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病気を治す感情コントロール術〜樺沢紫苑から学んだ訪問看護に使えるヒント

私は訪問看護師です。
訪問看護は医療処置や身体介護だけでなく、今後起こりそうな健康問題に予防的に関わることも多いです。そのため、本人はあまり必要性を感じていなかったり、看護から見て必要性が高いと考えても「そんなことしなくていいです、来てもらわなくて結構です」とおっしゃる方がいます。私は病院で25年以上で勤めた後、訪問看護ステーションに勤務しました。医療処置や重度の身体介護には慣れているし、技術的な自信もありました。しかし、訪問看護を始めた頃は
それほど大きな問題はないけれど、支援に拒否的で関わりにくい人。こういう人に関わるのが本当に苦手でした。
訪問看護ステーションに勤務し始めて2年目くらいの時、拒否が強く、時々、家に入れてくれない人がいました。
自宅に伺うわけですから、ドアを開けてくれなければ会うことも叶いません
なすすべもなく、「利用者さんが会ってくれませんでした」と事務所に戻るしかありません。
このような対応をされたのは、私だけではないのですが、

その時の私は
「私が何か嫌われるようなことをしたのだろうか」
「看護師が関わる必要性があるのに、本人はそれがわかってない。理解力がない」
「せっかく行ったのに、断るなんて。嫌なら初めから断ればいいのに」など
自分の対応を責めて落ち込んだり、相手のことに腹を立てたり、ネガティブな感情が渦巻きました。
上司に「どうしてか、考えてみて」と言われても、その時は自分の対応が悪いから責められているとしか思えませんでした。

今、この時のことを本書に書かれている「グリーフサイクル」に照らし合わせて振り返り、解ってきたことがあります。その時の私は、利用者さんが自分の病気を受け入れられてどうか、冷静に考える事ができていませんでした。

第6章に、その時、私が考えるべきだった事が見事にまとめられていました。
「動揺しない」
冷静に利用者さんを観察し、考えると、見えてくるものがあります。
そうだ
この人は「否認」の段階なのだ
だとすれば、訪問を拒否をするのも、だからと言って「契約しない」を選択しなかった複雑な気持ちも理解できます。
専門職として忘れてはならないのは、まずは自分が冷静になることだと想います。
この人は「否認」段階納得できると、私たちを拒否することも
受容までの過程の一つと理解できます。そうすると「焦らないで」関わることができます。いくら言っても必要性を理解しない人、と決めつけず、関わることを諦めなくなります。
そして、「闘わずに寄りそう」これは相手を信じると同義と思います。一緒に歩いていればきっとトンネルから抜け出せる。そんな風に感じます。
「否認」の段階をうまく乗り越えるには、本人の不安定な感情を理解し、周りは焦らず諦めずに関わることだと思いました。
本書を読んで、以前、利用者さんに拒否されたことでモヤモヤした自分の気持ちをとスッキリ整理できました。
読んでいただきありがとうございました。


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