そうか、こっちで捕鯨していたんだ! マカピーな日々#0521
マカピーです。
「マカピーさん、休みの日にでも博物館に行って見たらいいかも?アパルトヘイト関係のところとか、いろいろあるから楽しめますよ」
日曜日の朝、相変わらずのゲストハウス内散歩をしていたら、先日事務所スタッフに言われた事を思い出しのでした。
マカピーは南アのプレトリアにいます。
でも本来の仕事現場はダーバンというインド洋に面した都市なのです。事情があってダーバン着任が遅れていたんです。
ようやく来週中には最終目的地に行くめどがついたので、プレトリアでの休日は今日が「最後」のチャンスかも?! まだプレトリアで行った場所って庭師のジョンに連れて行ってもらったユニオン・ビルディングしかないじゃん!
あらら、こうしちゃいられません! 急げ急げ!
やっぱりこうした時はの頼りは「地球の歩き方」
そこで動物園か博物館の二者択一となりました。
双方とも距離的には同じくらいですが、「地球の迷い方」によると動物園は南アフリカ最大規模を誇る動物園で60万㎡を誇ると知って、ザンビアの動物園でも歩き回りヘトヘトになった事を思い出したのでパス!
「ディトソング自然史国立博物館」に決定。
ウーバー配車サービスで街の中心街にある博物館にやって来ました。
ワーッ、立派な歴史を感じさせる大きな博物館ですね!(クジラの骨格標本前庭にありました)
相向かいには、これまた古い裁判所がありヨーロッパの街の雰囲気ですね。
階段を上って入館すると、まず最初に来場の記帳させられました。
次に支払いする際に尋ねました。
マカピー:「現金かカード払いどちらがいいの?」
係:「どちらでもOK!」
マカピー:「じゃあ、現金で払います。えーと(料金表を見ながら)45ランドだね」
係:「貴方は外国人でしょう?こちらを見てください」
彼が指したのは料金表のずーっと下にある別の表で「International:70R」とあるではないですか!これって外国人観光客別料金って事だよね!
マカピー:「へー、じゃあここの国のID(身分証明書)があれば45ランドなの?」
係:「そうだよ。でもアンタはID持ってんの?」
マ:「それがさ、申請して2週間以上も経ってまだ発行されていないんだ。明日あたりには入手できると期待してんだけどね。まあ、今日のところは70R払うよ!」
と100ランド札を出すと、釣銭を探していた係がようやく
係:「はいよ、釣銭だ。ほら55ランド」
マカピー:「・・・なんで、30ランドでしょ?」
係:「そして、これが45ランドの領収書だ!」
マカピーに白い歯を見せてニッコリ
マカピー:「ありがとう!今日も良い一日を!」
マカピーは係をだまそうとしたのではなく、本当に南ア政府発給のIDを申請中だったんです。それでダーバン行きが延びていた理由でもあったのですが、まさか係がジモチー価格にしてくれるとは思いませんでした。
もっとも、彼にしてみたらどちらでも構わない事だったのかも知れません。でもマカピーのいう事を少しでも信じてくれたようにも思え嬉しかったのでした。
この自然史博物館はかつて「トランスバール博物館」と呼ばれ100年以上の古い歴史を誇り、野生動物のはく製がドーンと壁から突き出ています。
マカピーがザーッと見た感想では、この博物館の特徴は4つあると思います。
一つ目が、「鉱物資源のコーナー」でこの国がいかに世界に名だたる鉱物資源大国であるかというのが分かります。国内だけでなく世界からの鉱物標本があり楽しめました。(下の写真は自然の銅で緑青(ろくしょう)がありますが来館者が触っているところがちゃんと銅の色しています!)
二つ目が、「古生物学コーナー」では「ボルト農場」からの発掘で古代人の人骨などが貴重な発見が相次ぎ化石からの古生代の研究がこの博物館を中心になされたされたことで子供たちの化石発掘体験コーナーなどもありました(現在は閉鎖中)
三つ目は、今回マカピーが心ひそかに期待していた「鳥のコーナー」です。 毎日多くの種類の鳥たちがゲストハウス内の茂みを訪れているのでそのヒントが欲しかったのです。
実は動物園でも生きたものが見られるのですが、こちらではしっかりと分類され本物の標本コレクションが持つ重厚な歴史が感じられました(写真はサンバード。美しい!)
そして最後の四つ目は「自然史コーナー」で生物の起源から現代の動植物の変遷と特徴を教えてくれます。「昆虫のセクション」では昆虫食を扱っていて、マカピーもザンビアで食べた事のある「乾燥キャタピラー」や韓国製「蚕サナギ」の缶詰、そして日本からは「信州のイナゴの大和煮」缶詰がありました!(日本語を解さないのでディスプレイがいまいちですけど)
更に「クジラのセクション」で驚いたのはマカピーが子どもの頃に見たことのあるポスターが貼ってあったのでした。
それは「大洋漁業」のものでしたがマカピーには見覚えがあるのでした。
もともと戦前から南氷洋捕鯨をしていた会社だったんですね!
さすがに古色蒼然のポスターでしたが、内容はマッコウクジラとナガスクジラ全身から利用できる商品名がびっしりと図説され、捨てることなく利用されている様子が分かりました。
更には、日本の江戸時代と思われる捕鯨の様子が描かれた彩色図があり日本の捕鯨文化が分かると喜んだのも束の間、その下にはダーバンにあったUnion Whaling Company(既に廃業)が供給していた「鯨肉ブロックの箱」が日本語でしっかり印刷されていたのでした!
しかもその上の展示が「捕鯨反対」キャンペーンのもので
つまり、捕鯨はもうないのよ!っていうメッセージでした。
マカピーの浅い知識では、かつて世界中でクジラの捕獲をした目的は「鯨油」で、油が搾れれば他の部位は廃棄していたと聞きます。確かに日本も昔は防虫効果をねらって田圃に鯨油を流したりしたそうですが、先述のポスターにあるように殆ど捨てることなく利用し尽くしたそうです。
ただし、こうした理由付けは昭和前半までだったと思います。日本は世界でも最先端の工業化が進み代替品があったのに、近年の「調査捕鯨」の意味どうだったのでしょうか?
ポスターにあったテニス・ラケットのガットも麻雀の牌も、とうの昔にプラスチック製品にとって代わっているからです。
マカピーの脳裏にはまだ、南氷洋で捕鯨をするナレーション付きの映像が蘇るのですが、まさにその海とは、ここ南アの沖合だったんですね!
展示にあったクジラ解体用の大きな薙刀(ナギナタ)のような包丁が錆びつき、捕鯨船(キャッチャーボート)からクジラに向かって打ち込まれた、鋼鉄製の大な銛(モリ:ハープーン)がひしゃげていたのを見て「栄光の捕鯨時代」が遠い過去のものだったと確信したのでした。
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。日本の捕鯨を南アで知るとは!