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えーい、ままよ!マカピーな日々 #0062

マカピーです。

マカピーはお見合いをしたことが一度あります。

学校を卒業する前に九州にいる大学の先輩を訪ねて行った際に「婿養子」の話はないかと尋ねたら、「よっしゃ、まかせとき」請け合ってくれたのでした。

マカピーはその後青年海外協力隊に参加したので帰国するまえに先輩に写真を送り届けておきました。「先輩、よろしくお願いします」って。

帰国後、仕事が紹介されたので東京で忙しくしていたのですがその合間に先輩の見つけてくれた縁談話が進み、ついに九州に見合いに出かけることにしました。

マカピーは農家で生まれて、更に農業学校出身なので将来的に農家に養子で入ることを望んでいたのですが、先輩が紹介してくれたのはミカン2町歩(2ヘクタール)それにキウイフルーツが5反(0.5ヘクタール)ほどある農家の長女でした。

マカピーは紹介された彼女を一目で気に入りました。趣味のピアノも英語が得意だとか関係ありませんでした。その後そこのお父さんと一緒にミカン畑で説明を受けた時もそばにいて、彼女は素早く摘果作業をしていました。

ミカンの木には沢山の花がつくのでそれをすべて実にしてしまうと小粒になるので,葉の数と実の数の割合が大切なポイントになります。それを一目で見て間引き作業するのが摘果ですが、彼女はササっと手を動かしていました。出来る!

うーんこれだけ働く女性だったら、仕事を一緒にするのも大丈夫そうだな。婿入りしたら早く2世を作ればOKそうだなあ、などと不謹慎なことを考えていました。

みんなで食事を摂った後で、マカピーは彼女の運転で近くの観光名所へドライブに行きました。彼女の趣味はドライビングと広島カープの応援と言っていたのはお父さんが広島出身だったせいもありました。九州からわざわざ広島の試合を見に車で出かけると聞いた時は驚きました。

楽しかった時間はあっという間に終わり、東京に帰る電車の時間となりました。駅ではお土産を沢山渡されました。その時先輩が「いいか、帰ったら必ず連絡するんだぞ。忘れるなよ」「わかりました。そうします」

和やかな雰囲気で再会を期してマカピーは東京に帰りまた仕事が忙しくなる前に、彼女に手紙をしたためました。「ぜひもう一度会いたいです」

マカピーはそれから1か月ほどしてまた時間ができたので九州の彼女に会いたくなり先輩の所に電話を入れました。すると予想外の反応が返ってきたのでした。「お前は今まで何しとったんじゃ?」「え?先輩仕事で忙しかったんですよ。嘘じゃあないです」「俺が分かれる前に言ったことを覚えているか?」「はい、すぐに彼女に手紙を書きました。まだ返事貰ってませんけど」

「ばかもん!そうじゃない」「え?どういうことですか?」「違うんじゃ。返事せいといったのは彼女にじゃないんだ。お父さんの方じゃ」「は?そうなんですか?本人同士の・・・」「だから違うんじゃ。お見合いしたんだぞ。彼女の前に返事するのはお父さんだろうが!」「そう、なりますか?」

「あの翌日からなお父さんは幾度も俺のところに電話してきたんだ。連絡がないがどうしたんだろうか?ってしんぱいしてな」「すみません。出張のある仕事だったんで下宿に戻るのが遅くって」「お父さんはな、お前の事気に入ったから毎日電話してきたんだ。今日は連絡なかったかって」「そりゃあ申し訳なかったです」「お前は見合いの仕方を知らんのか?」「何分初めてで要領も得なかったのと、どうも私の郷里の群馬とは違う習慣のような気がします」

「あのな、お父さんは1週間ぐらい待っていたけれど俺が慰めにまわると、今度はあいつは東京で別の女とよろしくやってんだろう、って言うようになったんだぞ」「え?それって完全にお門違いですよ」「黙れ!お前をあちらに紹介した俺は恥ずかしい!」「先輩、すみません。私が悪かったです」

「お父さんはもう俺に会っても口をきいてくれなくなってしまったんだ」「先輩、どうしたらいいですかね?教えてください」

「おい、お前これからどうしたいんだ?」「何をですか?」「だから彼女と結婚したいのか?」「はあ、まあその方向で・・・」「バカ門!結婚するんかしないのか聞いとるんじゃ」「結婚 します!お願いします、先輩」

「おーし、じゃあ電話口でしばらく待ってろ。俺がこれからお父さんの所に電話してお前が結婚する気であると伝える。いいな?」「よろしくお願いします」

マカピーは、ことの急展開に驚きながらもこう思いました。まあ人生にはこういうこともあるだろう「サイは投げられた」Let it be done! 

そして、こう思いました。自分はこれから九州の人になってミカン農家になるんだよ! いいところじゃないかあそこが自分の第二の故郷になるだなあ。などと夢想していると電話が鳴りました。

「先輩、俺です。どうでしたか?」「悪いなー。ダメだとよ。もうこの事は忘れろ。じゃあな」「先輩、ちょっと待ってください!」「ダメなんだよ。もう遅いんだとよ、馬鹿野郎。くそったれ。切るぞ」先輩の声は泣いているように聞こえました。

マカピーは電話の前でしばらくボーっとしていました。

まるでジェットコースターのように運命が右往左往したような疲労感が残りました。マカピーはどこで間違えたんだろう。

今でも九州のその町の名前を聞くとビクッとするのはなぜでしょう。そして「もし、自分が九州人になっていたら・・・・」目の前の景色が全く違っていただろうと思うのです。

昨年亡くなった父に、このことを話したことがありました。彼は「養子はそんなに甘くねえぜ」とポツリといっただけでそれ以上は何も言いませんでした。そうですマカピーの父は婿養子だったんです。

人生の賭けをしたことがありますか?

マカピーでした。




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