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「地域で頑張る人たちを支える仕事がしたい」 _まちとしごとのインサイドストーリーvol.01 藤本 美智乃


まちとしごと総研では、組合員の取り組みを支える、いろいろなスタッフがそれぞれの思いをもってプロジェクトをに取り組んでいます。皆さんの思いを紹介する「まちとしごとのインサイドストーリー」。

伏見いきいき市民活動センター(以下、伏見いきセン)は、市民活動や公益活動を幅広く支援するために、京都市から運営を委託されている指定管理施設です。その指定管理者として「まちとしごと総合研究所(以下、まちごと)」が管理・運営を担っています。

第1回の今回は、伏見いきセンでセンター長を務める藤本 美智乃(ふじもと・みちの)さんにお話を伺いました。

地域や市民活動のお悩み相談に乗る

Q,伏見いきセンではどんなお仕事をされてるんですか?

1つは地域のお悩みや困りごとの解決のお手伝いをしています。

例えば「お金はそんなに出せないけど地域の行事でゲストを呼びたい。どこに頼んだらいいだろう?」というお悩みを聞いて、伏見いきセンを利用してくださってる市民活動団体さんをつなげていくような取り組みがあります。

もう1つは、団体さんの活動の困りごとのサポートもしています。

活動する中で出てきた「話し合いはしてるけどなかなか解決しない」とか「活動がうまく進められない」といったお悩みの相談に乗っています。

最近では「活動の幅を広げたいからクラウドファンディングがしたい」と言う団体さんの声をうけて、外部からゲストを呼んで講座を行ないました。

伏見区役所 深草支所グループワークの進行を行う

仕事として社会課題の解決にかかわる「NPO」に興味を持つ

Q,今されているようなお仕事に関心を持ったのはいつ頃からなんでしょう?

高校生のときに、教科書で出てきた「NPO」や「NGO」の文字になぜか惹かれたんです。

誰かや社会のためにボランティアとしてではなく、仕事として活動してる人たちがいるということを、そのときに初めて知って衝撃を受けました。

授業では詳しいことはわからなかったので、もうちょっと知りたいなと思って龍谷大学政策学部に入学しました。

NPOの活動にのめり込んだ大学時代

Q,大学生活で印象に残ってることはありますか?

大学生活のほとんどは、地域環境デザイン研究所ecotone(エコトーン)という環境系のNPOに関わって活動していました。

音楽フェスや祇園祭といったイベントでリユース食器のレンタルなどの活動をやっているNPOです。きっかけは1回生のある日、何かの授業が休講になって補講の代わりに、ボランティアに関する本を読むか、ボランティアに行ってきてレポートを書く課題が出されたんです。

実際に体験して感じたことを書くほうがやりやすそうだと思ったので、大学のボランティアセンターでボランティアを探してたまたま見つけたのがエコトーンでした。募集のお知らせに「京都大作戦」っていう名前を見つけて目が止まったんです。

ラジオが好きで、その単語をよく耳にしていて。私にとって身近で有名なフェスに自分もスタッフとして関われるのが面白そうだと思いました。

就職活動で感じた違和感

Q,就職活動でもNPOを志望されてたんですか?

NPOで働きたいという想いはあったんですが、「自分自身に能力をつけてからでないと戦力になれない」という話も聞いていたので、始めは民間企業を中心に考えていました。家の間取りを見るのが好きだったので不動産業界を考えていたんですが、ビビッとくる会社が見つけられなくて。

ある会社の説明会に行ったとき、違和感を感じてしまったんです。

他の就活生が社員の方に「この仕事のやりがいは何ですか?」って質問したとき、社員の方がされた「ありがとうって感謝されることがやりがいです」とおっしゃっていて。

どんなサービスでも何かしてもらったら「ありがとう」と言われると思うので、それをやりがいとして挙げるっていうのが私からすると納得できなかったんです。何かもうちょっと、その仕事ならではのやりがいを語って欲しかったのかな。

NPOで働きたいという思いと、今の自分じゃ能力的に難しいかなという思いとの間で揺れていて、しばらく迷う時期が続いていました。

大阪府 茨木市で地域協議会向けワークショップの企画設計、進行などの業務も担当

やっぱり諦めきれないNPOへの想い

Q,違和感を捨てきれなかったんですね。

その体験から、やっぱり「魅力的に思っている領域で働きたいな」って改めて思うようになりました。

ちょうどゼミの先生を通じて、いきセンでアルバイトを募集してることを知りました。そこから当時のセンター長を紹介してもらい、4回生の10月からアルバイトとして働くことになりました。

そのまま卒業して4月から新卒で入社して、今に至ります。

一緒に働く人たちが楽しく過ごせる環境を作りたい

Q,ほかのスタッフの方たちと関わる上で意識されてることってありますか?

スタッフの意見をまずはしっかり聞きたいと思っています。

センター長という役職についている私が「こうしたらいいんじゃない」と言ってしまうと、「じゃあそうします」となることもあります。

スタッフがどう思ってるのかをなるべく聞き、「どうしていけるといいかな?」を一緒に相談しながらを心がけています。明らかに悩んでいて答えが欲しそうなときは、私の考えを言うこともあります。

このように思うことは、自分が働くなら楽しく働きたいという想いからきています。「何をするか」も大事ですが、「誰とどんな環境で働くか」も個人的に大事だと思っていて。

職場環境としても楽しいって思ってもらいたいので、相談しやすいとか話しやすいって感じてもらえるように意識していますね。

住民ワークショップの参加者の話に耳を傾ける

Q,「一緒に働く人が楽しく働いていてほしい」って想いはセンター長になる前からあったんですか?

就活の際、ある会社の選考で2〜3日間のインターンがあったんです。事業内容は共感したんですが、何をしたらいいか指示がないまま時間が過ぎ、何のための時間なのかわからなず…。始めにどうしたらいいかぐらい教えてくれてもいいのにと思いました。

そこから「どういう環境で働くか」について考えるようになりました。

「働くことって仕事内容だけでなく、一緒に働く人たちとどう関わるかが自分にとって大事なことなんだ」ってそのときに感じたので、一緒に働く人たちには悲しい思いをして欲しくないと強く思っています。

自分がされたら嬉しいことを相手にもしていたい

Q,今は一緒に働く人たちと関わる上で大事にされてることを中心にお聞きしたんですけど、いきセンの利用団体さんとの関わりの中でも大事にされてることはありますか?

自分がされたら嬉しいことをやりたいなと思ってます。

例えば美容院を電話で予約するときに「藤本です」って名乗るじゃないですか。そのときに「あー藤本さん!こんにちは!」って、「自分を覚えてくれてるんだ」という反応があると、私だったらすごく嬉しいなって思うんです。

伏見いきセンは建物がだいぶ古いこともあり、3階まで階段であがらなければならないなど、不便があります。スタッフとの交流を通じて、「来てよかったな」と感じてもらいたいと思っています。

Q,事業をされてる中で印象的だった人や場面ってありますか?

ぱっと思い浮かぶのは、働き始めて1年目のときの出来事です。

伏見いきセンでは高齢者ふれあいサロンという、シニアのみなさんが体操など活動ができる施設を併せて管理をしています。

そこによく来てくださる方とお話していたときに、「おばあちゃんたちは〜」って表現を使ったんです。そうしたら「私はあなたのおばあちゃんじゃないからそんなこと言わんといて」って言われてしまって。

自分としては何気なく言った言葉だったんですけど、その方にとってはすごく嫌な言葉だったんだなっていうことをそのとき教えていただきました。

そこから地域の方や事業でお会いする方と接するときには必ず名前でお呼びするようにしています。働き始めて1年目だったということもあって結構なインパクトとして私のなかでは残っています。

地域で頑張っている人たちの力になりたい

Q,藤本さんが今後やっていきたいことはありますか?

出身である福知山含め京都府の北部地域で何かお仕事がしたいと思っています。

地元を出る前までは煩わしさのほうが勝っていたんですが、一旦地元を出てみた後に地元に帰ると、やっぱり落ち着くなとかいい街やなみたいな気持ちを抱くようになったんです。今は京都市内を中心にやっていますけど、いつか地元やゆかりのある場所でもお仕事できるようになりたいです。

あと今の話とも関係するんですけど、地域で頑張っておられる方たちの力になれるような仕事をやっていきたいと思っています。

私の育った地域では地蔵盆や清掃活動といった町内会の活動が残っていたので、地域の行事やつながりに良いイメージを持っていました。しかし最近は良いイメージを持っていない方も増えてきています。

町内会に入らないとゴミ出しさせてもらえないから仕方なく入ってるとか、役が回ってくるのが大変っていう話を聞きます。

嫌だと思ってる人たちに昔のような地域のつながりを押し付けるのは違うかなと思うんですけど、そこで頑張っておられる方や地域活動に意欲を持っている若い方もいらっしゃるので何かサポートができるといいなと思いますね。

ーーーありがとうございました。

聞き手,ライター:筌場 彩葵

※2024年の採用は9月ごろにリリースする予定です。詳しくはホームページをご覧ください。
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