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ミュージカル「Hamilton」にハマる



ミュージカル「Hamilton」とは?

ミュージカル「Hamilton」は、2015年にブロードウェイで初演され、アメリカ合衆国の建国の父のひとりである、Alexander Hamilton (アレクサンダー・ハミルトン)の生涯が、ヒップホップやラップで綴られています。様々な賞を総なめし、注目度と人気の高さは知っていたし、ストリーミングサービスで視聴可能なものの、これまで見ることを躊躇してきた私の主な理由はこれ👇

 ① Hamiltonが何をした人なのかはもちろん、アメリカの建国の歴史につい
  てもよく知らなかった

 ② ヒップホップ、そしてラップについていくことはもちろん、ラップに
  のった歌詞を理解できる気がしなかった

 ⓷ 2時間40分という長さにビビっていた

自宅のテレビで、自称「ミュージカル嫌い」の旦那さんが鑑賞していても、チラ見して、私の中のミュージカルのイメージとは程遠いヒップホップ調のダンスに、全くと言っていいほど聞き取れないラップ。「無理無理」と、鼻からトライする気にもなれませんでした。ところが、そんな私を後目に、
ミュージカル嫌いと言う旦那さんが、連日連夜、「Hamilton」を見ているのです。どんだけ面白いんだ!って感じ。そんな彼の姿に刺激され、興味を示した私に対して、いつものことながら良き「センセ」と化してくれた、ありがたい旦那さん。そんな彼の助けを大いにかりて、「Hamilton」に挑戦することにしました。

まずはアメリカ合衆国建国の歴史からお勉強

ミュージカルを見始めるにあたって、まずはアメリカ合衆国の建国の歴史を学ぶ必要がありました。歴史的人物や出来事を、断片的にしか知らなかった私が、これを機に改めて学んだこと、Hamiltonを楽しむのに役立った知識を挙げてみようと思います。

 ① 現在のアメリカの地に元々住んでいたのが、ネイティブ・アメリカンと
  呼ばれる先住民族。

 ② 15世紀、ヨーロッパから新たな地を求めた移民がアメリカの地に到着す
  るように。ちなみに、コロンブスのアメリカ大陸発見は1492年。

 ⓷ その後もヨーロッパからの移民が増え、イギリス統治によるイギリス領
  としての時代が続く。

 ④ 18世紀になり、イギリス統治下で暮らす移民の子孫たちがが自由と独立
  を求めて立ち上がり、アメリカ独立革命→アメリカ独立戦争へと発展。

 ⑤ 独立を勝ち取った7月4日が現在の「独立記念日」。
  その後のアメリカの建国に深くかかわった人たちが「アメリカ合衆国建
  国の父」と呼ばれ、憲法の起草者であるHamiltonもその一人。

 ⑥ アメリカの初代大統領は、George Washington (ジョージ・ワシント
       ン)。アメリカの1ドル紙幣とクォーター(25セント)コインの人。

キリがないので、このぐらいにします。
あくまでも、現段階での私の理解で、これに対して「物申したい」歴史好きさんもいるとは思いますが、少なくとも私はこれで「Hamilton」を楽しめたということで足からず~。

「Hamilton」私のびっくりポイント

なんせ、2時間40分という長編だし、まだまだ理解しきれていない点だらけなので、あらすじを追うことは控えます。
ここでは、私が「Hamilton」を見て、びっくりした点をいくつか紹介します。

 ①キャスティング
  おそらくこれは、このミュージカルの大きな特徴のひとつでもあるし、
  話題にもなった点だと思います。私のびっくりポイントは、実際の人物
  に関わらず、様々な人種の役者さんがキャスティングされていたこと。
  例えば、裕福なSchuyler家の三姉妹。Hamiltonが結婚する次女のElizaを 
  演じるのは白人の役者さんで、長女のAngelicaを演じるのは黒人の役者
  さんと言う風に。実際の人物の人種に全くとらわれていないキャスティ
  ングは、斬新。

  同じように、George Washingtonを演じるのも黒人の役者さん。
  そして、「Hamilton」の脚本、作詞、作曲に加え、主役のHamiltonを
  演じる役者さんはというと、プエルトリコ出身のラティーノ。
  慣れるまでの少しの間は戸惑ったものの、慣れてしまうと、役が役とし
  て定着し、『人種』という概念自体がなくなっていくような、何とも言
  えない不思議な感覚。もはや、私の中で、George Washingtonは1ドル札
  のあの人ではなく、舞台でGeorge Washingtonを演じたあの黒人役者の
  イメージ。そのぐらい、人種を超えた素晴らしいキャスティングで、見
  ごたえのあるパフォーマンス。

 ②一人二役あたりまえ?!
  2時間40分の長丁場。途中のインターミッションを挟み、舞台の後半戦
  が再開してすぐに「あれ~???」と混乱した私。
  その原因は、一人二役のキャスティング。例えば、前半戦でHamiltonの
  同志として登場していた役者さんが、後半戦ではHamiltonの息子として
  登場。主要人物を除いては、一人二役は当たり前って感じで、最初こ
  そ戸惑いましたが、前半戦のイメージを記憶と印象に残したまま、しっ
  かりと後半戦の役柄も定着していくのだから、大したもの。

主要人物を象徴するフレーズ

この舞台の主要人物は、主役のHamilton、妻のEliza、そして、後にHamiltonの命を奪うことになる宿敵Aaron Burr。この主要メンバーには、それぞれを象徴するフレーズが重ねて歌われます。

 ① Hamilton
  カリブの島に生まれ、若くして両親を亡くし孤児となったHamilton。
  頭の良さを買われて、現在のアメリカ大陸に送り込まれ、猛勉強の末に
  George Washingtonの右腕にまで上り詰めた超野心家であり、努力家。
  孤児出身でもここまでできる、ということを歴史にLegacyとして刻みこ
  みたいという思いは貪欲。そんな彼を特徴づけるフレーズがふたつ。 
  「Rise up!」これは「立ち上がれ!」というより、むしろ「のし上が
  れ!」って感じかな。
        そして、「I'm not gonna throw away my shot」
  「shot」には3つの意味があって、
  1)機会、チャンス 2)銃弾、撃つ 3)お酒のショット。
  つまり「私のshotを無駄にはしない!」ということ。
  
 ②Eliza
  家族の幸せと自分の昇進を迫られたら、昇進をとる超野心家のHamilton
  の妻Elizaは、普通の家庭に幸せを求める良妻賢母タイプ。時に家庭を顧
  みないHamiltonに「よく考えて。あなたには私がいて、子供がいる。そ
  のことにどうしてあなたは満足できないの?」と理解できず苦しむ姿が
  印象的。
  そんな彼女を特徴づけているフレーズは「Helpless (無力)」。

 ⓷Aaron Burr
  Hamiltonの宿敵、Aaron Burr。Hamiltonと同じ孤児として育ち、若き頃
  のHamiltonが慕った先輩。友人として始まった関係性も、気づいてみれ  
  ば、アメリカ革命を熱く語り合うHamiltonたちの輪からもはずれ、
  George Washingtonがその右腕として抜擢したのもHamilton。平静を装
  いつつも、内からにじみ出る嫉妬が、彼の歌から溢れ出す。痛々しい
  ほどに。彼の歌に度々出てくる
  「The room where it happened」のフレーズは、「重要なことが起こ
  ったその部屋に私はいない」というBurrの恨み節。

私の推し登場人物/役者

「Hamilton」で誰が好き?と聞かれたら私があげる推しはふたり。登場人物というよりも、それを演じた役者が好きということかもしれませんけどね。
推しポイントは、声質、声量、存在感かな。

 ① Angelica
  Hamiltonの妻でElizaの姉。裕福な家庭に生まれた3姉妹の長女で、舞台
  上では、Hamiltonに思いを寄せるものの、男子のいない家庭の長女とし
  て生まれた自分は、裕福な男性と結婚するのが役割と考える。
  その野心的な性格は、ElizaよりもHamiltonを理解する逞しい女性。
  妹Elizaを想う気持ちから自分は身を引き、ふたりを応援する立場に。
  Angericaがその思いを歌う「Satisfied」は突き刺さるものがある。

 ② George Washington
  Angericaと同じく、演じている役者さんの声質、声量、存在感が抜群。
  現在のアメリカの発端を作ったGeorge Washingtonの偉大さが舞台を通
  して伝わってくる。人々の期待を背負い、アメリカ革命という激動の時
  代を導き、アメリカ合衆国を作り上げる偉業に見合うだけの精神力と行
  動力、頭の良さ、人望を兼ねそえた人物だったことがうかがえる。彼が
  アメリカの独立をかけた戦い前に歌う歌、引退を決めたときの歌は心に
  響く。

Hamiltonも命を落としたDuel (決闘) とは?

書きたいことが多すぎて困っていますが、これだけは外せないないのは、Hamiltonも命を落としたDuel (決闘)についてでしょう。ここでいう決闘というのは、ピストルを手にしたふたりが10歩歩いて振り向いて撃ち合うというもの。ヨーロッパ発祥で、場所や時代によってルールに違いはあれ、基本的には違法行為。「Hamilton」の中では、お互いの近しい友人などが代理人となり交渉をすることや、決闘の場には医者をスタンバイさせることなど、決闘における10のルールが歌われています。

Hamiltonの長男は、19歳の時に父Hamiltonの名誉をかけて、ある人物に決闘を申し込み、その結果、命を落とします。決闘に際して息子からアドバイスを求められたHamiltonは「敬意をもってピストルを空へ向けろ。相手も同じ気持ちであれば同じことをするはずだ」と言い、息子は言われたとおりにしたものの、脇腹を撃たれ、出血多量と傷口の化膿で死んでしまいます。
この時代の決闘は、撃っても脇腹で、心臓や頭を狙い撃ちすることはなく、負傷はしても死に至ることは少なかったそうです。
いわゆる「男同士の果し合い」ということなのでしょうが、正直、少々理解に苦しみます。

愛する息子を失い傷心のHamiltonは、宿敵Burrの決闘を受入れるも、始めから撃つ気はなかった様子。息子にアドバイスしたように、その瞬間、ピストルを空へと向けます。
「私の最初の友であり、最初の敵。そして、おそらくはこの世で目にする最後の顔。自分が彼を撃たず、彼が私を撃つことで、私はLegacyとして人々の記憶に残るのかもしれない。この一発のshotが私のLegacyなら…」
と言い残し。

噛めば噛むほど味が出るミュージカル

ヒップホップ、そして特にラップは、ひとつの音にたくさんの言葉が詰め込まれます。韻を踏むべく歌詞に用いられる言葉も厳選されていて、私の語学レベルと耳レベルでは、何を言っているのかを聞き分けるのはまず不可能。最初にも書いたように、それが「Hamilton」を敬遠していた最大の理由でした。意を決して見始めたものの、文字通りテレビ画面にかじりついての全集中が必須。目は英語字幕を追うだけで精一杯。そして、分からなくなったら即挙手。そのつど、一時停止して旦那さんに解説をしてもらい、理解した上で少し巻き戻してもう一度見る、の繰り返し。初日は、最初の30分が限界でした。これは先が長いな、と思ったものの、それなりに慣れてくるもので、結果的に3日間で一度目を見終わることができました。
そして二度目は、英語字幕よりもパフォーマンスに集中して一気見。1回目では見えなかったものが見えたり、聞こえなかったものが聞こえたり、考えなかったことが頭をよぎったり。まさに、噛めば噛むほど味が出てくるって感じです。もちろん2回見たくらいでは、分からないことがありすぎで、今後も噛む余地は相当あり。
さて、どこまで噛むかな、噛めるかな。

参考リンク ※興味ある方、是非チェックしてくださいね!
Hamilton Musical Lyrics (Hamilton歌詞)
Top 20 Best Hamilton Songs (Hamilton ベスト20ソング)




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