[リバーズ・エッジ](2018)
私はバブル期前後の空気は知らない、オザケンもそこまで知らない(フジロックでも見損ねたし)、岡崎京子ド真ん中世代よりは下だと思う。有名作はだいたい読んでるけど好きな漫画家を聞かれたときに名前を挙げるほどの大ファンでもない。そんな私でも、この作品を20年近く経って映画化するとなればその内容には嘱目してしまう。
モノローグや枠外での作者のツッコミ(今の漫画ではあまり見ない気がする)が多い岡崎京子作品を映画化するにあたって、ナレーションをそのまま挿入するのは無粋だと思っていたら、監督による登場人物へのインタビューが随所に入る形で構成されていた。特に主人公ハルナの言葉が強いメッセージ性が。"事件の後"のインタビューの人と、"前"の人が混在しているのも、仕掛けのようになっていて面白い。
ハルナは"普通の女子高生"のようでいて、正義感や行動力がありそうなのに流されるし受け身な「ただの入れ物」なのではないかと思っている。山田くんやこずえと不思議に繋がるのも、ただの入れ物で中身がない=「死」を感じさせる存在だったから、なのかと。そうだったハルナが「生」に前向きになったことがわかるあの台詞がインタビューを通して登場したことで、映画の終焉の先にある未来を感じた。
インタビューで登場人物の心情を表現するという構成以外はかなり原作に忠実で、見た目もしっくりくるキャスティング。岡崎京子の描く半目みたいな二重の女の子の表情を、二階堂ふみちゃんのくっきりした瞳でもそれらしく見えた。ミステリアスで棒読みみたいな話し方をする、ハシバミ色の瞳が印象的なSUMIREも良かった。吉沢くんについては印象がなくて、仮面ライダーやってたのとキラキラJK映画に出てるのしか知らなかったけど、とても良い雰囲気で色気があって、黒猫みたい。山田くんにぴったりだった。