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ココヤシとタワシとアラックの関係 マカピーな日々#0394
マカピーです。
前回のヤシの話で思い出したのがタワシの事です。
あるテレビ番組でタワシを取り扱っていたので思い出しました。
テレビの紹介ではヤシの一種であるシュロ(棕櫚)からつくられた「シュロひも」を原料にしていましたが、実際は殆どが外国産のココヤシの実からつくられているようです。
さて、以下の図がお馴染みのココヤシとその実です。
前号でフレッシュココナッツ、つまりラグビーボール状の実の皮が緑のうちに採取して利用するものですが、この皮の下のコイアと呼ばれるスポンジ状の部分にある繊維(右下の図)部分がタワシの原料になるんです。
でも、繊維をとるには周囲のコルク状の部分を分解させるために、沼沢地に長時間漬け込んで置くのです。
マカピーはスリランカでバックパッカーの旅でバスで南部のゴールへ行き帰りは列車で首都コロンボまで戻ってきたのですが、線路の両側に広がる沼沢地はココナツを漬け込む繊維製造の一大生産地で駅のホームには出荷される繊維が山積みされていました。
スリランカの海岸沿いに広がるヤシ畑では樹と樹にその繊維で作られた丈夫なロープが渡されていましたが、こちらはヤシ酒をつくるためのものでした。
つまり一本一本登っては降りてを繰り返すと大変なので水平移動が可能なように樹と樹をつなぎ合わせたんですね。
ちなみにヤシの実ジュースからヤシ酒をつくるのじゃないんです。花房(はなぶさ)には細かい花があり、それが受粉すると実がつきます。全ての実が大きくなるわけではなく、自然淘汰がすすんで成熟するのは通常一つの房に数えるくらいです。
その花房を開花させないように縛り上げ先端を切り取るとお酒の元である樹液が出てくるのです。これを竹筒に貯めるので、毎日回収する必要があるので例のロープが活躍するのでした。
それでも10m以上もある高さにある連絡通路?ですから、転落すると命を失いかねません。それでもヨイショヨイショと太い幹に抱きついてよじ登る事を考えたらものすごい作業効率向上です。
そうです、かつてはサルを使ってヤシの実を取らせたのはこうしたリスクを回避するためのものだったわけです。(現在は観光用に作業を見られるようです)
サルは実のある場所にたどり着くと、刃物を使えませんから、どの実を採るのか下の主人の指示に従い、房から実をくるくる回してねじ切って落とすのでした。
実と房をつなぐ繊維も強力で小さな体のサルが自分よりも大きな実を扱うのは難しいでしょうね。まして酒造りのヤシ汁回収作業は出来ません。
当時、回収されたヤシ汁はドラム缶に集められ、それを転がす運搬作業がおもしろかったです。
それから、このヤシ汁は竹筒内で自然に発酵をはじめブクブクと泡をだします。ちなみに朝に採れたてのを朝食で飲むと、気持ち良く午前中をすごすことが出来るそうですから、気になった人は試してみる事をお勧めします(笑)
スリランカではヤシ酒を更に蒸留してアラックをつくります。他の国、例えば中東ではデーツ(ナツメヤシの実)やブドウ、サトウキビを原料にしていましたが同じくアラックって呼んでましたね。
土地によってはウゾとかアブサンと呼ばれる蒸留酒もアラックの仲間で通常は無色透明なのに水で割るとミルクのように白濁し「ライオンのミルク」などといわれて不思議な感じがします。
蒸留した後で樽詰めして独特の琥珀色にするスリランカのアラックもなかなか美味しいですが、度数が強い蒸留酒ですからお互い飲み過ぎには注意して楽しみましょうね。
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。本当にヤシって面白です!
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