『RRR』が面白すぎるのでネタバレしないよう北斗の拳を引用して表現してみる
本記事は、『映画の感想を読むのは好きだけどネタバレが嫌いで、でもなんとか事前にネタバレとは言い切れない程よい感じで情報を確認し、観に行くか行かないかの参考にしたい人』限定の記事です。
北斗の拳を読んだこと無い人には意味がわからないので無理しないで。
RRRが面白い理由
日本人は結構、「神は細部に宿る」という言葉が好きかもしれません。
そういう表現で褒めれる映画を名作として認定し、安心して他人におすすめ映画としてお出ししたくなるものです。
本作『RRR』も、あらゆるシーンや要素でそれが言えると思います。
しかし、ではそんな言葉で人にこの映画の魅力を伝えられるのか?というと、無理です。
そこは当たり前の基本、基調になっていて。
それを前提にどんな映画として貫き作られているかというと、「エネルギーが全ての行間に詰まっている」といいましょうか。
キャラクターが暴れているときも暴れていないときも、スクリーンの裏側から常にガソリンや備長炭やニトログリセリンやドバドバを補給され続けていて、間欠泉のように定期的に吹き上がるけれどその地下に流れこむエネルギーは常に莫大で淀みがないといった趣があります。
※エンドロール中でさえ
この映画の魅力を短く伝えるならば、間断無きエネルギーと言えましょう。
なら何故、「神は細部に宿る」という表現を最初に持ち出したのかというと。
映画を観ながらなんとか冷静になって、「嗚呼……この殺陣いいなぁ…… 激しく突撃してくるバイクを前提とした殺陣かぁ……本邦の時代劇には出て来ないなぁ……」とか、その表現の発想・演出の魅力を考えようとしているのに、そんな怜悧な思考を毎秒吹き飛ばすように全身の九穴に蜂蜜を流し込むような怒涛の展開が続くからですね。
決して、エネルギーだけではないという事を伝えたかったのです。
敵は、悪辣暴虐鬼畜非道大英帝国
この作品は勧善懲悪要素ありです。大有りです。
故に、敵は巨大な悪であればあるほど映えます。
『大英帝国』
人類史において、これほど強力な悪役はありません。
「いや、日本だ!ロシアだ!米帝だ!」と異なる意見をがんばれば出すこと出来るかもしれませんが、インド映画ではもうイギリスしかありません。
『Z』『拳王親衛隊』『GOLAN』『羅刹』を兼ねる大英帝国
敵のラスボスは、鬼の哭く街カサンドラの支配者ウイグル獄長。
戦闘力はあり、主人公の派手な攻撃を喰らって乗り物が大破し吹き上がって凄いことになっても、そのまま空中で華麗に武器を取り反撃、部下たちの指揮を素早く取る猛者です。
ウイグル獄長といえば鞭ですが、もちろんそこも抑えていて、犯罪者を鞭打ちして自ら罪を認め跪かせるのが趣味です。
奥さんは輪をかけて鞭が好きで、このRRRという作品自体も彼女の極悪非道な活躍が無ければ成立しませんでした。
その部下たちも物凄いです。
大部隊で村を取り囲み、躊躇なく女子供を殺戮出来るようなエリート鬼畜ばかりです。
GOLANの方が女を生かしておくだけ優しいでので、イギリス人の残虐さが際立ちます。
インド人を殴る蹴るするだけで殺さないシーンもあり「もしかしてこのブリカス……優しい人?」って勘違いすることしきりです。
また、その殺戮者達には上級の更に能力の高い悪行執行部隊がありイギリスのインド支配は彼らの暴力があればまぁ確かにやれるわ、といった気持ちになります。
そんな、正真正銘不退転の悪魔達に、主人公が立ち向かいます。
主役にレイがいる
主役は2人。
一人は、さらわれた妹の為に戦うレイです。
当然、インド独立の大義とかまでは持っていない、素朴な正義感の男です。
本作では、彼の成長も見どころです。
強さに関しては序盤からほぼ完成していて、前半の大暴れアクションの見どころは牙一族を皆殺しにするレイを思い描いてくれればと思います。
その肉体的精神的な強さ、勇者としての素質が。
鬼畜イギリス人による容赦ない悪辣な暴力を受けるにつれ、輝きを増します。
聖帝十字陵頂上に聖碑を運ぶシュウとも重なる人物で、彼が虐待されているのを見る虐げられたインドの大衆が、「インドの独立心」「イギリスが憎い」という、感情を共有していくシーンが素晴らしいので注目して下さい。
もう一人の主役はファルコ
ジャコウの言いなりになってインド人を苦しめるファルコなんて、みんなは観たくないですよね。
ここらへんはもう、これ以上解説すると大きなネタバレになるのでやめおきます。
とにかく、金色のファルコのように強く、そして哀しい過去を背負い、鉄の意思で生きている魅力爆発の男がもう一人の主役です。
ネタバレにならない展開解説
上記の登場人物紹介だけでもはやストーリが読めるとは思いますが。
以下のような流れの作品が好きならば、この映画を観に行く事を強く推薦します。
・イギリス人が、ちゃんとイギリス人らしく酷いことをする
・怒りの理由、戦う理由が出来る。もしくはとっくに出来ている。
・大暴れするが、カイオウに半殺しにされたケンシロウ状態
・女神像と出会い、覚醒
・イギリス人がちゃんとイギリス人らしく酷いことをする回想たっぷり
・修羅の国の羅刹数千騎くらいが2人を襲う!!
・超絶空間
・ハッピーエンド❤
ささやかに優秀な点
エンドロールなんですが、エンドロール流れていてもしばらくそうだと自信持ってわからないくらい最後の最後までスクリーンと格闘することが出来ます。
エンドロールでの名前とかをまともに読ませる気は無く、そんなことよりも最後の1秒まで楽しんでくれよな!!という強い意思を感じます。
また、インド映画名物のダンスシーンがより自然な挿入になっているので違和感なくダンスエネルギーを受け取る事ができます。
がんばって、否定的なポイントも洗い出そうとしたが……
本作、最初に述べたようにパワーとエネルギーが隙間なく満ちています。
なので、脚本や演出に論理的な否定ポイントを頑張って抽出しようとしても結局面白さが土石流のように一瞬で押し流すので意味は無いんですよね。
例えば、イギリス人の中にも良い女の人も一人いるんですけど、その女の行動がイギリス人としてどうなの?を考え出すとまぁ本作の数少ないアラとして抽出出来なくもありません。
しかし、この作品にぶっとく流れる「インド!!」という大河の脚本の前には極めて些末なものとして思考の隅に追いやれてしまいます。
やはり、何もかも面白く勢いがあるとそれが全てを浄化して作品の些細な棘を焼き尽くしてくれますね。
北斗の拳も、冷静に読んだらストーリーおかしいですからね。
まとめ
イギリス人以外はみんな観に行って欲しい映画です。
もしもイギリス人が見ると、裏切り者が許せない気持ちになるからやめたほうが良いです。
また、今年はいい意味でも悪い意味でも映画が豊作といえるでしょう。
全ての映画は面白い面白くないの1直線上ではなく様々なベクトルで評価できると思いますが、角度はともかくその太さ長さは『トップガンマーヴェリック』『シン・ウルトラマン』と並ぶとんでもなく素晴らしいエンターティメント作品だったと思います。
劇場のスクリーンと音響で、是非この『RRR』を楽しんでもらいたいと思います。
無職へのお布施
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