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『魂の万国博覧会』の無為自然
三の物語
あるところに女がおった。
女は、どこから来たかも知らず、どこへ行くかも知らなかった。
女が公園を歩いていると、自分を呼ぶ声に気づいた。
「もうし、おねえさん、お待ちなさい。」
女は、呼ばれたほうに顔を向けると、大きなひきがえるが一匹こちらを向いていた。
女が、
「なにごとですか。ひきがえるさん。」
と、ひきがえるに尋ねると、
「明日の昼は、ここにいてほしいのだがな。」
女は、
「お安い御用ですよ。」
と引き受け、翌朝ふたたび同じ公園にやってきた。
昼近くなり、日が高く昇ってきた。
女が空をみあげると、地面が不気味に揺れだした。
そして突然、日が西の方へと動きだした。
しばらくすると、地面の揺れがおさまり、日の動きもとまった。
この日から、昨日とまったく違うところに日が沈み、全く違うところから日が昇るようになった。
そして、この日から住んでいるところがだんだん寒くなってきた。
あるとき、三次元地球が爆発する。
三の物語 完
二の物語
あるところに男がおった。
男は、どこから来たかも知らず、どこへ行くかも知らなかった。
男は、実験をしておった。
そして、あるときどうしてもつじつまが合わないことに気づいた。
「世界の飽和水蒸気量の値が二パーセント増えている!」
地球で液体の水の量が減っていることに気づいていた男はつぶやいた。
「世界中の旱魃の原因はこれなのか。」
あるとき、三次元地球が爆発する。
二の物語 完
一の物語
あるところに女がおった。
女は、どこから来たかも知らず、どこへ行くかも知らなかった。
女は、実験をしておった。
そして、あるときどうしてもつじつまが合わないことに気づいた。
「世界の塩化ナトリウムの溶解度の値が一割増えている!」
地球の海の変化に気づいていた女はつぶやいた。
「世界中の魚の減少の原因はこれなのか。」
あるとき、三次元地球が爆発する。
一の物語 完
無為自然
無為自然とは、受容の日常の異名である。
無為自然とは、好奇心の日常の異名である。
無為自然とは、探索の日常の異名である。
無為自然とは、持続の日常の異名である。
無為自然とは、恍惚の日常の異名である。
無為自然とは、強姦の日常の異名である。
無為自然とは、横暴の日常の異名である。
無為自然 完
〆
この文章は、『魂の万国博覧会』で登場する無為自然について考察したものである。
『魂の万国博覧会』の理解の一助のために記す。
三次元地球の余韻のときに記す。
〆 完