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第30回Social Breakfast/ 『フェムテックの未来とは?』

社会を変える朝ごはん「Social Breakfast」の第30回を、⻁ノ⾨ヒルズのOVAL CAFÉで開催しました!

SOCIAL BREAKFASTとは?

社会のためにと一歩踏み出したいけれど、何から始めたらよいかわからない。社内外の人たちとソーシャルグットで繋がりたい。先駆者に学び、社会を新たな視点から眺めてみたい。という若者が気軽に集える場(朝食代無料です!)をつくりたいと考え、森ビルさんの協力のもと、第一、第三火曜日に実施しています。

 第30回Social Breakfastには、一般社団法人メディカル・フェムテック・コンソーシアム 常務理事の青木 勇気さんにお越しいただきました!!青木さんは、長年医療・ヘルスケア領域にてBizDevやサービス・メディアの企画開発、アライアンス、ロビイング、官民連携プロジェクトなど、幅広い業務に携わってこられました。
現在、日本では女性の健康問題を解決し、QOLを向上させるための、テクノロジーを活用した製品やサービス「フェムテック(Female とTechnologyをかけ合わせた造語)」の分野が急速に発展しています。
青木さんは、生活者がフェムテック製品・サービスを安心安全に利用するためには、医学的に適切な評価を行い、また制度面においても正当な評価を受けられるようにする必要があるという考えのもと、産婦人科専門医らとともに一般社団法人メディカル・フェムテック・コンソーシアム(MFC)を立ち上げ、「フェムテック振興議員連盟」に伴走して政策立案・実行支援までを担っておられます。
イベント当日は、フェムテック分野における最新の動向や社会に与えるインパクト、またこれまでのルールメイキングの成果についてもお話しいただきました。


青木 勇気
一般社団法人メディカル・フェムテック・コンソーシアム 常務理事スタートアップを中心に、10年以上にわたり医療・ヘルスケア領域のBizDevやサービス・メディアの企画開発、アライアンス、ロビイング、官民連携プロジェクト等、幅広い業務に携わる。2020年、一般社団法人メディカル・フェムテック・コンソーシアム(MFC)の立ち上げに参画、「フェムテック振興議員連盟」に伴走して政策立案・実行支援までを担当。2022年、常務理事に就任。2023年、ルールメイキングや新規事業のハンズオン型コンサルティングを行うMidnight Express社を設立、CEOに就任し、現在に至る。「Femtech Tokyo」等の大型イベントや薬機法関連セミナーでの講演、「厚生福祉」(時事通信社)フェムテック記事連載、慶應義塾大学 SFC「セクター横断型の政策形成」の講師等、実績あり。


フェムテックの広がりと日本の現状

 今回のイベントでは、メディカル・フェムテック・コンソーシアム(MFC)の常務理事である青木さんをゲストに迎え、フェムテックという新しい分野が日本でどのように成長しているか、またその過程で直面している課題について詳しくお話を伺いました。青木さんは、フェムテックが女性の健康を支える重要な手段であり、近年日本でも注目されつつあることに言及しました。フェムテックとは、女性(female)とテクノロジー(technology)を組み合わせた造語で、もともとはドイツの起業家が女性の健康に関する製品を世の中に広めるために、男性中心の投資家たちに向けて使った言葉と言われています。
 フェムテックという概念は徐々に世界に広がり、日本でもその認知度は上がりつつありますが、「まだまだ理解が追いついていない部分も多い」と青木さんは言います。フェムテック市場はここ数年で急成長しており、女性特有の健康課題に対する解決策を提供するものとして、大きな期待を集めています。

法整備と規制の課題

 フェムテック市場の発展において重要なのは、適切な法整備と規制の対応です。青木さんは「フェムテック市場が拡大する一方で、薬機法や景品表示法といった規制に触れてしまうリスクも高まっている」と指摘しました。フェムテック製品の評価や、海外で既に導入されている製品を国内に持ち込む際には、行政との連携が不可欠です。そこで、MFCは厚生労働省、事業者と協力し、フェムテック製品が日本市場に安全かつ効果的に普及するための制度づくりを進めています。
 特に、スタートアップ企業が新規参入するには、規制等のハードルが高い現状があります。このため、青木さんは「新しい技術を持つ企業が市場に入ってくるためには、法的な整備が必要です」と強調しました。

フェムテックの価値と女性のライフサポート

 フェムテックが提供する価値は、単に製品、サービスを提供するだけにとどまらず、女性のライフステージごとの健康課題に対して、制度面含めサポートすることにあります。青木さんは「フェムテックの本質は、一生を通じて女性が抱える健康課題を解決することを支援し、QOLを向上させることにあります」と強調しました。特に更年期に関連する問題は、働く女性に大きな影響を与えており、日本では毎年約1.9兆円もの経済損失が発生しているといいます。
 また、大手企業の進出により、高品質で手頃な価格帯のフェムテック製品が増え、消費者にとってのアクセスは改善されていますが、青木さんは「フェムテック市場がさらに成長するためには、各事業者が一部の人が利用できる製品、サービスを開発するだけでは不十分で、女性活躍・男女共同参画といった文脈で制度を設計し、フェムテックを導入することを当たり前にする必要があります」と話し、フェムテックをより広義で捉えることの重要性を強調しました。


政策を推進するには、政官民の連携が必要

 フェムテック市場の成長には、政官民で協力することが不可欠です。青木さんは、フェムテック振興議員連盟の設立に携わり、政府と業界の連携を進めるための活動を行っています。フェムテックはすでに日本の「骨太の方針」に盛り込まれており、政府がこの分野の成長を支援する方向に舵を切っています。「政策がしっかりしていなければ、どんなに良い製品でも市場での成功は難しい」と青木さんは説明し、フェムテックが今後日本社会で重要な役割を果たすためには、政策的な支援が不可欠であると強調しました。
フェムテック製品の普及を進めるためには、事業者、業界団体、医療者等の専門家らが政治・行政と連携してルールメイクしていく必要があります。青木さんは、「国としてフェムテックを支える政策が着実に進んでいる」と述べ、今後も政策の後押しを期待しています。

フェムテックの未来とスタートアップへの期待

 青木さんは、日本におけるフェムテック市場の未来についても言及しました。「もっと多くのスタートアップがこの市場に参入できるようにすることが重要です」と述べ、新しい企業が直面している課題についても説明しました。規制や市場参入のハードルが高いことで、多くのスタートアップが苦戦している現状があり、これを解決するためには、さらなる法整備と経済的な支援が必要です。
さらに、青木さんは今後のフェムテック市場の成長には、プログラム医療機器(SaMD)や性差医療におけるイノベーション、PHR (Personal Health Record)の利活用が鍵を握ると考えています。「今後は、女性の健康をサポートするために、より高度な技術が求められる時代です」と語り、フェムテック市場が新たなステージに向かうことを期待しています。

 今回のイベントを通じて、フェムテックが日本の社会と経済に与える影響、そしてその成長を支えるために必要な政策と協力体制について、多くの学びを得ました。青木さんのメッセージは明確であり、女性の健康を支えるフェムテックが今後どのように発展していくかが非常に楽しみです。
青木さん、参加者の皆さんご参加いただきありがとうございました!

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