まち+Co MEET UP! 安心できる居場所づくりとは?セミナーレポート
こんばんは、神薗まちこです。
久しぶりのリアル会場でのイベントが無事終了しまして、ほっとしています。
渋谷区でも「居場所」の重要性が議論されていますが、今回西新宿でれもんハウスという居場所を作っている社会福祉士の藤田琴子さんをお招きして、MEETUPを企画しました。
場所を提供いただいたのは、渋谷区幡ヶ谷にある児童養護施設若草寮。施設長の加藤さんが、地域とつながる場にしていきたいという思いを共有してくださっていたので、今回企画をご説明し、お借りすることが出来ました。本当にありがとうございます!
運営を手伝ってくださったのは、グラフィックレコーディングの担当ちよさん、里親を渋谷区でやっているみほさん、人権などの勉強をしている大学生のかわちさん。皆さん、お忙しい中本当にありがとうございました。
1:なぜ、いま居場所が必要とされているのか
孤立しやすい社会、家庭が抱える課題が複雑化している(例えば8050問題、ヤングケアラーなど)現状があり、その課題を解決するためには、これまで行政が行ってきた社会保障制度などの公の事業だけでは対応が難しいという状況があるからだと認識しています。
専門的な事業やチームでフォローアップしつつも、地域に重層的なコミュニティがゆるやかに形成され、そこに複数つながることで支援の幅を広げていく、そういったことが重要になってきているからこそ、今「居場所づくり」をもっと強く後押ししていこうという動きが広がっているのだと思います。
例えば、日本財団が支援している「子ども第三の居場所プロジェクト」
子どもの調査を見てみると3人に1人は何らかの困難を抱えた子どもだということが分かっています。中には複数の困難を抱えている子どもたちもいます。
子どもたちやご家庭が安心して、過ごせる居場所の重要性。ふらっと立ち寄れ、いつでも戻りたい時に戻れる、帰ってこられる場所があることで、その時々に必要なサポートや支援が届く。そういった場をたくさん作っていくことが、今まで行政が積み上げてきた福祉職によるアウトリーチや見守りなどへの連携プレーにもなるということが分かってきました。
一例で、子どものケースを書いてみましたが、これは若者や高齢者や障がいのある方、生活困窮世帯でも同様のことが必要とされています。
渋谷区でも、「重層的支援体制づくり」という事業がR4年度からスタートしていて、少しずつですが進み始めています。
2:れもんハウスって何?
今回ゲストの藤田琴子さんが運営しているれもんハウス。
母子支援施設で働いている琴子さんが現場で直面した課題から生まれています。
「今夜一緒にいたら手を出しそう」「子どものことは大事だけどちょっと離れたい」、そんな風に行き詰っている保護者がちょっとお休み(レスパイト)できるよう場所を作りたい。子どもをちょっと預けられる、子どもを少し泊められる、親子で泊まれる、そんな場を作りたかったとのこと。子どもから見ると、ちょっと「プチ家出」ができる場所。「お母さんと喧嘩して帰れない」「一時保護所に行くほど大ごとにしたくはないんだけど」。そんな時に、SNSで知り合った人を頼って危険な環境に引き込まれてしまったり、家の中で我慢して、自分の感情を押し殺すことに慣れてしまったり。安心できる家出先があれば、「こんな世界もあるんだ〜」に出会え、声をあげたら誰かが助けてくれるんだという信頼感を作りたいと思い、れもんハウスができたんだとおっしゃられていました。
れもんハウスは、西新宿のとある一軒家なのですが、これもSUMOで見つけてここ良いな!と思い、でも資金が5000万円・・・と考えていて、SNSで相談したら、なんと愛のある大家さんLivEQuality代表岡本さんに出会ったことで、一気に話が進んでいったんです。
れもんハウスが大切にしていること「あなたでアルこと ともにイルこと」
自分のあるがままでいいんだな、それを受け止めて一緒にいてくれるんだなというメッセージを強く感じるし、その空気がれもんハウスには流れています。私が理事をやっているWe are buddiesも運営協力をしているので、大人と子どもバディたちが過ごしている空間に一緒にいさせてもらっているのですが、本当に居心地よくって、自分の家みたいにくつろげるあったかい場所なんですよね。
#れもんハウス にきている若者から、「安心できるおかえりとただいまがある場所」というお話をしてもらって、そうそうとうなづいていました。
活動内容も3つあるのですが、その中でも私が注目しているのは「お泊り」の部分で。新宿区と連携して、ショートステイ協力家庭として登録されています。通常だと1家庭がショートステイ協力家庭として登録するのですが、やはり子どもたちをサポートするのは大変。だったら、場所は1つだけどそこに複数人の研修を受けた大人たちが連携しながら、子どもたちのサポートをするという体制を作ってらっしゃいます。
そんな、れもんハウスで起きたこと。
偶発的な出会いや、する・されるの役割の転換やあいまいさ、れもんハウス以外で気づいたら会っているなど。たくさんのストーリーが生まれています。
琴子さんがいった、「れもんハウスがれもんハウスである理由」
Valueのようなものだろう、こういう要素が居場所にとっても、今課題を色々と抱えている学校や福祉の場にも必要なんだろうなと感じています。
3:ワークショップ「あなたにとっての居場所は?」
後半はワークショップ。ワークショップ時に、瞬時に心の距離が近くなる魔法のツール「えんたくん」を用いてみました。
問いは、「あなたにとっての居場所は?その居場所が居場所となっている理由は?」でした。
これは想定外だったのですが、今回の参加者の方々は福祉職の方が半数いらっしゃいました。他者の居場所やケアを日々考えている方々だからこそ、自分の居場所やその理由を問いとして考えてもらったときに、ふと筆が止まってしまう。そんな様子もありました。
居場所づくりのテーマとははずれますが、学校の先生や医療関係の方もそうかもしれないのですが、人に対して従事する職業の方々は、自分のウェルビーイングを置き去りにして、他者のウェルビーイングを全力で支援されている方が多いなと感じています。だからこそ、環境がちゃんとその人たち一人一人のウェルビーイングを作ることに注力する必要あるなと、考えたりしていました。
5つの班からそれぞれ、出てきた居場所である理由。
様々な居場所が出てきましたが、安心できる、素の自分でいられる、ストレスやタスクから離れる、自分の意思でいられるあたりが共通項目で出ていました。
日常or非日常なのかという場所の違いや、孤独が大事、人との協働とお互い認め合っているなどの他者との関係性のあたりの違いがチームによってありました。
今日出たヒントを踏まえ、まずは自分を起点に1人でも2人でもいい、居場所だと思える関係性やコミュニティをつくることから始められるのでは?と、ことこさんのメッセージが胸に響きます。
複数の居場所の重なりが多ければ多いほど、コミュニティが豊かになり、自分らしく過ごせる街になるだろうと感じました。
4:いただいた感想
※個人が特定できるような情報もあるため、若干修正させていただいています。(いただいたご感想の主旨が変わらないことを前提に)
・多様な立場の方々と交流ができ、楽しく学ぶことができました。効率・効果が重視される社会の現状において、曖昧な空間の中にある温かみやつながりの大切さを改めて感じました。
・居場所というと対象がある程度想定されているイメージがあります。レモンハウスさんのような形は初めて知り、とても興味深くお話しをききました。ワークショップで居場所についていろんな方のお話しを聞けたのもよかったです。このような場を作っていただき、ありがとうございました。
・日頃話してるローソンのおばちゃんみたいな人が街に必要だ、と皆さんに言われて、そういう名も知らないけど繋がりある関係や地域は大事だなと思ったので。
・行政だけでは対応できない部分を地域で重層的にフォローできるようにそれぞれ多様性に満ちた居場所が沢山あると良いなとのお考えに激しく同意しましたし、イメージが膨らみました。
・お話を伺い、「ありのままの自分」を出せる場所を全ての対象者に対して提供しているのだと感じました。何かにつまづいたり、傷ついた時に、何故そうなのかといった問いかけではなく、ただ居場所があることが癒しや励まし、前に進む勇気となることが理解できました。若者が、このような取り組みを全身全霊で実施していることに、日本の未来を感じることができました。
・れもんハウスさんの活動を今回初めて知りました。 子どもが不登校の状態で、現状の学校に戻ることは無理だと感じて、この子がこの子のままでいられる場所を探しています。 「何かをしなくては居てはいけない場所」ではなく「何もしなくても居ていい、したいことをしてもいい、それを自分で選びとれる場所」がいいのでは…と思っていたところで、れもんハウスさんのスタンスを伺って「ああ、こういうことだよな」と深い共感を持ってお話に聞き入りました。
等、たくさんのお声をありがとうございました。
時間が1時間半だったので、かなりタイトなスケジュールでした。
・もう少しお互いを知れる時間やアイスブレイクがあると、意見交換も活発にできたかなと感じました。 せっかくなので、みなさんが日々の取り組みからどのような想いを抱いて、今日に至るのかなど、いろいろ聴けたら勉強になるなと思いました。
おっしゃるとおり!激しく同意です。時間は少し長くなるのですが、やっぱりリアルな場は2時間程度は必要だなと思った次第です。
ステキな時間を皆様、ありがとうございました。
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