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[去年の冬、きみと別れ](2018)

原作未読にて鑑賞。だいぶ内容は変えているようですね。
登場人物は、全員狂っている。でも、「愛」の話。

申し訳ないけど主演のがんちゃんのイメージはどうしようもなく演技ができない人というものだったので観るのが怖かったのだけど、意外にもとても良い!という評価を聞くことが多かった。実際、「あの恐怖のタワマンドラマで体操教室の先生をやっていた棒読みがんちゃんはどこへ!?」という感想だった。しっかり演技してた。監督が「その台詞は半音上げて」「自分の中の一番低い声で」などと細かく指示していたというだけあって、全編にわたってその演技指導が生きたのだろう。最後のほうなんて、LDHの歌って踊るお兄ちゃんの面影は全くなく、絶望しきって闇に生きる獣のような男がそこにいた。「この人、こんな顔してたっけ…?」と思わされた。

工夫の凝らされた構成で、最初から違和感を持つ。でも予告編であんなに「すべて罠!」「あなたは何度もダマされる!」と謳っていたら、初めから穿った見方をしてしまう。もちろん結末には驚いたけれど、その宣伝文句やら配役やらを考えればなんとなく予想がつくというもの。ああいう宣伝の仕方をすることで観たくなる人もいるのだろうけど、安っぽく見えてしまうのはもったいないで。

ここまで、狂ってしまえるほどまで、人を好きになったことがないので、登場人物に対して共感といった類の感情は持てない。観終わった後、どうしようもない虚無感とともに、どこかうらやましさも感じた気がした。

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