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第31回Social Breakfast/『文化を次の世代につないでいくこと』

社会を変える朝ごはん「Social Breakfast」の第31回を、⻁ノ⾨ヒルズのOVAL CAFÉで開催しました!
 
SOCIAL BREAKFASTとは?
社会のためにと一歩踏み出したいけれど、何から始めたらよいかわからない。社内外の人たちとソーシャルグットで繋がりたい。先駆者に学び、社会を新たな視点から眺めてみたい。という方々が気軽に集える場(朝食代無料です!)をつくりたいと考え、森ビルさんの協力のもと、第一、第三火曜日に実施しています。

第31回Social Breakfastには、テーマを『文化を次の世代につないでいくこと』として立川志の輔一門 五番弟子の落語家、立川志の彦氏にお越しいただきまました。


立川志の彦(たてかわしのひこ)
1983年5月28日生まれ、東京都練馬区光が丘出身。日本大学文理学部体育学科卒業。立川志の輔の落語に出会い衝撃を受ける。師匠志の輔の公演先の名古屋まで練馬からヒッチハイクで向かい入門志願2007年10月 立川志の輔に入門。場とお客様さえあれば、全国各地様々な場所に飛んで行って落語会を開催し、落語好きにとどまらず普段落語に馴染みのない方や若い世代のお客様にも落語の楽しさを伝えている、子どもから大人まで落語の楽しさを伝えるために日々精力的に様々な場所で活動中の若手落語家

  志の彦さんは、落語という日本の伝統芸能を次世代にどう伝えていくか、というテーマに取り組み、全国各地で精力的に活動されています。
普段落語に馴染みのない方や若い世代にも楽しんでもらえる工夫を凝らし、ユニークな場所での公演や、子どもたちとのワークショップを通じて、落語の魅力を幅広い層に伝えています。
今回のイベントでは、志の彦さんがこれまで取り組んできた「くらやみ落語」や、銀の鈴広場での「エキ落語」、さらに地域でのワークショップなどの事例を紹介しながら、単なる伝統の継承だけではなく、「創造的破壊」を通じて文化を次の世代にどうつなげるか、その重要性についてお話しいただきました。

 
落語との出会い
 志の彦さんは大学時代にお芝居やパフォーマンスに触れ、その中で落語に出会い、強い衝撃を受けたことがきっかけで、落語家としての道を志したとのことです。「ただ座布団に座って話しているだけなのに、物語の世界が頭の中に広がっていく。この力はすごいと感じました」と志の彦さんは振り返ります。特に立川志の輔師匠の落語に出会い、その豊かな表現力と会話だけで世界を広げる力に衝撃を受け、弟子入りを志願し、修行を開始することになったとのことです。


「くらやみ落語」と「エキ落語」—新たな舞台への挑戦
 志の彦さんは、伝統的な寄席公演にとどまらず、暗闇の中で行う「くらやみ落語」や東京駅の銀の鈴広場での「エキ落語」など、ユニークな舞台での公演に挑戦しています。
「くらやみ落語」は、完全に視覚を遮断した暗闇の中で行われ、観客が自らの想像力を駆使して物語を楽しむという試みです。この公演は、視覚情報に頼らずに聴覚と想像力のみで落語の世界に浸ることができるため、通常の寄席では得られない深い没入感を味わうことができます。「暗闇の中では、普段見過ごしているような細かい音や、言葉のニュアンスが一層際立ちます。まるで目の前にシーンが浮かび上がるような感覚を味わってもらえます」と説明します。
くらやみ落語は、視覚が遮られているため、観客は一瞬一瞬の音や空気感に集中し、会場全体が一体となって物語を体験します。「普段なら見えるものが見えないというだけで、観客は自然と感覚を研ぎ澄まし、会話の一言一言に耳を傾けるようになります。そのため、どの瞬間で笑いが起こるか、どのシーンで感動が生まれるかといった反応も普段とは異なり、非常に特別な空間が生まれるのです」とのことです。

  「エキ落語」についても、その背景を説明しました。東京駅の銀の鈴広場での公演は、多くの人々が行き交う場所で行われ、日常の中で落語を体験してもらうという狙いがありました。「落語に興味を持っていなくても、通りすがりに耳にした言葉や話の一部が、少しでも心に引っかかれば嬉しいです。日常の中でふと足を止めてもらい、落語の世界に触れるきっかけを作ることができるのが、このエキ落語の魅力です」と熱く語ります。
 

 地域活動とワークショップ—落語の可能性を広げる
 志の彦さんは、幼稚園や福祉施設、地域の子どもたちとのワークショップを通じて、落語の魅力を広げる活動にも力を入れています。「子どもたちの純粋な反応は、私たち大人が忘れてしまいがちな笑いの基本を教えてくれることがあります。落語を通じて、地域社会や世代を超えたコミュニケーションが生まれ、新しい発見やつながりが広がっていくことを目指しています。
 
創造的破壊—伝統の継承と進化のバランス
 志の彦さんは、ただ伝統を守るだけでなく、「創造的破壊」を通じて新たな表現を生み出すことにも注力しています。活動には、プロジェクションマッピングとのコラボレーションや、VR技術を用いた実験的な公演など、落語の新しい可能性を探る試みも含まれています。
「テクノロジーを用いると、観客が想像力を使う余地が減ってしまうという懸念もあります。しかし、それでも現代の感性に響くような形で落語を進化させたいという想いがあります」と語る志の彦さんは、テクノロジーと伝統芸能のバランスを模索し続けています。新しい表現方法が落語にどう影響を与えるか、観客との対話を通じて、志の彦さんは未来の落語を構築しようとしています。
落語は「文化の伝統を継承しつつ、現代社会に響くものに進化させる挑戦の場」だそうです。「観客がただ受け身でいるのではなく、想像力を駆使して物語に没入できる空間を提供したい」と語る志の彦さんは、言葉だけで広がる世界の魅力を信じ、今後もその活動を拡大していくといいます。
 
まとめ
 立川志の彦さんは、伝統の枠にとどまらず、革新を続けながら落語の魅力を広げています。志の彦さんの挑戦は、落語が持つ普遍的な力を活かし、次世代へと繋げることにあります。「くらやみ落語」や「エキ落語」のような新たな表現を取り入れながら、地域との連携やワークショップを通じて、世代や背景を超えて多くの人々とつながろうとする情熱は、これからの落語界においても重要な役割を果たすと感じました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

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