藤沢市 子ども文教常任委員会視察
10/21~23、子ども文教常任委員として行政視察を実施して参りました。
視察項目は3点です。
①東京都荒川区「ゆいの森あらかわについて」
②福岡県嘉麻市「学校施設と社会教育施設の複合化について」
③大分県別府市「たびスタ休暇について」
今回の行政視察では実際の施設に伺う現地視察がメインでした。藤沢市の今後の公共施設建て替え事業に活きる有意義な視察となりました。
ひとつ目の「ゆいの森あらかわ」とは、荒川区の中央図書館であり、幅広い年齢層が目的を持って図書館利用ができるよう設計された施設です。
荒川区議会副議長、荒川区副区長、ゆいの森課長より施設全体についてレクチャーを受けた「ゆいの森ホール」は四方に木製の本棚があり温もりを感じました。座席も広々としており、イベントスペースとしての活用に留まらず、通常時は親子で絵本を読んだりすることが出来るようです。本棚には著名な絵本がずらりと並んでおりました。それは、この施設の一階がえほん館、託児所、遊びラウンジが入っており、小さなお子さまと親御さんがゆったりと絵本に触れるための設計になっているからです。私自身も小さい頃は南市民図書館で絵本や児童書を借りていたことを思い出し、いつの時代も本は子どもの成長に欠かせないものなのだと感じました。
そして上階に上がるにつれ蔵書のターゲット年齢が高くなっていく仕組みです。広々としたラウンジブースや個別の学習ブースなども備わっており、全体を通じて「大学の図書館みたいだなぁ」と感想を持ちました。上階は私が通っていた上智大学の図書館のようでした。荒川区ゆかりの作家・吉村昭さんの記念文学館も併設されており、子どもから大人まで文学に関心を持つことができるような展示もございました。荒川区には「読書を愛するまち・あらかわ」宣言がございます。読書の重要性を問い、多世代に渡って本が親しまれる図書館行政について、かなり積極的に取り組まれているとのお話でございました。
藤沢市においては、南市民図書館(現ODAKYU湘南ゲート6階)の立て替えが市民会館の立て替えと共に検討されております。何より読書を通じて深まる生活の豊かさは私自身も信じているところでございます。将来の図書館建て替えに向けて、非常に有意義な視察となりました。
ふたつ目の学校施設と社会教育施設の複合化についてですが、藤沢市においても紛糾した議論がございます。「開かれた学校」とは果たしてどのような形態の学校であるのか。児童生徒をお預かりする以上、単に誰でも出入りができる学校というわけにはいきません。そうした中で嘉麻市の下山田小学校は、地域住民の利用も可能としているホール、調理室、和室、会議室、アリーナ(体育館)を併設した学校として整備されました。背景には少子高齢化に伴う学校の小規模化や財政的な理由があるそうです。それぞれの施設は小学校の学校行事で利用されるだけでなく、地域活動にも利用されます。
藤沢市においては幸いにして人口も増え続けており、南部の学校においては児童数の過大規模化が課題となっております。また学校の老朽化も進んでおり、鵠南小の建て替えが終了しましたが、今度は辻堂小の立て替えが予定されております。一方で北部、中部においては児童数の減少が顕れ始めており、市内で二律背反な課題を抱えている状況です。こうした現状を的確な児童数の予測のもと打開しなければならず、また財政的な課題もありますから、まさしく藤沢市の課題の一丁目一番地であると言えます。将来の学校建て替えに向けては、嘉麻市のように公共施設の複合化も議論の余地に入れていく必要がありますが、検討課題はたくさんあるわけです。そんな中での視察であったので、現場を見ることができて大変ありがたかったです。言葉を選ばずに言うと、嘉麻市は田舎でありますから、地域の方々の顔が分かるということが功を奏していると感じました。不断から見慣れた顔であれば、子ども達や学校教諭も安心して生活することができます。外部の人間をどのように区別するべきか、地域性を理解しながら進めることが重要であると思いました。
まだまだ議論のスタート地点ではありますが、箱物ばかりが乱立する行政であっては、住民福祉は置き去りになってしまいます。第一義的には児童生徒の安全安心への最大限の配慮が必要ですが、将来においては複合化も視野に入れつつ議論を進めて参りたいです。またその点ではコミュニティスクールのさらなる発展浸透も欠かせません。子ども達を地域で育てていくんだという、地域全体の温かい視線が必要であり、そうした機運醸成や制度設計が求められます。地域のことは地域で教えてもらう。学校の先生方の負担も軽減できます。非常に有意義な視察となりました。
最後に別府市の「たびスタ休暇」についてです。別府市は言わずと知れた温泉のまちですが、働く方々は土日祝の出勤がほとんどです。学校の休みと合わず、子どもと共にする時間が取れないことが課題であります。このたびスタ休暇では年間4日まで、学校をお休みして家族で旅行に行くことを推奨する、いわゆるラーケーションを認める休暇制度になります。実際に話を伺ってみて、非常に素晴らしい制度であると実感しました。「人間が賢くなる方法は人・本・旅」であるという考え方のもと、子ども達の課外学習と位置付けることで、この休暇制度が実現しております。旅行先は市内市外を問いません。授業の遅れに対する対応として、一人一台端末のタブレットでもって学習進捗ソフトを導入しカバーするよう検討がなされているそうです。
藤沢市においても江の島を中心に観光業・旅行業で就労されている方が多くいらっしゃいます。また農家さんや漁師さんにも活用される制度ではないでしょうか。議員にとっても活用できる制度です。「かわいい子には旅をさせよ」ということわざもありますが、旅を通じた成長や学習というのは否定できないと思います。市外・県外の歴史探訪に出ても良いですし、市内の魅力発見に努めても良いと思います。家や学校を飛び出して、新鮮なものを見るということ自体が大きな学習です。家族の会話が生まれるだけでなく、そうした経験を通じて地元に対する愛着が沸いたりすることもあるはずです。是非、藤沢市でも導入検討がなされるよう、議論を形成していきたいと思います。
以上、簡単ではありますが委員会視察の報告をさせて頂きます。
同僚議員の皆さまと時間を共にすることで、会派を超えた交流もあり、議会では意見を違えても、信頼し合える関係を作ることもできたと思います。ささやかではありますが各地の郷土料理なども楽しませて頂きました。
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