国際協力って、あんた頭がおかしいよ! マカピーな日々#0468
マカピーです。
一昨日朝の散歩でフッと思い浮かんだのが境(仮名)さんの事でした。
彼はアフリカの国で青年海外協力隊(JOCV)を経験していました。かつての同僚隊員だった方にお会いした時のエピソードが以下です(まだドイツが東西に分裂していた時代です)
「あいつの英語は無茶苦茶なんだぜ。ドイツ人ボランティアの別れパーティーでね、境のやつが尋ねるんだよ、その帰国する奴にさ」
「Are you going back to 西ドイツ?って。相手だって困っちゃうよなあ、普通はWest Germanyって言うよね?」
「だからオレは境にお前の英語ヘンだぜ、西ドイツって聞かねえだろう?って訂正するように言ったら、あれ、西ドイツって英語じゃないのか?って真顔で聞いてきたんだよ!(笑)」
境さんご夫妻もフィリピンで初めての子供が生まれ、境遇が似ているので直ぐ親しくなりました。美人の奥さんジャオ(仮名)さんは中国籍で、日本育ちでしたから日本語で全く違和感がありませんでしたけど、子守歌だけは聞きなれない中国語だったとは境さんが言ってました。
マカピーにとってその境さんがジャオさんと結婚エピソードは、その後の人生に影響するエピソードとなったのでした。
それは境さんがジャオさんの結婚の許可を貰いに行った時のことでした。ジャオさんにはお父さんとお兄さんが3人いました。彼らはそれぞれ会社経営をしていたようです。可愛い末娘が日本人と結婚するというので家族が全員集合して横浜の実家で「境さんの品定め」が行われました。
境さんが自己紹介するとジャオ兄弟から質問がありました。
長男:「境さん、あなたは我々の娘を幸せにできますか?」
境:「はい、幸せにしたいです。精一杯努力します!」
次男:「海外でボランティア活動をしていたそうですが、これからどうするんですか?」
境:「国際協力の現場で働きたいと思います!」
三男:「国際協力ですか?それって儲かる商売なんですか?」
境:「いいえ、おそらく儲かる事は無いと思います」
三男:「儲からない仕事をするって、境さん、オレにはどういう意味か分からないんですけど」
長男:「おい、それは言い過ぎだろう。申し訳ありません、弟は妹の将来が心配なんです。それは私たち全員同じです。境さんは妹が好きになった人だから良い人だと分かります。ところで国際協力の仕事に商品を卸す商社とかではないのですか?」
境:「海外で展開する共同プロジェクトのコーディネーターをやるつもりですが、早い話が期間限定の契約社員みたいなものです」
次男:「契約社員の話だって?バカにするのもいい加減にしてくれ、そんな奴のところに妹をやれるわけないだろう!」
三男:「おれ達だって、苦労してそれぞれ会社の経営者になって稼いでるんだ!境さんみたいだと誰かにこき使われてたら、金持ちになれないんだよ!」
次男:「こんなアマちゃんに妹を嫁がせるわけには行かない、絶対ダメだ!」
三男:「境さん金持ちにならない男には用はありません、ジャオこんな男は諦めろ!」
境さんは在留中国人家系のビジネスに対する厳しさを、改めて知る事になるのですが自分の結婚話に暗雲が垂れ込める感じがして何とか口を挟もうにも言葉が出ませんでした。更に隣にいたジャオさんはしくしく泣きだしてしまったのでした。
長男:「‥‥お父さんから、境さんに何か質問がありますか?」
父:「境さん今日は遠くからわざわざ来ていただき、ありがとうございます。またこちらからご連絡しますので、今日のところはこれでお引き取り下さい」
「マズイなー」境さんはガックリして家に戻りました。
数日して、長男氏から境さんに電話がありました。
長男:「境さん、先日は大変でしたね。我々兄弟としてはジャオと境さんの結婚話は無かった事にすると決まっていたのですが、父が最終的にOKを出したので連絡しました。おめでとうございます!」
境:「ありがとうございます。もしかしてジャオが頼んだからですか?」
長男:「父親は我々兄弟以上にジャオが可愛いのです。その父がボクに言ったのです。身内に一人くらい国際協力とかいう変な事をする奴がいてもいいじゃないかってね。それでボクが他の二人を説得するように頼まれたんです」
境:「お兄さん、ありがとうございます」
長男:「まだ兄さんと呼ぶには早いです。それから我々兄弟は妹を不幸にする者は境さんでも許しませんから忘れないでください」
境さんたちがフィリピンに到着すると、知り合いのない土地なのに連絡がありました。それはマニラ中国系団体からのもので、集会に来て顔見せする機会(いわゆるイニシエーション)が与えられたのです。ジャオさんのお父さん新天地でも困ったことがないように、世界に張り巡らされた強力な組織を使ったのでした。娘を思う気持ちは何処も変わりありません!
境さんとは暑い夏に東京でお会いした事がありました。海外では日本から比べると大きな家を借りますが、ひとたび日本へ一時帰国して困るのでした。まだ、若いし持ち家なんてありません。家族で宿泊すると便のいい東京のホテルなど宿泊代がトンデモナイほどかさみますから、マカピー家のように義父母の家の一室に転がり込むパターンが多いのです。
境家も同様で横浜の実家に滞在すると、狭くクーラーがないし子供たちが飽きてしまうので、ジャオさんは子どもたちを連れて「涼しいデパート巡り」をしたり、すこし遠いけれどもお兄さんの箱根の別荘に滞在していたり苦労してました。
そんな間柄でしたが、お互いに活動する国が違うと次第に音信が途絶えていたのですが、なんと昨晩Facebookでその境さんから友達の要求が来たのです。ビックリです! 音信不通だった境さんが、マカピーが思い出したこのタイミングでコンタクトしてくるって、どう考えても不思議だよ!
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。シンクロニシティってあるのかも!