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マカピーな日々 ヨルダン紀行(9) #0026

マカピーです。

明日で1週間分の帯状疱疹の薬が終わります。後遺症的な痛みが残らずに良かったです。マカピーは幸運です。

さて以前ヨルダンは北海道くらいの国土の大きさとお伝えしました。最北部の(シリア国境)Irbidから南端の港町のアカバまで真剣に車で走れば6時間くらいあれば行けます。またサウジアラビア側やイラク側は土漠(ド爆)と呼ばれる荒野が広がっています。

ジラジラと太陽に照らされて地温が高くなると荒野に蜃気楼が見えることがあります。まあ巨大な「逃げ水」現象なのですがマカピーも最初それに気づいた時にはまんまと騙されました。

アフリカのナミブ砂漠を旅して大西洋側のWalvis bayに向かう荒野の一本道を爆走していると地平線のかなたに海が見えてきました。半島のようなものがありますからだいぶ海に近づいたと考えました。

ところが、しばらく走ると海岸線の様子がおかしいのです。半島だと思った地形が沖合の島に変化しました。運転手に「あの海はSwakopmund側かな?」と尋ねると「あそこは砂漠。大西洋は正面だ」「えええ?じゃああの水は海じゃないの?」髭面の運転手はただ私の顔を見てニヤリとしただけで運転を続けるのでした。

あれほど壮大な蜃気楼を見たのは初めてだったので少々マカピーの気持ちは動転しました。「砂漠を旅している人が出会う蜃気楼を馬鹿にしていましたが、本当だったんだ」自分で経験しないとわからないことは世の中に沢山ありますね。

死海道路を南下してアカバに向かう際にはイスラエルとの国境が1㎞ほどに迫ってくる場所があります。もちろん軍事境界線がありあちこちに監視塔が建っています。下手な動きをすれば撃たれるのでしょうか?

ヨルダン側は土漠が続く相変わらずの荒野なのですがイスラエル側を眺めると結構な緑が見えます。その多くがナツメヤシの農園らしいのですが砂漠での営農を可能にした、節水灌漑施設で農業をしているのでしょう。そんな中イスラエル側に蜃気楼が見えました。農園の周囲が湖水で囲まれたりするのが何とも奇妙でした。

それでもこの地方に水が不足しているのは両国とも同じです。更に灌漑水で流入量の少なくなったヨルダン川をはじめとする河川の影響もあり、死海の海面も毎年1m程低下するほどで、今世紀中には死海の面積はずっと小さくなると予測されています。

マカピーが以前説明したように海面下400mにある死海ですから、「アカバの水を引いて死海に注ぎ込めばいいじゃん!」と考えた人が本当にいたんですね。

この壮大な計画をRed to Dead(紅海から死海)といいます。巨大なパイプラインで落差400mを下るのですから当然発電もできそうです。それから淡水化装置を稼働できればヨルダン渓谷の土漠地帯を緑化する事だって可能です。処理した水を死海に戻す?のでミネラルを採取している産業にとっても悪影響はないし海岸線が後退してしい困っているリゾートホテルも喜びます。

環境アセスメントがどうなっているのか分かりませんが、この超乾燥地域を緑化する事で何かひどい環境問題が起こるのかおそらく調査済みでしょう。ただヨルダンとイスラエルとの共同プロジェクトで中東問題もからむので、進展が無いように見えます。

少なくともパイプラインやその基礎工事が始まった様子もありません。マカピーはヨルダンの農業開発に関わったのでこの地方の水問題の重大さはよくわかります。早くRed to Deadを進めてくださーい!

マカピーでした。では次回もお楽しみに。

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