無機質でも個性ってあるんだ! マカピーな日々#0515
マカピーです。
ザンビアで仕事をしていた際に、コンテナー改造ラボを2基導入しました。
皆さんも輸送用の12mあるガッチリできた鉄製コンテナーを加工して住居化したり、事務所に改造したりすることは生活圏でよく見かけると思います。
ちなみに導入したラボは、P3と呼ばれる、内部を陰圧にしてラボ内で作業する人が感染リスクを減らす機能を持ってます。更に排気する空気を高性能フィルター(HEPA)を通して結核菌などを除去してきれいにした空気にするシステムです。通常はBio Safety Level 3というのでBSL3とも言われます。
ちなみにその上を行くP4もあります。これは作業者自身が宇宙服のような作業衣を着て、そもそも検体などにも直接触れる機会を排除した施設ですから結構な維持費がかかります。
マカピーは長らく海外で結核関連の仕事をしていたのですが、日本の結核分野の先生の昔話を伺ってビックリしました。
先生:「まだ現在のように研究や安全対策が進んでいなかったので、結核菌検査のラボでもお昼休みなど患者さんの喀痰や検体が置いてある隣で、お昼ごはんやお茶を飲んでたんだ。我々もその危険性に気づいていなかったんだ。」
コンタミネーション(汚染)や感染が発生する現場では、厳しく管理されるようになった背景には、日進月歩する科学実験手法や研究の進歩があったわけです。
またこうした施設は保管している菌株やウイルスから「バイオ・テロ」の対象にもなり得ます。
皆さんも考えて見てください。抗結核薬が効かない、多剤耐性菌(MDR)を不正に持ち出し培養して、更に街中でばらまかれたらいったいどうなるでしょう?
もはやSF小説や映画でない、リアルな恐怖に驚くことになります。
ですからそうした事件を未然に防ぎ、発生してしまっても直ちに取り押さえて被害を最小限に制御する手段が求められます。
と、なんだか真面目に怖い話をしてしましました(苦笑)
実はマカピーは導入した2基のコンテナラボの個性についてお話したかったのです。
同じ間取りで作られた2台のコンテナラボでしたが、各種内部の機材の据え付けが終わり水道、汚水処理施設、エアコン、フィルター装置、バックアップ電源などのチェックが終えて運用が始まると次第にその違いがはっきりしてきました。
そうです、ラボが個性(くせ)を持っているのです。
安全対策として空気の流れは一定方向になるように設計されていますからまず入り口でドアを開けると陰圧になっているのでかなりの抵抗があり「よっこらしょ」と力を入れて開ける事になります。
そして、第一室は予備室です。ここで次の部屋と奥のラボの部屋の陰圧がどの程度になっているのか壁のゲージで確認します。
もしも陽圧になっていれば、故障していて内部が汚染されている可能性があるのでそれ以上進むことはできません。(除染作業が必要です)
このようなシステムを持っているラボなのですが、同じエアコンや同じフィルターを設置し、同じモーターでファンを回しているのですが、明らかに二つのラボは微調整して同じ条件に出来ないのです。
不思議だなあ
マカピーはある日日本から来た空調専門家に尋ねました。
マ:「不思議なんですよ。同じスペックで作られた二つのラボの性格が違うんですよ」
空調さん:「マカピーさん、いいこと言いますね。そうなんです、性格って言うのが正解だとボクは思うんです。40年間いろんな空調施設を見てるんです。機材の仕様的には全く同じはずなんだけど、建物の場所によって違う、階によって違う、それから時間によっても違うんです。
無機質の集合体なんだけど、生き物みたいに個性が感じられるんです。
ボクもこの仕事を始めた頃はそんなはずないって思ってたんです。でも今は確信しています。出来上がった施設は個性を持つんだと」
彼の言葉からマカピーは楳図かずおの「わたしは真悟」みたいになったら、怖いなあって、考えが飛躍してしまったのでした。
マカピーは毎日ルーティンを繰り返している事で、その違い、その癖そしてその性質がだんだんわかるようになりました。
それで分かったのは、こうした観察する事で得られる事はとても大切なことなのだと理解するようになるんです!
それは人間社会でも同じで、我々はいろんな人に付き合い、会話して理解しあう過程で、喜怒哀楽も生まれます。
何故そう考えたのかと言えば、世の中では必ずしも誰もが同じ考え方をしていないし、それぞれの反応も態度だって違います。
だって誰一人として同じではないからです。
だから、「私たちはみんな違うんだよ」ってことを念頭におきながら、いろんな人と付き合い、それから施設とも付きあえるように人生を楽しみたいなと思うのでした。
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。まず観察が何よりも大切ですね