彼女のアメリカって何だったのかな? マカピーな日々#0418
マカピーです。
学校を一年休学しての米国の酪農実習では、三月末から一年間アイオワ州の農場で働く(実習)ことになったマカピーでした。
夏になると、カウンティ・フェア(郡のお祭り:County Fair)がありマカピーは夜に、ホストファミリーの跡取り息子で高校を卒業したばかりロブと隣の家の悪ガキのドウェインと三人で会場の町の広場に出かけました。
移動式の小さな観覧車などの遊具もあり、広場には小さな町の住人であふれかえり、そのほとんどの顔は毎週行く教会の知り合いが多く気軽に声をかけてきてくれとてもアットホームな雰囲気でした。
難を言えば刺激が少ない事!でした。
マカピーは会場をブラブラとしていると、しばらく別行動だったロブとドウェインが戻ってきてマカピーのシャツを引っ張って言うのでした。
ロブ:「おい、見たか?ほら、あそこの彼女だよ!」
マ:「うん?アジア人だね。珍しいなあ」
ロブ:「交換留学生で来たらしいぜ。俺は学校を卒業しちゃったけどドウェインのクラスに来てるらしいぜ」
ドウェイン:「マカピー、彼女お前に似合いだぜ!それに久々に女の子と話がしたいだろう?」
マ:「日本人なの?」
ドウェイン:「韓国人だって言ってた。でも言葉は同じなんだろう?」
ロブ:「え、そうなんだ!?」
マ:「バーカ、そんなはずないだろう! 韓国も中国も日本も人は似ているかも知れないけど違う言語なんだ、だぶん英語だったら話せるだろう!」
ドウェインド:「だから彼女に声かけてみたら?今一人だからチャンスだぞ」
ロブ:「そうだ、チャンスだ!行けー!」
大都市は「人種のるつぼ状態」ですが、アイオワ州の人口の白人率かなり高いのです。その理由は中西部の州でもシカゴのような大都市では労働者として有色人種が流入できますが、農業以外に産業のない田舎ではめったに白人以外に出会ったことも無かったからなのです。
そそのかされたマカピーも、ついその気になり長い黒髪の彼女に声をかけたんです。
聞いてみると韓国から短期の語学交換留学生で来たとの事でしたが、何やら背後で声がするので振り向くと、数人のクラスメートと思しき若者数人が彼女を呼びつけているのでした。
どうもこれからドライブに出かけるようでした。彼女は「呼ばれたから行くね。じゃあ、また」と走り去ってしまいました。
すると、入れ替わりにロブとドウェインがやって来ました。
ロブ:「チッ、あの連中マカピーの邪魔しやがって・・・」
ドウェイン:「彼女を誘った奴らは、あまり良くない評判なんだ・・・」
マ:「ふーん・・・」
マカピーは高校時代に夏休みに米国のどこかへホームステイするプログラムに参加した事のあるクラスメートがいたのを思い出し、彼女もこんな感じの経験をしたのかなあと思い出すのでした。
それから、1週間ほどしてドウェインがいつものように農場に遊びにきて、声をかけてきましたが、なんだか元気がありません。
ドウェイン:「マカピー、この間の夜会った韓国の女の子覚えている?」
マ:「もちろん。今度は彼女とのデートをアレンジしてくれるのかい?」
ドウェイン:「違うんだ。彼女昨日死んじゃったんだ・・・」
マ:「冗談だろっ、ドウェインやめろよな!」
ドウェイン:「夜中にこの間の連中と夜遊びしていて、車ごと橋のレールに高速で激突したんだ。4人とも全員即死だったって。今朝別のクラスメートから電話があって俺もびっくりしてんだ。ソーリー」
マ:「・・・だって・・・え?」
マカピーは言葉を失ってしまい、その代わり頭の中でいろんな言葉が飛び交うのでした。
あんなに若くて、これからの人生だったのに、ナゼなんだ!
こんなふうに人の命って消えてしまうんだ、ナゼなんだ!
なんて世の中は不条理なんだ!ナゼなんだ!
彼女の訃報に韓国の家族の悲しみは?
なんで、米国なんかに来たんだよ!?
マカピーはその事件以来、何としても日本に無事に帰るぞって心に誓ったのでした。
マカピーでした。
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