「ク」を探す 「ク」の証
私の愛する沖縄の陶芸家、國吉清尚さん。
彼のオマージュ展が本日より、広尾のカイカイギャラリーで行われている。
私は芸術のことはよくわからないが、國吉清尚さんの作品を楽しむひとつに「ク」探しがある。
彼は自分の作品のどこかに「ク」と記しているのである。
例えば こちら
こちらは丁子風呂と呼ばれ、琉球王国時代に香りを焚いて楽しんでいた陶器です。
トイレなどの臭い消しにも使われます。
國吉清尚さんの丁子風呂は初めて拝見しました。
ファンとしては大興奮です。
「ク」を探したい!
けど、勝手に触るのもなぁ……。
國吉清尚さん、残念ながらお亡くなりになっているため、作品の価格は年々上昇中。
そして、こんな大物にはなかなか巡り会えません。
「ク」が見たい……
「ク」を見つけずとも見応えがあります。
私はど素人ですが、周りをグルグルまわって見渡しても姿形、色合いが変わるのがおもしろく、飽きもせずに何周もしていました。
ただの変人ですね……。
味の良し悪しを決めるものはわかりませんが、素人ながら「何度見ても見飽きない作品」はすごいと思います。
海も何度見ても見飽きない、いつまでも見ていられる最高の芸術です。
時間と人目を忘れてグルグル周っていると、主催者の方が「お好きなんですね」と優しく声をかけて下さいました。
もし、困らせていたのだとしたら……ごめん。
主催者の方、とっても優しくて丁子風呂の蓋を外して中を見せて下さいました。
思わず「クだ!」と歓声を上げてしまいます。
それどころか丁子風呂自体が珍しかったので絶賛していると親切心に火が付いたのか
こちらの大作をわざわざ持ち上げて
「ク」を見せて下さいました。
「重くないですか?」の質問に「めちゃくちゃ重いです」と。
ありがとうございました。
和田直樹さんという陶芸家さんです。
紀伊半島で作陶されているそうで、國吉清尚さんのように珊瑚を使った作品も作っておられます。
和田直樹さんの作品もなかなかおもしろかったです。
焼き物で國吉清尚さんを作ってしまう発想、そして手にしているマグカップは國吉清尚さんの娘さん國吉真由美さんの作品です。
「親子揃えたかったんです」という和田さんのアイデアが素敵でした。
「割れちゃったんですけど、それがかえっていいなとも思うんです」と。
“在るべきものがない空間”というのはかえって印象深くなります。
芸術はよくわからないから、と敬遠してきましたが、楽しいと思える時はとことん没頭してみようと思いました。
楽しみ方に「正しい」「まちがってる」はありません。そう思うとほっとして見えてくる世界との距離が縮まりました。
和田さんとお話しできたお陰です。
足を運んでよかったです。