びや学びに取り組める場を作る取り組みを進めているところです。
神薗:また、共に学んで自己と他者の理解を深め、地域や社会と接続した学びを目指している点で、私の政策軸はSEL教育のコンセプトと通底するものがあると思っています。
参加者自己紹介
ワークショップに入る前に、参加者同士で自己紹介の時間がありました。
高校生、大学生、教育関係者、保護者、企業関係者など、多様な立場の人々が参加していました。
ワークショップ①
⑴心の中で1から10まで数える
⑵今度は10から1まで、心の中で数える
⑶数えているときにどんなことを考えたり感じたりしたか、気付いたことを隣の人とシェアする
例)1から10を数える時と10から1を数える時ではスピードが違った/お腹が空いた/眠い
ワークの趣旨
「数を数える」というシンプルな行為でも、人によって感じ方が全く異なります。私たちは普段、絶えず膨大な物事に反応し、さまざまな感覚や思いを抱き、それは人それぞれ違うわけです。今のワークのように一旦立ち止まり、自分の感情や考えを振り返ることで、自己理解の第一歩となるんです。忙しい日常の中で意識的に余白を作り、「気づく力」を育てることで、自己理解から他者理解へとつながります。
また、「何が楽しかった?」「どんなことを思った?」と聞いて、親子でお互いの内面に意識を向ける機会を作ってみてほしいです。子どもは大人の想定とは全く異なる楽しみ方を見出したりするので、その予想外な発想・感情を知ることも含めて楽しんで欲しいです。小さな発見を通じて、お互いの考えや感じ方に意識を向ける余裕を持つことが、豊かな関係性を築くきっかけになります。
地域の中で
また親子だけではなく、学校でも地域でも、「聞く・聞かれる」場面やコミュニティを広げることが、子どもたちの成長に大いに役立つと考えています。主体的な個人が多面的に関係していく中で、共感や他者理解を育む環境・地域を作っていくことができると思います。
探究学習と地域社会との連携
下向:探究学習では、子どもたちが指示されたことだけでなく、主体的に興味・関心を発見して学ぶことで、地域や社会と多面的なつながりを作っていけると思っています。
神薗:おっしゃる通りです。渋谷区の探究学習では、まず、多面的な視点を育むために、学校という場を活かし、グループでの協力やフィールドワークを取り入れています。その際、探究という手段を通して、自分自身で社会に対する問いを立てられることが大切ですが、問いは小さな関心事からでよく、それを深めることが重要だと思っています。
昨日、原宿外苑中学校に、修学旅行の報告プレゼンテーションを見に行ったのですが、「なぜ京都には神社や仏閣がこんなに多いの?」という素朴な疑問をきっかけに、日本文化における多様な信仰の形について調査した内容が発表されていました。
このように、子どもが素直に気づいたことを、主体的に掘り下げて学べる環境づくりが重要だと思います。学校の管理や指導が行き過ぎてしまうと、気づきの機会が失われてしまうことがある点には注意が必要です。
下向:指示やテーマに制限が多い学校もあり、探究学習で子どもたちの興味を引き出せていない場合もあるようです。倫理的問題などで一定のラインは引きつつも、子どもの興味や疑問を尊重し、大人の価値観で制限しないことが重要だと思います。
ある学校では、「タコスを綺麗に食べる方法」「新しい宗教をどう作るか」といったユニークなテーマを生徒自身で設定し、探究学習が進められています。「タコスの食べ方なんて学術的でない」と否定する大人がおらず、むしろ認めてもらったことで、自信をつけて学べているのでしょう。
教師はもちろん、保護者や地域の大人たちも、子どもたちの疑問を共に楽しみながら見守ることができたら良いですね。
ワークショップ②
roku youさんの「感情対話カード」を使ったワークが行われました。
⑴4,5人のグループを作って話し手を1人決める
⑵自分の中で消化しきれていないモヤモヤを話し手が共有する
⑶話を聞いて「こんな気持ちなのでは?」と予想し、当てはまると思う感情カードを、聞き手が話し手に渡す
⑷こういう事を大切にしたかったから、(3)のような気持ちになったのでは?と直感的に思った事を、カードを使って聞き手が話し手に伝える
ワークの趣旨
日々、膨大な感情が自分の中を通り過ぎていきますが、一度立ち止まってその感情を掬い上げてみるのも大事です。カードを使って思いを言語化すると、自己と他者への理解が深まる機会になります。感情を真ん中においたコミュニケーションを通し、参加者の皆さんは聞く・聞かれる体験を楽しんでいました!
おわりに
参加者と登壇者が境なく、自由に意見を交わせる、とても居心地の良いイベントでした。ワークショップでは幼い子どもたちも、高校生も、社会人も、みんなが対等に話しながらお互いの経験や感情を共有しており、まさに、「地域で」「共に学ぶ」空間がそこにあったのではないかと思います。
ここまで記事を読んでくださった皆さま、ありがとうございました!
★神薗まちこのLINE公式アカウント★
情報発信やご相談受付などを強化中!よろしければご登録をお願いします。
LINEのご登録はこちらから!
★神薗まちこの各種SNSはこちら★
InstagramやFacebook、X(旧Twitter)にて、様々な情報を発信しています!
よろしければフォローやシェアをお願いします✨
★神薗まちこのHPはこちら★