●八方美人の街並み

八方美人。

皆んな知っての通り、みんなにいい顔をすることを示す言葉だ。

八方美人に対して皆んなはどんなイメージがあるだろうか。

そりゃ勿論、こういう良い面もあるよねと、八方美人に回答すればそういう言葉が出てくるのも知っている。しかし、ストレートに、まず第一に心に浮かぶイメージはこうだ。
きっと皆んなこうだ。決めつけてあげよう。

こうだ。

『つまらない』

である。

他には、本心がわからない、掴みどころが無い、仲良くなれない、個性がない、何者でも無い、誰だお前?である。

四方八方誰からも好かれようなんてするから、誰からも好かれないのである。
正論ほどつまらないものがないように、誰からも好かれるものはつまらない。

「嫌いだ」と言ってくれる人がいるからこそ、「好きだー!!」と言ってくれる人も存在する。

良いかい?この世の真理は“波”である。“振動”である。

光も音も熱もあなたの熱い想いも、全ては振動がもたらす現象だ。
負に大きく振れた分だけ正にも大きく振れるのだ。

八方美人はつまらない。異論は認めない。

そしてどうやら、今、日本には八方美人が建ち並ぶ街並みが溢れかえっているそうだ。
それは、大手ハウスメーカーの住宅が建ち並ぶ住宅街である。

綺麗だしオシャレだし良いじゃないかという声が聴こえてくるが、僕の意見は綺麗でオシャレでつまらないだ。
大手ハウスメーカーのデザイン。あれは、誰が見ても70点。そういうデザインを目指して作られている。正論で固められた、非難のしようのない、無難な完成されたデザインだ。

住宅というのは価格が価格なだけに、お客さんの購買志向も無難に寄ってしまうから、設計者はそこに焦点を合わせているのだろうか。

だとしたら、日本人の感性は本当に悲しいレベルまで落ちぶれてしまっていると言わざる負えない。
このままでは、日本の街並みに魅力を取り戻すのはおろか、スーパーのリンゴの表面に塗られているワックスを無くすのもまだまだ当分先になりそうだ。

いいなと思ったら応援しよう!