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【課題ラボ】抱えていたモヤモヤに、名前をつけることで動き出す。

「課題解決の交流拠点」として運営をしている、まちのオフィスQ+。まちの人が、課題をネガティブなものと捉えるのではなく、解いたら未来がハッピーになる”宝物”のようなポジティブなものとして捉えてほしい、そんな想いで行なっている取り組みがあります。

それが、まちのオフィスQ+ × 課題ラボ。

これは、電通Bチームと日本NPOセンターがタッグを組んで行なっている「課題ラボ」と、まちのオフィスQ+がコラボしたプロジェクト。

参考:https://www.jnpoc.ne.jp/?page_id=15816

2020年に津和野の方が感じる”まだ名前のついていない”課題を集め、整理し可視化(カード化)を行いました。カードになった課題を元に、イベントやワークを通して、アイディアや仲間を集め、解決に向けて動き出しています。
まちの課題の解決を、誰かに任せるのではなく、自分たちが主体となって動いていくためのプロジェクトです。(課題一覧や解説などは、ぜひInstagramよりチェックしてください)
そんなプロジェクトが少し前に進んだので、その経緯と要因分析をお伝えします!

■第一回イベント実施。そこから生まれたものは。

2021年6月。「まちのオフィスQ+ × 課題ラボ」の第一回イベントが行われました。ここでは、カード化した課題のお披露目をしつつ、津和野が力を入れている地域を巻き込んだ教育について、現場の前線を走る方たちからプレゼンしてもらい、関連する課題についてディスカッションをする場を設けました。

ピックアップされた課題は、以下の3つ。

当日は、ゲストプレゼンターより、地域を巻き込んだ教育に力を入れている背景や実際に現場で行われている取り組みについてプレゼンをしてもらった後に、参加者の皆さんが「解いてみたい」と感じた課題について上記3つのうちから1つ選んでもらい、集まったグループで興味を持った理由や解決のためのアイディア出しをしてもらいました。

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解決に向けた多様なアイディアが出るだけでなく「こんなことも実は課題と思っていたんだよね」というような、新たな課題の火種も見えてきました。

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そんなイベントの終了後、一人の参加者Sさんからこんな声をいただきました。

「私、”学校になじめないと、町にもなじめなくなる問題”、ちょっと本気で取り組んでみるわ」

教育魅力化コーディネーターという、学校と地域をつなぐ仕事をされているこの方は、学校に行けていない子への対応について、ずっと何かをしたいと思っていたが、なかなかきっかけがなく動き出すことができていなかったそうです。
イベントの場を通して、参加者の方々と一緒にディスカッションをする中で、自分の気持ちにも改めて気づき、動いていきたい、と思ったことから、そのようなことを伝えてくださりました。

■課題解決に向けて、まず僕らが仲間になる。

課題解決の交流拠点としても、その気持ちを全面的にバックアップしていきたかったため、次回課題ラボイベント(当初は7月実施予定)にて、その課題についてみんなでもっと深堀をしながら、解決のためのアイディアを現実にするための場を一緒に作っていきましょう、という提案をさせていただきました。

その日をきっかけに、Sさんの感じる課題感や課題にまつわる現状についてのヒアリング等を実施。内容の詳細についての記載は控えさせていただきますが、ざっくりこのようなことをしてきました。

<やってきたこと(時系列順)>
①現状のヒアリング
②Sさんが課題解決を通してやりたいこと・イベントで参加者に協力してもらいたいこと整理
③そもそも課題とはなにか、という認識すり合わせ
④理想と現実の整理
⑤解くべき課題の整理

抜粋して一部紹介すると
③そもそも課題とは何か。
課題、と聞くとなんとなくのイメージとして「よくないこと。改善した方がいいこと」と捉えがちです。その捉え方でもそれほど間違ってはいないと思いますが、課題解決を意識すると、もう少し丁寧な認識があるほうが、考えるべきポイントがハッキリとしてきます。

課題とは、想い描く”理想”と”現状”を比較した時に、理想に届いていない現状のことである、と表現されます。

0710課題ラボプレゼン

まず、描いている理想ってなんだったっけ。そしてそこにまつわる現状を整理すると、本当はここが課題なんじゃないかな。
そんな要領で、改めてSさんの思う課題について、一緒に整理を行なっていきました。

④理想と現状の整理。
その整理から、理想状態と現状を書き出していきました。

理想
・どんな学生にとっても、適切に学び・勉強の機会があること(学習支援など)
・コミュニティの中で生活する・対人関係を構築する場に身を置けること(居場所作りなど)
現状
・学校に行けなくなった時に、行き場所がなくなり、部屋に閉じこもってしまうことが多い

⑤解くべき課題の整理:「学校に馴染めないと、まちにも馴染めない問題」って本当は何が問題なんだろう。

学校に行けなくなると、学び・勉強のための機会や選択肢が絶たれてしまう

⑤’そこから見えた解決に向かう方針

 学校に行けなくなったとしても、学べたり、居場所を見つけられるような環境支援をする

そんな整理をしていると、この課題解決のために教育委員会や学校の先生をはじめ、教育機関の方とSさんがまず一緒にできること・すべきことがたくさん見えてきました。

7月のイベント実施を予定していた僕らですが、「この課題解決のために、地域の方を読んで今イベントを実施することが本当に適切だろうか」と立ち返り検討し、イベントを中止することにしました。
しかし、この課題の解決のためには、地域の方の協力が不可欠、というところは見えているので、また改めてイベントの場を開き、この課題を地域の方たちと一緒に解いていきたいと思います(その際はぜひご協力をお願いします!)。

■誰かと誰かの「自分ごと」の課題が掛け合わさることで、動き出す

予定していた7月のイベントは中止になりましたが、6月のイベントをきっかけにSさんと一緒に課題について深堀をしていくことで、課題を取り巻く現状や描く理想などを整理することができました。
この整理する作業を通して、Sさんは課題解決に向けて関係者との調整が進み、課題解決のための施策の実現がいくつか見えてきています。

整理する、ということが課題を進める上では一番大切ですが、今回課題が前に進んだことには以下2つの要因が絡んでいるのではないかと思います。

・Sさんの課題解決に、まちのオフィスQ+も自分ごとで取り組めたこと
・イベントの日までにこういう整理をしたい、という期限があったこと

どんなコトでも共通して言えること、かもしれませんが、特に「自分ごと」が大きく起因しているように思います。

前章にて「仲間になる」という一文をタイトルに含ませていただきました。
仲間になる、というのは「相談に乗る」だけの存在では少し足りない
「自分もその課題を通して、こういうことをしたいから、一緒にやろう」と自分ごとを持っていると足並みが揃って、同じ目的に目を向けられる存在が「仲間」になれるのではないかと思います。

課題を可視化することで、課題解決の「仲間」が増えていく。
そんなことを、これからもまちのオフィスQ+をきっかけに増やしていきたいです。

Sさんと進めるこの課題が解決に向かう進捗は、また改めてお伝えさせていただきます。
次は秋頃に動きがありそうです!

■誰かに話す中で、気持ちや思考が整理されることがある

最後に。
実は、Sさんの課題が進んでいった背景には、6月イベントでゲストプレゼンターとして話してくれていた教育現場の方も、その課題解決に向けてイベント後動き出していた、という要因もあったそうです(関係各所に話を通してくれる、などしてくれていたとのこと)。

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ゲストプレゼンターの方が動き出してくれた要因については改めてヒアリングができれば、と思っていますが、みんなの前で話すことで改めて気持ちや思考が整理された、というのがこの方にもあったのかもしれません。

まだ言葉にできていなくても大丈夫です。
あなたにとっての、小さくても偉大な課題をぜひ僕たちに聞かせてください。

誰かに話すことで、その課題が解決に向けて動き出すきっかけになるかもしれません。


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