思いつき物語[カッパ]
令和の現代にもまだまだ残る
自然豊な山を流れる川辺の岩の上で
二匹のカッパがのんびり過ごしていました。
一匹はヒョロリと細くノッポさん
もう一匹はぽっこりお腹のまん丸さん
よく物語に出てくるような二匹でした。
「なぁなぁ、最近どうよ?」
ノッポのカッパは足をブラブラさせながら
まん丸カッパの方を見て言いました。
「どうよって漠然とし過ぎでしょw まぁでも何もないねー あんま人間とか来る事もないし 」
「だよなー何か長老達は、カッパとして立派な働きをしろって言うけどさーまずその働く環境がなくね?」
ノッポカッパは、ごろりの寝転がると
青い空を流れる雲を見上げため息を付きました。
「だよね。人間を見つけたらまず相撲に誘って、勝ったら尻子玉を貰うらしいけど、その尻子玉っての見たこともないしねー」
「そうそう、わしらの頃はノルマもあったんじゃぞ!って言われてもなー」
豊な自然が残ったこの場所は、大昔は近くに村などがあり 山菜採りの村人や 山越えの旅人などが訪れる事もありました。
しかし今の時代には山に入ってくる人間などそうそうおらず、せいぜい数年に一度見かけるかぐらいなのでした。
「てかさー長老達も もうちょっと時代の流れを考えて欲しいもんだよなぁー」
「確かに!僕あのカッパならキュウリを食え!とか
服は腰ミノだけ!って風習とかほんとイヤ。昔ながらの文化も大事だけど、押し付けてくるのはどうかと思うんだよね…」
まん丸カッパは、肩をすくめると理解出来ないと首を振りました。
「何かあれじゃね?継承していく物ってかカッパとしての基本の姿的なのを途切れさせたくない的な?」
「いや、それは分かってるんだけどね。そこばかり押し付けられても理解出来てもキツくない?」
二匹は、お互い目を合わせると 小さくため息をつきました。
まん丸カッパもノッポカッパの隣にごろりと寝転がるとツルツルの頭のお皿を一撫ですると。
「こぅ何て言うか、両方のいい所を合わせられたらいいのにね。長老達にも意地もあれば誇りや伝えたい事あるだろうけど、僕達だって昔をただ否定してるんじゃなくて聞いてほしい言い分があるんだから」
ノッポカッパは、ゆっくり頷くと勢いよく起き上がり
岩の上で仁王立ちになりながら片手を空に突き上げ言いました。
「よし!俺らの下の世代が生きやすくなるように
古いけど新しい、そんないいとこ取りなカッパ社会を作ろうぜ!」
まん丸カッパは、パチパチと目を瞬かせると
笑いながらノッポカッパの隣に立ち、同じように拳を突き上げました。
「うん!僕も一緒に頑張る!」
「おう!頼りにしてるからな相棒!」
二匹は、お互いの拳をぶつけると笑いながら川に帰っていきました。
おしまい!
※よよぴさんより画像お借りしました。
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