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持続可能なまちづくりとは・「商店街とSDGsの関係性を考えるVOL.6(#7)

勝川駅周辺の開発は、昭和63年春日井市が勝川駅周辺総合整備計画を策定し始まります。翌年に、区画整理事業を始めとする7つの大枠の事業が計画されましたが、他にも勝川駅前地区商業活性化モデル事業(通称:コミュニティマート構想)など、全体で15事業が同時に行われました。

勝川駅周辺総合整備事業

①と④⑤の区画整理事業他は市施行で、⑦は⑥の中央線と国道302号線・東名阪(現:名2環)の立体交差事業のため県施行で行われています。特に①と③で行われた事業には、立体換地制度が採用されています。

立体換地とは
要約すると、土地の権利を土地ではなく、建築物のフロアーに変換をする手法です。勝川駅周辺は、過小権利が密集していた関係で、この手法が取られました。ただ、不動産を償却資産に変更する手法は、なかなか広まらず全国でも僅か3例(内、勝川が2例)しかないのが現状です。詳しくは、公益財団 区画整理促進機構の資料で確認ください。

https://www.sokusin.or.jp/files/rittaikanchi-tebiki01.pdf

勝川駅周辺再開発事業の特徴と問題点

1,合併(同時)施工
勝川駅周辺再開発事業の特徴の一つは、区画整理事業と再開発事業の合併(同時)施行です。このメリットは、従前資産の評価を区画整理側で行うため、再開発事業側は省略できたこと。もう一点は、従後の資産を再開発事業に参加する権利者と、転出(金銭・代替地)する権利者を、区画整理側で整理することにより権利変換計画を策定できたことです。
2,事業の長期化
反面、勝川地区だけではなく再開発事業は長い年月と手間暇がかかります。勝川・松新両地区の場合100名以上の権利者(土地所有、関係権利(借地、借家))の従前資産を評価し、資産保全を前提とした合意形成(全員同意)、さらに都市計画決定などの法的手続きや、公安など関係機関との調整など、事業の長期化は避けられません。期間が長くなればなるほど、自分の資産(権利)への思い入れや考え方、期待度の違いが表面化し、また、私の父の様に他界する人もいますので、この調整には大変な労力と時間が必要です。総合計画が決まってから準備組合を設立するまで約5年、本組合に移行するまで約15年。行政とコンサル、組合役員の執念です。

開発前のまちの様子

3,大規模建築物を計画せざるを得ない必然性
再開発事業は前項でも説明したように、転出希望権利者への資産処分金や事業資金(建築費他)を回収するため保留床の売却が必要です。この処分先やテナント誘致の目途が立てられないと事業が進みませんが、再開発法で容積率が400%以上と決められていたので、必然的に大きな建物を作り保留床を増やさないと事業が成立しないことになります。東京などの都心部では1000%を超える事例もありますが、地方では容積率を積み増しても、需要が無ければ破綻してしまいます。これも前項で説明しましたが、この保留床を民間に売却することが出来ずに、行政が取得する補助金の二重構造も問題になっています。むしろ400%未満でもキチンと成立する再開発法の改正が必要です。

準備組合から3つの本組合へ

平成2年に立ち上がった準備組合ですが、街区によって用途や条件が変わるため、3地区に分けて進められることになります。

勝川駅北A2地区は、7人の権利者で構成する再開発組合から、春日井市、春日井商工会議所、春日井市内の企業などが出資する勝川開発株式会社(三セク)が借地し建築、春日井市、春日井商工会議所、銀行等が出資した三セクの(株)ホテルプラザ勝川が、運営を受託する構図で平成11年に開業しています。あらかじめホテル建設に賛同した地権者を区画整理側の換地で整理した結果、スムーズに開業にこぎつけることが出来ました。
ただ、当初、大阪の名門「ホテルプラザ」の子会社が出資し、運営受託も行う予定で名称が付けらましたが、開業準備中にホテルプラザ本体の閉鎖と清算が発表されたため、開業時にはホテルプラザの元従業員を一部受け入れ開業にこぎつけています。シンボルマークのデザインやロゴタイプの書体は、現在も旧ホテルプラザと同じものを使用しているのはそのためです。
また、税負担を軽減するため資本金額を圧縮して、さらに追加募集するという荒業や、ホテルのフロアーの一部を市が買い取る形で資金援助しています。いまや春日井市の顔になった施設ですので、官民挙げての努力が続いています。

A-2地区・ホテルプラザ勝川

松新地区は、松新地区再開発組合(本組合)が、4棟建設し、商業(医療モール)・駐車場を、地権者でつくる松新開発㈱が、保留床を取得しテナントと直営で運営。住宅はライオンズマンションの株式会社大京が取得し平成18年に竣工しました。

左:一番館 正面:2番館 右:立体駐車場

勝川地区は、勝川地区再開発組合(本組合)が、5棟建設し商業・住宅のパレッタと従前の権利者が入居したパセオは、地権者法人の(株)まちづくり勝川と積水ハウスが取得し、まちづくり勝川は、従前の商業者とテナント(スーパーマーケット他)を誘致、積水ハウスはグランドメゾンのブランド名で分譲しています。テナントビルのリプロは、従前の地権者の権利変換と不足分は金銭で清算、駐車場は入札の末、メイパークを運営する会社に売却します。しかし、誘致した食品スーパー山彦(本社:稲沢市)が9年で撤退、その後を引き継いだ地元のナフコ不二屋も3年で撤退したため、食品スーパーの誘致は諦め、大幅な施設改修後、現在は各種テナントを配置したコミートとして再出発しています。

勝川地区・グランドメゾンイーストとパレッタ


左:リプロ 正面:パセオ 右:エレベーター(公共)

同時に、勝川駅の南側も順次開発が進みますが、こちらは再開発ではなく市施行の勝川駅南口の区画整理事業で進められています。ロータリー、立体公共駐車場の公共施設が整備され、勝南プラザは、ルネック同様、立体換地ビルとして、市の施設やテナント、賃貸住宅が建築されています。その他、北側には地下公共駐車場も整備されていますが、ルネックも含めて、勝川開発(三セク)が管理しています。

右:勝川駅 正面:公共駐車場 左:勝南プラザ


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