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諦めたらそこで試合終了でした

昨年、北大東ツアーに参加したのですが、ツアーのプログラムに釣りが組み込まれていました。
ワカサギ釣りや釣り堀など、いわゆる出来レースの釣りしか経験したことがなかったので、本格的な釣りは初めてです。

ガイドの方や居合わせた村の方が、かなり丁寧に教えて………いえ、手伝って下さったので実力0のわたしにもでっかい、でっかい当たりがやってきました!

北大東島は珊瑚が隆起してできた島という地形上、海岸は基本的に断崖絶壁です。
透明度が高いのに底が見えず、落ちたら最後だなーというのが素人のわたしにもわかります。

さて、なんだか海が騒がしい。

すごいです、大物の群れが肉眼で見えるんです!
このチャンスを逃すわけにはいきません。
釣るぞ、魚!

群れにまず、餌を撒いてノリノリにさせます。
バシャバシャ餌を食べる群れに向かって魚の切り身を刺した釣り針を静かにイン。
魚にとっては「騙したな!!」と怒られそうな釣り方式で糸を垂らすと………秒で掛かりました!

そして、一気に糸がビャーーーーーンと沖に向けて出ていきます。魚の力はすごい!

さぁ、試合の始まりです。
ひと巻き、ひと巻き………ひと巻き、ひと巻き。

村の方もワクワクする食い付きだったようで、我が事のように応援してくれます。
何度も言われたのが「諦めるなよ」「無理するなよ」という言葉。

諦めると糸は永遠に伸びていき、魚が岩場の陰に入り込んでしまいます。
そうなると岩のゴツゴツと引っ張る力の摩擦で糸が切れてしまう運命に………。

そして、力任せに糸を巻いてもいけない。
無理をすると結局は魚の泳ぐ力の方が勝ってしまい、糸が千切れてしまうのです。火事場のクソ力には敵わないという事です。

引っ張ったり、引っ張られたりしながら少しずつ糸を巻いていきます。
集中力とも違う、独特の頭を使いました。全神経はリールと釣り竿と未だ見ぬ魚に……早く君に会いたい。
これが釣りの醍醐味なんだろうなとも感じながら糸を巻き続けました。

ジャーーーーン

苦労と忍耐と、そしていちばんは先輩たちの応援が実を結び、海のように鮮やかなブルーの背びれと尻尾の黄色が美しい、ツムブリという魚が釣れました。
最後の最後は自力で釣り上げることができず、ガイドの方が金具で引き上げてくれました。
針も自分では外せませんでした。

半人前の釣りでしたが、逃げる魚と糸を巻く駆け引きは十分楽しむことができました。

自分には無理だと決めつけて諦めていたら、確実に岩陰に入り込まれていたと思います。
そして、コンチクショーなんて乱暴な気を起こして力任せに糸を巻いていても、さっさと糸を切られて魚は海の彼方へ泳いでいったと思います。

「無理するなよ」「諦めるなよ」彼らの声が、いまも心強く胸に響きます。
何事も経験だし、何事にも学びがあると教えられました。

そして、ひと巻きひと巻きしている間、SLAM DUNK名言「諦めたらそこで試合終了ですよ」という言葉も何度となく頭をよぎっていました。

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