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日本版Amazon Goの試金石?完全キャッシュレス・レジレス・ウォークスルーなカフェで次世代購入体験をしてみた

こんにちは「身勝手な事業開発担当」松本です。

完全キャッシュレス、レジレス、ウォークスルーなAmazon Go形式の店舗が日本でもどんどん増え始めるかもしれません。そんな取り組みを実験的に始めたカフェに今回は行ってみました。

Developers.io Cafeに行ってみた

クラスメソッドさんが昨日オープンされたDevelopers.io Cafeにいち早く伺い、完全キャッシュレスなカフェ体験をしてきました。プレスリリース及び公式サイトは以下を参照。

場所は秋葉原駅からそう遠くないところに位置しています。秋葉原駅日比谷線の場合は5番出口から歩いて4~5分、JRの場合は昭和通り改札抜けて5分ちょっとといったところでしょうか。

ビル1階に店舗はあります。通り沿いに大きな看板がでているので場所は分かりやすいと思います(2019年2月13日時点で近くの道路が工事中だったため、工事終了までは多少分かりづらいかもしれない)。

上記写真の左側が店舗になります。写真右側はビル自体への入り口なのでお間違いのないように。

着いたときはまだオープン10分ほど前だったので、入り口前のディスプレイはまだ「Closed」状態。営業時間は平日10:00 - 18:00とのことです。開店前には3~4名ほどのスタッフの方が待機されていましたが、特に慌ただしい様子もなく、開店5分前には女性のスタッフが椅子を下ろしてフロアセットされてました。

開店待ちをしてたのは僕ともうひとりの方くらいでしたが、オープンの時間になると数名一気にいらした感じで、注目度はけっこう高いなという印象です。

10:00のオープンと同時に入店しました。さっそくスタッフさんから「キャッシュレス専門のお店で、アプリをダウンロードする必要があるお店なんです」という説明があります。私はもちろん事前にインストール&クレカ情報も入力済だったので「準備済なんですけど、これで大丈夫ですよね?」とスマホ画面を確認してもらい、まずはドリンクを注文してみました。

その前に従来の飲食店との違い、仕組みをおさらい

従来の購買体験との違いはプレスリリース内のイメージが非常に分かりやすいですね。スターバックスでもアメリカではすでに導入されていますが、モバイルアプリなどで事前オーダーしておいて受け取りをスムーズにすることができます。

日本のスターバックスでもLINEプラットフォームを利用した事前注文およびスマホ決済について、昨年リリースがでていましたね。

事前のアプリインストールはお忘れなく

ドリンクオーダーの前に、Developers.io Cafeの利用には専用のアプリケーションのダウンロードが必要です。iOS/Androidともにもちろん対応済。

アプリインストールし、利用規約に同意した後にアカウント作成の必要があります。メールアドレスを入力するとメールで認証コードが届くので、認証コードをアプリ内で入力すれば登録OKです。

次にクレジットカード情報の登録が必要です。カメラでのカード番号読み取りもしくは手動入力が可能ですので、サクッと登録。すると以下のような画面になりQRコードと登録したクレジットカード情報が表示されます。クレジットカード情報は削除もできるようになっています。

このQRコードはのちほどのウォークスルー体験で使うことになります。

初回時に使えるドリンク100円OFFクーポンがもらえますので、最初の来店時にはちょっとだけお得です。

メニュー画面にはオーダーできる商品が表示されますが、オープン時間前には注文することができないようになっています。アプリ内でオーダーが完結できてしまうので、オープンしてから頼む必要があります。来店前にオーダーしておいて店舗で受け取ったらすぐに退店するというタッチダウン的な利用もできますね。

個人的に10:00ちょうどのオープンに合わせて受け取りたい方もいる気がしたので、GPSなどで店舗近くにいれば9:50くらいからオーダーできるようなってると嬉しいかもな、と思いました。

オープンの時間になると以下のように注文ができるようになります。

さっそくオーダーしてみる

100円OFFクーポンがあるので、一番お高いホットカフェラテLを注文 。アプリ内で注文番号が表示されます(1番ってなんか嬉しいw)。

注文が無事通ると、店内に設置されたディスプレイにオーダー状況が表示されます。注文番号と品名はもちろんですが「MOBILE」表記があるので、これは将来的に違うオーダー手段も用意するということなのかな。

そうこうしているうちに(およそ2~3分)、商品準備完了の通知がとどきました。カウンターというか厨房側との通路?的な場所でコーヒーの受け渡しでした。いわゆるスタバやドトールなどのカウンターとはちょっとイメージが違ったので、待つ場所はすこし分かりづらかったかも。

無事にホットカフェラテLをゲット!スリーブには手書きで「クマ」と「Thank you」の文字が。これなんでクマなんでしょうかw あと個人的には密かにめそ子イラストやシールかも?と予想してましたが見事に外れましたw スタバもカップへの手書きがなくなってシールになってちょっとさみしい思いをしてましたが、やっぱり手書きっていいですよね。

店内の様子はこんな感じ。

席は全部で24席(窓側カウンター6席、テーブル向かいの2席x9)でした。窓際席にはコンセントが用意されていて、Free Wi-Fiもあるのでちょっと仕事する分にも十分だと思います。

椅子もテーブルもカフェ仕様でおしゃれ(プレスリリースの謝辞に記載があったけど、おそらく家具はオカムラ製だと思います)。

窓際の席は神田川に面しているので、眺望もけっこう良さげ。

窓際席から店内を見渡すとこんな感じです。

いざ、ウォークスルーの購買体験へ

今度はAamzon Goと同じように棚から商品を手にとるだけで購入が成立してしまうウォークスルーな購買体験をしてみました。実現している仕組みや技術も含めてこっちがとても楽しみだったのです!簡単な仕組み解説はプレスリリース内に記載されていたイメージが非常に分かりやすかったです。

いざ購入へ。

お店へ入ってすぐ左手側にiPadが設置されています。こちらにアプリで表示されているQRコードを読み取ってからお菓子が陳列されているエリアに入場します。このQRコード読み取りとエリアに入った人物がマッチングされるとのことだったので、エリアに入場する人のタイミングがバラバラにならないよう整列するためのベルトパーティションが設置されています。

お菓子エリアはこんな感じで、品揃えとしては輸入系のおしゃれなものが多かったです。カルディコーヒーファームとか成城石井で買えそうなちょっとお高めのやつ。

このエリア上部の天井に写真のように赤外線センサーが設置されており、仮想座標を設定しそこに入った人物を認識(QRとの紐付けやエリアからの退出)するとのことです。

商品棚の間にはセンサー類が接続されているであろうおそらくRaspberry Piがセットされていました。天井設置の赤外線センサーに加えて、各商品が入っているカゴの下に重量センサーもあるとのことです。これ以外にセンサーはないらしく、物理的な構成としては思った以上にシンプルでした。おそらく取得したデータを基にした推論やアルゴリズム、物体移動を検知するしきい値を細かくチューニングすることによって実現しているようです。

エリアから出たあとに再度入場するには、もう一度QRコードの読みとりが必要

ちなみに私はドリンクを受け取る前に一度お菓子エリアに入って、商品を持ち上げたり、持っていくふりをしてまたカゴに戻したり、とちょっと意地悪な動きをして結局お菓子はとりませんでした。そのあとドリンクを飲んだ後に再度お菓子エリアに突入しようとしたところスタッフの方からもう一度QRコードをかざしてほしいとお願いされました。

設定されているエリアから出たタイミングで購買有無の判断を実施しているようで、そのためエリアから一旦でてしまうと再度入り口横でQRコードの読み取りが必要とのことでした。そこまで煩雑だとは感じなかったですが、慣れない人にとっては少し説明や理解が難しいかもしれないですね。エリアの境目を人間が判断できる材料はパーティションがあるかどうかなのですが、これも簡易的なものなので床にラインとかエリアの表記がされてると良いのかもしれません。

なにもお菓子を取らずにエリアから退出した際には、このように購買履歴には「¥0」表記としてなにも購入しなかったという履歴が残ります。

二度目のチャレンジではまさかの…。

再度QRコードを読み直してお菓子エリアに再突入。今度はちゃんとお菓子を手にとってエリアから出てみました(例のごとくまた買わない商品を試しに持ち上げたりしてみてますw)。

しかし、いくら待っても購入完了通知のようなものもなく、購入履歴もとくになにも反映がされません…。時間もあまりなくなってきたのでスタッフの方へ「まだ購入が反映されないようなんですが…」と聞いてみたところ、「購入がうまく反映されていないようですね。こちらは実験的な取り組みをやっている店舗ですので、今回の商品はそのままお持ち帰りいただいてOKです!」と返答をいただきました。

お言葉に甘えて今回は商品をいただくことにしましたが、これが噂の万引きしてしまったような不思議な感覚か(これはAmazon Goを体験した方がよく言われる感覚ですね)。

お菓子エリアに突入するもいろいろいじった結果特に商品持ち出しせず、窓際席でしばらく休憩して、再度QRコードを読み込んで二度目の突入というパターンだったのですが、結果としてうまく商品の持ち出しを認識できなかったようです。もちろん実験的な取り組みですし、これからセンサーの増設や検知精度の向上がどんどん進むと思います。一般公開したことで取得できるデータ量も増えているはずですからね。これを聞いた貴方、高いお菓子持っていってワンチャン狙うで!?みたいなのはやめましょうね!

とこのあたりで時間が来てしまったので退店しました。退店時には10名弱のお客さんがいろいろスタッフさんのレクチャーを受けつつ新しい購買体験をしていたようです。仕組みなどについての質問に気軽にお答えいただいた方はじめ、スタッフのみなさまありがとうございました!とても素晴らしい空間と美味しいカフェラテを早いタイミングで体験できてとても楽しかったです。今度はちゃんとお菓子購入できるようリベンジしますw

Developers.io Cafeが目指しているのは、技術パッケージとしての横展開だけにはとどまらないはず

プレスリリースをよく読まれた方は分かると思うのですが、AWSの導入を支援している会社が単純に事業拡大してカフェ事業をはじめたわけではないはずです。

今までは人通りの多い路面店であることが売上に直結する大きな要素でした。今後は立地が良くない店舗でも、オンラインとオフラインが繋がったデータに基づく顧客との良い関係性を築くことで、購買単価や来店頻度を上げることができるはずです。属人性の高い店舗運営をデータによる見える化で本部から改善を図ることができ、更に少人数での運営が可能となり、顧客へのサービス提供に注力することができます。
今回は専用のハードウェアを制作したことで、既存の店舗什器を活用し、今後の量産に向けたテンプレート化に成功しました。

主にtoC事業を展開している企業に向けて、購買のイノベーションを起こすためのPoCをクラスメソッドがぜんぶやりまっせ、が当初の目的だと思います。結果として自分たちにノウハウもデータも溜まるので、それらを活かしてtoC向け企業への大きな武器のひとつにするはずです。クラウド活用、購買の生のデータ、それらを支える物理ファシリティの設計ノウハウ、これらを組み合わせた独自の価値としてコンサルティングから実装まで一気通貫のサービスとしての提供がマネタイズのメインなのではないでしょうか。

今後は店内だけの体験に留まらず、周辺オフィスへの宅配やECとの連携、イベントやワークショップへの送客、お友達へのメッセージ付きギフト、クレジットカード決済以外の支払い方法(交通系ICカード、QRコード系など)、サブスクリプションによる飲み放題への対応などを進めていきます。

上記の今後の展望からも読み取れますが、カフェとしての体験よりもそれらをとりまくサービス機能の拡充に重点をおく方針であることが予想できます。これがやりたかったんだよ!というtoC企業の事業部門や経営陣の声が聞こえてきそうです。ただ個人的にはもう少し店内体験のブラッシュアップを進めて、顧客のリピート率を高めた上で新しい施策をやるほうがいいのでは?と思います。というのも「生のデータ」を実験的な取り組みだけで継続して取得することはきっと難しいはずだからです。飲食が本業でないならなおさらです。いわゆる私のような新しもの好きたちが一通り来訪したあとが勝負なのでは?と思います。

リピート率向上の施策として「購買体験の変化が重要である」というデータこそが、この実験的な取り組みに求められる結果なのではないかと思います。ここはtoC企業の新規事業部門と同じKGIなりKPIなのかもしれませんね。ただクラスメソッドさんは、クラウド、アジャイル開発などの能力に長けている会社さんなので、そこはエンジニアリングという大きな武器を使って解決してくれそうな予感がするのでかなり楽しみです。そしてきっとその一連の取り組みはブログとして一般に公開してくれるはずです。

RFタグによるレジレスなどが主流の日本において、Amazon Go方式にチャレンジしているクラスメソッドさんの取り組みはめちゃめちゃ素晴らしいと思います。今後が楽しみです!※うちとはガチで競合にあたるんですけどね!よろしくお願いします!

※一部のテキスト及び画像はクラスメソッドさんのプレスリリースより引用しております。

あとがき(余談)

今回はじめてちゃんとnoteを書いてみました。参加してる田端大学塾長の教えに従いまずは「現地!現場!現物!」に則ってすぐさま体験しに行った次第です。

クラスメソッドさんは実際のビジネスにおいてガチ競合にあたる会社さんなんですがw、チャレンジの内容も技術的な好奇心としてもとても気になって本気でまずは行ってみたい!と思ったのがきっかけです。

最後に、もしこのnoteを気に入っていただけたら、フォローやスキをしていただけるととっても嬉しいです!Twitterもやっているのでこちらもフォローいただけると泣いて喜びます…!


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松本 幸祐 - Kosuke Matsumoto
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