不器用なバレンタイン
あれは、僕が、たしか、高校2年の2月14日の出来事だった
大阪の阪南高校は男女共学だったが、その当時の自分は、ほんとにシャイで、臆病な性格で、クラスメイトの女子とすら、一度も話をしたことがなかった
そう、あれは、バレンタインデーの2、3日前だったかな
休み時間に廊下を歩いていると、急に見覚えのないふたりの女子が僕の目の前に立ちふさがり『あの~、今、彼女はいますか』
あまりにも、急だったので、『ううん、いないよ』と首を横にふるしかできない
しかも小声で
あれは、いったい、なんだったのかと、鈍感な自分に問う始末
そして、2月14日
その日がバレンタインデーだと知っていたものの、僕には、無関係だったし、特に意識することもなく、登校すると、ひとりの女子が、僕の前にきて、『これ、食べてください』
なんと、チョコレートをもらったのです
どうしてよいものか、あたふたしながら、小声で『ありがとう』
冷静を保ちつつも、かなりテンパってしまったな
そう、2、3日前のふたりは、この日のためだったのでしょう
あっ、もうひとりの女子は、お友達だったのかと後になって気付く始末
そのチョコレートには、メッセージカードが付いて、そこには、『明日、学食の前に居ます、よければ声をかけてくれませんか』
その当時は、お弁当ではなくて、ランチは、学食だった
どうしよう、どうしたらいいのだろう
なんて声をかければいいのだろう
もう、わからない
それにしても、お話もしたことのない僕なんかに、1年後輩の女子が、どうして、チョコレートを。。。⁉️
優柔不断で、決断力がなく、目的もなく、常に流されるように学生生活を送っていた自分のどこがよくて、バレンタインチョコレートを。。。
度胸がない
ほんとにどうしていいかわかない
ランチは、学食
学食へは行くけど、困った
学食の前には、その彼女が立っていて、僕のほうを見ているように思えた
結局、僕は、恥ずかしい思いばかりで、その彼女を無視するように、学食を注文して、なにもなかったように、食べ終わり、教室に戻った
あ~情けない
その後も、何度か、顔を合わすものの、なにも言えずに高校生活は終わったのだ
あれから数十年
バレンタインデーが来る度に、うっすらとその出来事を思いだし、申し訳ないことをしたとおもう