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レダーキャラエンド編とViolet Fizz事件


ストグラとは

ストグラというコンテンツをご存知だろうか。
さまざまな配信者が集まり、GTAVの世界で、配信者が自分自身で設定などを作ったキャラクターになりきって生活する、いわゆるロールプレイを主体としたゲームである。
警察やギャング、飲食店、メカニックなどの職に分かれて、現実さながらの生活や事件が日夜発生しているため、メタバースを体験することができる。
現状日本国内で最も盛り上がっているロールプレイサーバーと言って良いかもしれない。

そのストグラの世界において、らっだぁという配信者がプレイしていたキャラクターであるレダーという人物がキャラクターエンドを迎えようとしている。
そしてその経緯がまさにストグラの面白さを体現していると感じたため、それについて少し書かせていただければと思う。
以下、非常に個人的な解釈も含みますので、ご容赦願います。

レダーキャラエンド編

まず、レダーのキャラエンドについての大まかな理由を説明させていただくと、レダーという人物は、ストグラの舞台になっているロスサントスに現れる前、別の街で警察をしていた人物なのであるが、ある事件をきっかけにギャングを潰したいと思うようになる。
警察における上官である夕子という人物がロスサントスに国外逃亡したことで、レダーも後追い的にロスサントスで生活をすることになり、夕子のギャング設立に伴って、共同ボスという形でギャングの運営を行なっていく。
このとき、レダー自身は過去の事件の影響でギャングになることでギャングを潰すことを目的としていたが、ロスサントスでのシマトリやさまざまな事件などを通じてギャングをギャングとして潰すということがいかに難しいかを悟ったレダーは、ギャングである理由を失ってしまう。
そしてある日、レダーから仲間たちにギャングをやめ、ロスサントスから元の街に帰り、警察官ひいては、政治家(市長)となってギャングを潰すことを目指したいと告げられる。
と言った内容で、以下の切り抜きに端的に内容がまとめられている。

ここで、僕が話したいことは、レダーがギャングを潰したいと思ったきっかけとなる事件が、らっだぁの粋な計らいにより、ロスサントスで起きた事件がモチーフになっているということである。
レダーいわく、「救急隊が大型中のギャングを轢き殺しちゃって、その報復でね。救急隊に1億払えみたいな事件があったんよ。そんときにギャングクソやなぁと思ったんよ。当時のあの街の法律とかだと、警察はギャングに何もできんかったわけよ。プリズンいったらさ、もう終わりやんギャングって。その後ギャングを潰すとかできないやん。」(省略箇所あり)

モチーフとなった事件の概要

この1億円事件。
実は、ロスサントスでも同様の事件が起きていた。
それが以下の事件である。

本事件は、らっだぁがレダーというキャラをプレイする前にプレイ開始していた、青井らだおが対応に当たった事件であり、最終的にギャングに公務員がお金を支払うという形で決着がついた。
公務員はギャングにお金や武器などを流せば、汚職になる立場でありながら、ギャングの要求を飲む形で裁判などを通さずに非公式に慰謝料を支払って事件が収束したことは、警察にとっては大きな出来事であった。
実際、プレイヤーをダウンさせてしまった今回、その当時の法律では、プレイヤー殺人が適応される可能性がある。
その場合、およそ300万円程度の罰金の支払いであるが、そこを1億円取られてしまったことや、そもそも犯罪者に公務員を誘拐されてしまったこと、犯罪者によって脅しに近い形で被害者が泣き寝入りしてしまったことなど、警察視点では何もできなかった無力感を感じる事件だったと言っていいかもしれない。

一方、1億円という金額は、犯罪を行わない白市民にとっては大きな額である一方で、ギャングにとってはさほど大きくない金額であり、比較的優しく、現実的な金額を事件の主犯であるアルフォートウェスカーは提示していると思う。
ギャング視点では、自分達がおった実害を救急隊だからという理由で請求しないこと自体が犯罪者にとっての泣き寝入りのようなものであり、彼らは彼らの権利を主張しているとも言えるだろう。
このように相手側の視点に立つと、別の景色が見えることがこのロールプレイサーバーの不思議なところで、それぞれの常識を犯罪者と白市民が共有していないことが往々にしてあるため、別の視点を見ていない視聴者は相手側の不可解な言動を理解することができず、コメントなどが荒れてしまうことが多い。
当時この事件もコメントが荒れてしまったようであるが、視聴者としては、感情的になった場合はコメントを自制し、間違っても誹謗中傷などをすることのないように心がけるべきであることを付け加えさせていただく。

1億円事件以降の警察

話は戻り、警察官であったらだおにとって大きな事件であったこの1億円事件をレダーの背景として据えてくれたことは、非常に粋なことだと思うし、レダーという存在がらだおのifストーリーとして捉えることもできて本当に面白い。

当時らだおが対応した環境では、十分な対応ができなかったこの事件であるが、実はこの事件以降、警察がギャングに対して泣き寝入りをしなくていい環境に近づいていると感じる。
そのような環境となる転換点がViolet Fizz襲撃事件だと思う。

Violet Fizz襲撃事件

本事件は、警察官であるヤミーエンデバーが、指名手配中のアンブレラボス、ウェスカーとの口論が原因で、ヤミーが代理店長を行なっていた飲食店であるViolet Fizzが襲撃された事件である。
奇しくも1億円事件となじウェスカーが主犯であるところにドラマを感じるのであるが、この事件においてヤミーエンデバーおよび、Violet Fizzという店舗の店員一同は過去に誰もなし得なかったことを成したのではないかと思う。
簡単に言えば、この事件がきっかけで警察が市民のためにギャングと戦争を行なった。
泣き寝入りをしなかった。
らだおの時にはできなかったことである。
当事者であるヤミーのロールプレイが大変うまかったことと、ヤミーが警察官であり法律を熟知していたこと、Violet Fizz全員が団結していたことが主な要因であり、非常に立場の弱い白市民が同じことを行えるとは思えないが、ギャングの脅迫に対して警察が全署をあげて立ち上がり、全面戦争を行った初めての例である。

以下がヤミー視点の概要である。要点のみ共有しているため、ぜひ全容は確認していただきたい。

以下の切り抜きでは、警察の中でも泣き寝入りが基本であった中で、初めて起きた出来事に様々な事件を対応してきたバウアー署長や赤ちゃんキャップも興奮気味であることが感じ取れる。

Violet Fizz襲撃事件の影響

Violet Fizz襲撃事件(以下、VF事件)をきっかけに起きた戦争は結局、警察の負けで終結した。
ここにおいて、警察が全面戦争を行った際の法律の抜け穴などが指摘されるともに、かねてから指摘されていた人員強化や法改正、市民対応の強化などがおこなわれ、非常に大きな影響があった。
この事件以降、ギャングも警察と迂闊に戦争を行えなくなったことは明白で、白市民にはおそらくあまり知られていない事件ではあるものの、警察自身も市民を守る選択肢を得ることができたと言えるだろう。

Violet Fizz襲撃事件とレダーキャラエンド編

らだおのifストーリー的な立ち位置とレダーを解釈してみると、少し感慨深いと思えたのでそれについて書かせていただく。
らだおのifである存在と解釈したレダーがもしこのVF事件以降の警察にいたとしたらどうなっていただろうか。
警察の法制度に絶望することはなかったかもしれないし、ロスサントスに来ることもなかったかもしれない。
今も上官たちと一緒に街の平和を守っていたかもしれないし、ギャングになって血で血を洗う抗争や、警察を誘拐して詰めるようなことをする必要もなかったかもしれない。
ただ、VF事件に対応できたのも、1億円事件を対応した「黄金世代」以下、「キセキの世代」あたりの人員がいたからであるとも思う。
そう考えるとらだおが、レダーがいなければ、今の警察の変化はないわけで、そこにドラマを感じる。
少し悲しいドラマかもしれないけれど、彼が苦しんだから、VF事件を解決できたとも言えると思うのだ。
彼が苦しんだおかげで、警察は変化した。
しかし、彼も警察を変えるために、ギャングになった。
警察も彼も、同じ目的のために変化したのだけど、形は白と黒の背中合わせになってしまった。
そしてレダーは楽しみながらも苦しみ、最終的には目的を見失ってしまった。
レダーが戻る街、ロスヨントスにはまだ泣き寝入りする警察が存在するかもしれない。
だけど、らだおがいたロスサントスの警察は大きく進化しているし、彼のおかげで「最悪の世代」以下の警察も大きく成長している。
同じように、きっとレダーならば、街に戻っても、警察に存在する根深い問題を解決できると思う。

彼が作ったギャング868はこれからも続いていくだろうし、続いていかなくても、彼らが残した足跡が消えることはない。
ロスサントス最古のギャングを北に押し込めた、少数精鋭、謎の多いギャング。
仇であったギャング MOZUのメンバーはある一人はヘリを受け継ぎ今日も最高のヘリ乗りを目指し、ある一人は気分だからといってホットドッグを焼くようになった。

ストグラの面白さは、日常の中に時折感じる、過去に街にいたキャラクターたちの確実な足跡にあると思う。
いろんな影響が、ロスサントスには残っていくし、語り継がれていく。
そんな物語が、これからも続いていくことを願ってやまない。


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