0-1歳児の教育:シンガポールのプリスクールに通わせてみた ~シンガポールの出産・育児事情編~
シンガポールでは共働きの家庭が多くなっています。そして、2023年には、18歳以下の子どもを持つ女性の労働参加率が74.0%に達しました。この労働参加率には、実際に働いている女性だけでなく、仕事を探している女性も含まれています。
政府の公式調査結果 (EMPLOYMENT CHARACTERISTICS OF FAMILIES — 2023)
https://www.bls.gov/news.release/pdf/famee.pdf
一方、日本では18歳未満の子どもを持つ母親の就労率が77.8%となっています。このため、実はシンガポールよりも働く母親の割合が若干高いことに驚かされます。
働く親の割合は日本より若干少ないものの、シンガポールでも子どもを預けて働く親は多いです。
シンガポールでは、産前産後休暇(法律上、給料が支払われる休暇)が、国民の場合は16週間、外国人の場合は12週間しかありません。そのため、女性は出産直前まで働き、産後の休暇を長くとれるようにする傾向があります。
↓シンガポール政府のマタニティリーブの説明サイト
↓シンガポール政府のマタニティリーブの外国人向け説明サイト
また、産後の回復を早めるために、私が以前雇ったような産褥ナニーさんを雇うことも一般的です。
↓産褥ナニーさんを雇った体験記。
私が駐在していた会社でも、出産直前の女性社員が病院から仕事のメールを送ってくることがあったそうです。その光景はなかなか壮絶ですよね。
私の元同僚の家庭では、双子が生まれる際に、両親がマレーシアに住んでいるため手伝えませんでした。そのため、産後ケア施設に40,000ドルを支払って1か月入所したという話を聞きました。
一瞬、桁を聞き間違えたか?と。
私が雇った産褥ナニーは約4,000ドルだったので、10人雇える計算。
もちろん、元同僚夫妻はそれなりに稼いでいますが、HDBに住むごく一般的なサラリーマン家庭。
同僚は「No Choiceだった」と笑っていましたが、聞いているこちらは全然笑えませんでした。
シンガポールや海外諸国と比べると、日本は出産に関する休暇制度が非常に充実していると言えます。
一方、シンガポールでは、産後ケアや保育園に相当するPreschool (Infant Care) が整備されており、外国人メイドさんを安価に雇える環境が出産・育児を支えています。
ちなみに、日本のように一定の年齢から無償化される制度はないものの、シンガポールでは収入があまり高くない家庭には、政府からPreschool(Infant Care/Child Care)の月謝に対して補助金が支給されるそうです。
↓シンガポール人向けのPreschoolむけ補助金の説明はこちら。
さらに、シンガポールは国土が狭く、家族の結びつきが強い中華系の人口割合が高いためか、両親が近くに住むか同居することが多く、これも育児サポートの一環となっていると言えます。
ある意味で、昭和の日本の家庭に近い形かもしれませんね。
実際のところ、娘さんは現在Preschoolに通っていますが、お迎えには父母だけでなく、祖父母と思われる人やメイドさんが来ることも多いです。
Preschoolのお迎えだけでなく、習い事にもメイドさんと子どもだけで来る場合がしばしば見受けられます。メイドさんが重要なサポート役として日常生活に深く関与している様子が分かります。
あなたの娘さんが生後4か月からリトミック教室に通い始めた際、メイドさんが似たようにまだ歩けない小さな子を連れて、教室のプログラムに一緒に参加している光景も見られました。周囲の支援体制が整っていることで、さまざまな育児活動がスムーズに行われているんですね。
とはいえ、小さな子どもの一つ一つの成長を間近で見られないことに少し寂しいものだな、とも感じました。
仕事も大事なので仕方ない部分もありますが、それを考えると、日本は親がより深く子育てに関わることができる環境にあると思いました。
週末に外食や旅行に行った際、子供をメイドさんに任せて両親が自由に食事や会話を楽しんだり、くつろいだりする姿を見かけることもよくありますね。
そのため、日本の家庭が保育園以外のサポートを自分たちで賄うことが多いのに対し、シンガポールの家庭は適度に息抜きができる環境が整っていると言えるかもしれません。
ちなみに私の場合、産前休暇に入ると同時に駐在期間を終了し、日本の制度を利用して産前産後休暇を取得しました。現在は2年間の育児休暇を満喫させていただいております。
会社のローカルメンバーにはとても羨ましがられました。へへっ、いいだろー!
さらに、1〜2年も休んで何をするのかとからかわれることもありました。
もちろん、子育てだよ。
と思わず心の中でツッコまずにはいられなかった私。
そんなわけで、私はまだ育児休暇中で、自宅での保育も可能ですが、家で子どもと二人きりだと刺激が足りないと感じ始めた1歳手前。
せっかくシンガポールにいるので、日本で働いていたら預けていただろう1歳になる前の4月から、Infant Careに娘を預けることにしました。
Infant Careから間もなくChild Careに進級する娘の実体験をもとに、Preschoolの体験記を書いていく予定です。
この連載にしばらくお付き合いいただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!
(Preschool選び編に続く。)