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第34回Social Breakfast/『身近な問題も、グローバルな問題も、自分のできる限りで取り組む。』

社会を変える朝ごはん「Social Breakfast」の第34回を、⻁ノ⾨ヒルズのOVAL CAFÉで開催しました!
 
SOCIAL BREAKFASTとは?
社会のためにと一歩踏み出したいけれど、何から始めたらよいかわからない。社内外の人たちとソーシャルグットで繋がりたい。先駆者に学び、社会を新たな視点から眺めてみたい。という若者が気軽に集える場(朝食代無料です!)をつくりたいと考え、森ビルさんの協力のもと、第一、第三火曜日に実施しています。

第34回Social Breakfastには、テーマを『身近な問題も、グローバルな問題も、自分のできる限りで取り組む。』として、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の日本常駐代表で一般社団法人最愛の食卓の共同創業者・理事も務める柏倉美保子さんにお越しいただきました。


柏倉 美保子
ビル&メリンダ・ゲイツ財団
日本常駐代表 投資銀行、ESG投資、世界経済フォーラム勤務を経て、2017年よりビル&メリンダ・ゲイツ財団初の日本常駐代表に就任。

国際協力(ODA):インフラから「人」へ
はじめに、国際協力における日本のODA(政府開発援助)の歴史的な背景と現状をお話しいただきました。これまで日本はインフラやエネルギー分野を中心に資金や技術を提供してきましたが、現地での実際のニーズは医療や栄養、母子保健といった「人の命」に関わる分野にまで広がっています。さらに、現地の政策や課題を変えるためには、NGOや地元団体の育成が欠かせないとし、草の根的な活動の必要性を強調されました。また、「国際協力をキャリアとして考える人がまだまだ少ない」と指摘。新卒社会人のみならず、転職を考える社会人層にも「こうした分野に挑戦してほしい」と呼びかました。
 


次世代を育てる:キャリアと教育の在り方
若い世代の力が今後の持続可能な社会の実現にとって不可欠であるとし、学校教育や企業文化の在り方について具体的なお話しがありました。
「学校教育の段階から社会課題に向き合う意識を育てることが大切です。また、企業文化の中でボランティアを奨励することで、社員が身近な形で社会貢献に関わる機会を増やすことができます。」
また、国際協力やアドボカシーのキャリアがまだ十分に認知されていない現状を指摘し、「この分野でのキャリアパスを広げることで、若い世代が挑戦しやすくなる」とのお話しがありました。

国内の貧困問題:子ども・高齢者への食糧支援とメンタルサポート
国内の貧困問題に対しても強い危機感があるということでした。特に、子どもの貧困や高齢者の孤立といった問題に焦点を当て、これらの課題が社会全体に与える影響について教えていただきました。足立区をはじめとする地域での活動を例に挙げ、具体的な取り組みを紹介いただきました。
「足立区での活動では、母子世帯や生活困窮者の方々を対象に、食糧支援や居場所づくりを行っています。最初は単なる食材の提供から始まりましたが、活動を続ける中で、単に食べ物を届けるだけでは解決できない課題が多いことを痛感しました。」
活動の中では、生活困窮者への支援をきっかけにメンタルヘルスや自己肯定感の向上を目指す取り組みも行われており、子どもたちとその親の心のケアが重要だと強調されました。また、高齢者については、「助け合いの関係を育むコミュニティ」を構築する重要性を訴え、具体的なエピソードを通じてその必要性を言及されました。
 
フードロス削減 × 福祉支援:企業との連携モデル
企業との連携によるフードロス削減と福祉支援の新しいモデル構築にも力を注がれています。具体例として、ホテルや飲食店で余った「安全な食事」を衛生管理ガイドラインをクリアした上で困窮家庭に届ける取り組みを挙げ、企業や行政と連携する仕組みを整えつつある現状を共有いただきました。
「企業には食品を寄付したいというニーズがありますが、衛生管理や運営コストなど多くの課題があり、実現には至っていないケースが多いです。そこで、省庁などとも協力し、企業が安心して参入できる仕組みづくりを進めています。」
また、フードロス削減は環境問題の解決にも寄与することから、今後は「日本全国に広げ、持続可能な社会に貢献するモデルを確立したい」と展望をお話しいただいきました。この取り組みの中で、地域のNPOや行政との協力も欠かせない要素であり、連携を深めていきたいとのことでした。


フィランソロピーがもたらす「本当の幸せ」
フィランソロピー(慈善活動)によって得られる「本当の幸せ」についてもお話しがありました。
自身が関わる活動を通じて感じた「困難を乗り越える喜び」や「他者と喜びを分かち合う幸福感」の価値を、エピソードとともに共有いただきました。
「高価なものを買うことによる一時的な幸せではなく、誰かを支え、一緒に喜びを分かち合う経験は長く心に残ります。特に、社会課題の中で具体的な変化を生み出すことができたとき、その感動は何ものにも代えがたいものです。」
また、親子でのボランティアの重要性を挙げ、地域社会で助け合う文化を醸成することが未来への投資になると述べました。こうした取り組みを広げることで、多くの人々が社会課題に向き合いやすい環境を作ることが期待されるとのことです。

まとめ
今回のSocial Breakfastは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団 日本常駐代表の柏倉美保子さんをお迎えしました。柏倉さんは、日本のODA(政府開発援助)について、医療や教育など命に関わる分野への支援強化の必要性を言及され、地域密着型のスキーム構築の重要性を訴えました。日本の強みを活かしたアプローチが、現地のニーズに応える支援につながると力強いメッセージをいただきました。
また、国内の子どもや高齢者の支援についても触れ、生活保護を受けていない世帯やひとり暮らしの高齢者への支援不足を指摘。信頼関係を築きながら、食料支援だけでなくメンタルヘルスや教育への支援を広げていく重要性を語りました。一方で、食品価格の高騰や寄付減少の現実的な課題も共有されました。
さらに、国際協力分野でのキャリアの可能性について、「挑戦する価値がある」と若い世代への応援メッセージが印象的でした。また、食品ロス削減における企業や政府との連携事例も紹介され、持続可能な社会づくりへのビジョンを共有してくださいました。
最後に、「人を幸せにする活動がフィランソロピーの目的」と述べ、親子でのボランティア活動の意義や、寄付文化の普及への課題も提起されました。
 
地域社会や企業、行政が一体となって持続可能な未来を築いていくことが重要だというメッセージが印象的でした。Social Breakfastは、今後も社会をより良くするためのヒントやアイデアを共有する場を提供してまいります。ご参加いただき、ありがとうございました!
 

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