#2「トー横キッズ」と令和のこどもたちについて研究
自由研究日誌:#2「トー横キッズ」と令和のこどもたち
みなさんこんにちは、自由研究家まちどりこのみです。
こどもたちが幼い頃から一般的にインターネットを扱うようになった今日この頃。私が先日、日テレ系列で放送されている「月曜から夜ふかし」を何気なくみている時のことでした。
この衝撃的な発言がSNSでプチバズり。私はテレビの前でものすごい衝撃を覚えました。
これは、このこどもたちが特別マセているわけではなくインターネットやニュースを見ていれば「トー横キッズ」について誰でも知ることができます。令和のこどもたちは昔以上にいい事もよくない事もなんでも知ることができるわけです。
本日はそんな2020年代から大きく世間を騒がせ、今なお社会問題となっているこどもカルチャー「トー横キッズ」について研究してみようと思います。
「トー横キッズ」とは?
東京都新宿区歌舞伎町の新宿東宝ビル周辺の路地裏でたむろをする若者の集団のことである。「トー横」は「新宿東宝ビルの横」を省略したものである。
ゴジラヘッドが特徴的な新宿東宝ビルが2015年に完成した後2018年頃から、この周辺に自撮りを行う若者たちがたむろして増え始め、彼らは「自撮り界隈」を自称し始めた。 若者が多くたむろしていたことから、周辺の居酒屋や風俗店の店員や、風俗嬢・キャバクラ嬢らが彼らを「トー横キッズ」と呼び始めた。しかし彼らは「キッズ」と呼ばれることに抵抗し、2019年9月頃から「トー横界隈」と名乗りだした。(Wikipedia参照)
私が始めてトー横キッズという存在を知った時は、ちょうど私が高校2年生の頃、鬱症状に悩まされている時でした。「自分なんていない方がいい」「つらい」「苦しい」「○にたい」そんな思いをツイッターで吐露したり、検索したりしていると「#病み垢」「#トー横界隈」という言葉を目にするようになったんです。「トー横」というキャッチーなネーミングと、自分は1人じゃないんだという安心感が、彼らに憧れを持たせる要因なのではないかと思います。
コロナ禍が産んだ閉鎖的な世界とそこから逃げ出すこどもたち
トー横に訪れるこどもの多くは親から虐待を受けていたり、学校でいじめにあっていたり、精神疾患を患っていたりなど元々居場所がないこどもがほとんどです。そんな中訪れた世界的パンデミック「新型コロナウイルス感染症」の流行。これにより多くの学校は休校や、オンライン授業、学校行事の中止・短縮などを余儀なくされ、安易に外へ出ることもままならない状況になってしまいました。全てが閉鎖的になってしまったコロナ禍。こんな世界があと何年続くのかもわからない。荒んだ家庭環境のなかで生きてきたこどもたちからすれば「学校」という場所がなくなったことで、生きる希望を失っても無理はありません。
こどもにとって学校は「全て」であり、卒業できなければ人生が物理的に終わる。大袈裟じゃなくそう思っているこどもも少なくありません。大人から「そんなんじゃ○年生になれないよ!」「そんなんじゃ卒業できないよ!」と冗談混じりに言われることがあります。(もちろん小中学校は義務教育なので高校や大学のように留年はありません。)ですが、まだ留年という制度を知らないこどもたちからすれば「卒業できなかったらどうなっちゃうの!?」「ゲームみたいに人生終わったらいきなり死んじゃうのかも」と想像します。現に私が小学生の頃友達とそういう話をした覚えがあります。
また、いじめが横行する昨今。「気に入らないからここから追い出してやる。一生学校に来るな。」とか「この子に嫌われたらもう死ぬしかないんだ」とか「今さら何をしても無駄」とか人生経験の浅いこどもたちは良くも悪くも考え方が極端で、非現実的なことが多いように感じます。いじめにより学校にも家庭にも居場所がないこどもたちがインターネットに居場所を見出し、トー横に入り浸るようになったのもうなづけます。
「都会」と「大人の世界」への憧れ
トー横キッズの本拠地は東京の新宿ですが、地方にも派生した界隈が存在していたことをご存知でしょうか?
大阪:グリ下界隈(グリ下キッズ)
大阪府大阪市中央区道頓堀のグリコサインの下。別称「西のトー横」と呼ばれていました。
神奈川:ビブ横界隈(ビブ横キッズ)
神奈川県横浜市西区の横浜駅西口にある「横浜ビブレ」の入口横にある通路であることから通称「ビブ横」と呼ばれました。
愛知:ドン横界隈(ドン横キッズ)
愛知県名古屋市中区の栄広場。目の前に「ドン・キホーテ」があることから、通称「ドン横」と呼ばれました。しかし、2022年6月頃から再開発のため広場は閉鎖されてしまいました。
福岡:警固界隈(警固キッズ)
福岡県福岡市中央区天神の警固公園。九州最大の繁華街・天神に位置し、かつて暴走族が深夜徘徊していたことで有名です。
こうした派生界隈の登場により、東京だけでなく日本全国のこどもたちもトー横キッズと同じような境遇のこどもが存在していること、そして大都会・東京への憧れがあることがわかります。
しかしこれらの場所は、現在防犯カメラがついたり近くに交番ができたりなど、2019年~2021年の全盛期に比べるとかなり落ち着いており治安が守られています。しかし、その場所にいたこどもたちが突然消えたわけではなくまた別の場所に集まるようになっただけで、根本的な解決には未だ至っていません。
トー横キッズは日々非行に走り、パパ活や薬物売買などでお金を稼いでいます。その中でも特に女の子は、稼いだお金を大量に「推し」に貢いでいます。未成年はホストクラブに入店することができないため、代わりにメンズコンカフェのキャストやメン地下アイドルに貢ぐことで彼女たちの承認欲求を満たしています。
コロナ禍に入り、顧客が減った夜の街。コロナが落ち着いてきた頃、なんとか顧客を増やそうと数々のお店がTikTokなどのショート動画を使い宣伝するようになりました。その影響で、風俗やパパ活、ホストクラブやキャバクラなどのいわゆる「大人の世界」がこどもたちの目に触れやすくなり、怪しげでキラキラと輝いて見える「大人の世界」は愛に飢えたトー横キッズたちを社会の闇へ招き入れるのです。
非行少年・家出少女の未来
自己愛を健全に育めなかったこどもたちは、「トー横は危ない目に遭うかもしれないから行くな」と言われても聞く耳を持ちません。
なぜなら未来にも自分にも希望を見出せないからです。今生きている今日が全てであり、明日も明後日も10年後も彼らにとってはどうでもいい話なのです。OD、未成年飲酒、自傷行為、援助交際などの犯罪が絶えないのは「自分は大切にすべき人間じゃない」と人生を諦めて絶望しているからなのです。
少子化が問題視される日々。謙虚であること、普通であること、努力できることが美しいとされる日本。ようやく「多様性の時代」と言われるようになりましたが、教育現場ではまだまだ時代に追いついていないのも現実です。自分を大切にするということはどういうことなのか、そしてそれをどう、こどもたちに伝えるべきなのか「トー横キッズ」の存在を通して考えさせられる部分がありました。
まとめ
かつて「トー横の帝王」と呼ばれたハウルの逮捕と自死。度々行われるトー横キッズの一斉補導。「頂き女子りりちゃん」の逮捕。日本の裏社会がニュースでもSNSでも大きく取り上げられ、それがこどもたちにも広がった2020年代前半。冒頭にて、「トー横キッズが市販薬でキメちゅう」という言葉が出てくるほど、日本の悪目立ちした部分がこどもたちの目に触れているという状況。もちろんこの状況が良いとは言えませんが、こどもたちがインターネットを使える限り完全に無くすことはほぼ不可能に近いと思われます。その上で私たちがこどもたちにどう接するべきか自分の人生に、未来に、少しでも希望を持って安心して生きていくにはどうすべきなのか考えていく必要があるなと思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
また次の研究日誌でお会いしましょう!