復活の呪文
非常によろしくない状況は誰にだって訪れるものだろう。
緊急事態の足音を聞いたことがない人は、恐らく存在しない。
所謂この、"ヤバい、ナウ" であるが、昨今の「ヤバい」の八面六臂っぷりは頭が上がらない程である。それは、日常のあらゆる場面で跋扈しており、もはや、これだけで会話が完了する。
「ヤバくない?」
「ヤバい、ヤバい!」
これは、ヤバい。
何がヤバいとかじゃなく、ヤバい。ヤバ沢さんである。
ヤバい、ヤバい。
兎に角、程度が激しいときにはこれを使っておけば、何となく乗りきれる程のジョーカー。
それが、"ヤバい"。
しかし、今回私が焦点にしたいのは、当人にとって、最悪ともとれるケースが訪れた際の "ヤバい" である。
よって、ここでは、この "ヤバい" を "ヤヴァい" と表現することにする。下唇を歯で噛みしめながら、解き放つように発音していただきたい。
さて、ヤバいぐらいに前置きが長くなってしまったが、ヤヴァい状況に私もよく陥ることがある。
不幸の四面楚歌。悪の輪廻。やっちまったなぁの七転八倒。
クールポコの威勢が、四方八方から延々と脳内に木霊するのだ。
端的に表現して、地獄である。
ヤバいぐらいのCOOLなアーメンをポコに捧ぐ。
実にクールポコである。
人はヤヴァい状況の中では、ワケがわからなくなるものだ。
それを真っ直ぐに表現したのが前述の通りである。
決して、悪のりが止まらなくなったワケではない。
今日は、このヤヴァい状況を乗り越える方法を皆様に御提供したい訳ではない。今までの失敗談をつらつらと建ち並べる訳でもない。
ヤヴァい状況に収まってしまった場合、「とりあえず何か打破できそう」と自らに暗示を掛ける方法を共有したいのである。
あくまでも暗示であり、現状は何一つ変化していないことに注視していただき、しかし、心の中に僅かでも火を灯すことができるかもしれないという所に、価値を見出だして欲しい。
その方法は、実にシンプル。
「卍解」と言うだけである。
それは、朽木白哉のように浅く呟いてもいい。
打開策がまるで彼の卍解の千本桜景厳のように、幾千も脳内に降り散るだろう。
それは、斑目一角のように激しく叫んでもいい。
立ち塞がっていた、当時は不可能だと思っていた壁が、いとも簡単に吹き飛ぶような閃きを覚えるだろう。
元ネタは、御存知の通り "BLEACH" である。
厨二病だと謗る人もいるが、侮ることなかれ。
騙されたと思って、呟いてみるといい。
現に、あなたは危機的状況にありながらも、それを打倒するべく策を巡らし、武勇を奮う楽しみに支配されているではないか。
口角の上がったその顔が、何よりの証拠である。
この言葉には、我々を奮い起たせる力がある。
私も、この言葉には何度も救われてきた。
いや、この言葉を端に、自らが自らを救ってきたのだ。
これは、苦難を乗り越える強力な友なのである。
これさえあれば、ついて行ける、君のいない世界のスピードに。
時に、作中では、卍解は隊長格しか使えないという設定がある。
故に、「これを唱えてもダメだったじゃねーか!」という苦情は受け付けることはできない。
こういうケースもあるという、リアリズム。
そんな目で俺を見んな。