宙(そら)飛ぶタイヤはコワイよ マカピーな日々#0430
マカピーです。
ザンビアで事故すれすれの経験をしました。
地方での1週間ほどの現地調査を終え、マカピー達は3台の4WD車両に分乗して首都ルサカに帰る途中でした。
運転手は他に楽しみがないのか、どうしても100km/時以上の高速走行で抜きつ抜かれつの遊び感覚になりがちなので、マカピーは常に「もう少しスローダウンして」と口癖になっていました。
比較的整備の行き届いた幹線道路でもポットホールと呼ばれるアスファルトが剥離した穴が開いていて、高速走行中にハマるとコントロールが効かなくなり横転事故を起こすからです。
日本の円借款などの援助でできた道路の耐久性は評判が良かったのですが、最近出来たばかりの道路でもオープニングから1年もしないうちに崩壊しているケースを沢山見てきました。
ザンビアは北部に世界的な銅鉱床をもつ銅産出国で日本の10円硬貨の原料ともなっています。
その銅の粗製の平たいインゴット?を積んだトレーラーは見た目にさほどの量を積んでないのに、相当な重量なので坂道では黒煙を上げ喘ぎながら走るのでした。
こんなのが簡易舗装道路に近いペラペラのアスファルトの上を走ったら道路が一度でボロボロになってしまうのでした。更にその後の雨が崩壊に拍車をかけます。
舗装したアスファルトが全部はがれてしまえば問題ないのですが、マダラ状態に壊れているのでとても困ることになります。
我々の車は時々舗装路を走り、次の瞬間には道路の脇の未舗装部分をもうもうと土煙を巻き上げる走行を繰り返すのでした。しかも、そこに人や自転車も行き来するのですから危険極まりないのです。
さて、マカピーの乗る車両が真ん中で、幹線道路を丘陵地帯に差し掛かった時でした。
カーブに差し掛かり対向から大型トラックが来るのが分かりました。ところがそのコックピットの上に乗せてあった交換タイヤが、カーブでの遠心力で低い枠を乗り越えたのです。
マ:「ヤバー、タイヤだーッ!」
運転手:「(クラクションを鳴らしながら)クソーッ!」
マカピーはタイミング的に先頭車両を直撃したものと思いました。ところが運転手がブレーキをかけたせいで、車両の目前をかすめて道路脇にバウンドしながら転がって行きました。
おそらく0.01秒早ければ大惨事になっていたでしょう。
3台の車は急停止して、無事を確認していたら、先頭車両の中からS教授が出てきて寝ぼけて「うん、何かあったの?」と尋ねてきました。「先生、知らずに眠っていて良かったですよ!」
知ってか知らずかトラックはそのまま行ってしまったのですが、マカピー達はあのタイヤを見つけに茂みに入って行くのですが、見つかりませんでした。
諦めて、車のところまで戻ってくるとザンビア人同僚が小さな石碑を見つけマカピー達を呼び寄せました。
それは20年ほど前にこのコーナーでバイクの転倒事故で亡くなった青年海外協力隊(JOCV)の柔道隊員の記念碑でした。
おそらく、当時はこの幹線道路も未舗装だったかもしれません。マカピーもJOCV経験者でしたから「ああ、こんな人里離れた場所で命を落としたんだなあ」と手を合わせていると後ろに気配がしたので振り返るとユカさんがいました。彼女は地元ザンビアのJOCV経験者だったんです。
「先輩、ここで私達を守ってくれてありがとうございます。おかげで事故に遭わずに済みました。このご恩は一生忘れません」と合掌していました。
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。生きているって奇跡なんですね