ちょっとキモイ?繁殖の話 マカピーな日々#0245
マカピーです。
突然畜産のお話をしまーす。
牛や豚などの経済動物の繁殖は、現代ではほとんどが人工授精で行われています。
牛の場合は優良種のオスの精液が受精可能濃度まで希釈されて沢山のストローに分注され液体窒素の中で出番を待っています。
既に種オスが死んでしまっても精液だけが売買されていることも普通にあります。それを発情の来たメスの子宮に入れて受精させるのが人工授精です。
豚や牛といった経済動物ではほとんどが人工授精に頼ってるでしょう。アメリカに酪農実習に行った時もホストファミリーの息子がガンガン発情の来たメス牛に人工授精していました。
普通に流通している精液を購入出来て、農場には液体窒素の保存ボトルもありました。(4人兄弟の二人が獣医で二人が酪農家という家柄)
それでも、別の放牧場に2頭のオス牛がいて若いメス牛がうまく受精しなかった場合の補完をしていました。つまりラッキーなことにこのオスはハーレムのような生活していました。
でも、マカピーはそこへ給餌(えさやり)に行くときはビビってました。
だってわれわれ人間がその柵内に入ると、玉付きのオスが怒り狂って突進してくるんです。
マカピーたちは気付かれないようにエサを給餌台に投げ入れると、今度は襲われないよう必死になって柵の外に逃げ出しました。
ともかく狂暴なオス牛は気に入らないと怒り狂うのです。そして背後で怒りにまかせてオス牛が木製の重い給餌台を、その角でいとも簡単に宙に放り投げている姿には背筋が凍ったものです。
ヤベー!
話は変わって、マカピーは日本の養豚会社の繁殖部門で働いたことがあるのですが、オス豚(種豚)の精液を採取して顕微鏡で精子が元気か、奇形がないか確認して希釈液と混合させた後、発情の来ているメス豚(母豚)にカテーテルを使って注入しました。
そのカテーテルとはオス豚のペニスの形なのですが、最初はその異形に驚きました。40センチほどのゴム製の管の先端がネジ状になっているのです。
何故こうした形状になっているのかというと、しっかりと結合させるためなんですね。
実際にカテーテルを挿入して最後にクルクルの回すとピッタリして固定されます。ここで大きなシリンジに入れた希釈精液を注入します。
希釈するのは要するに三元豚とか呼ばれる肉質の良い豚を作るため、掛け合わせに必要なオス豚の精子を出来る限り発情の来た沢山の母豚に注入するためです。
実際、精液を採取する際に偽牝台と呼ばれる鉄製の丈夫な台があり、性的興奮したオス豚が乗り上げると、まずペニスがおさまっている袋状の中身を絞り出します。ここは尿だまりで通常オス豚はペニスを出さないで尿だまりの袋の中で放尿するのです。
この尿だまりは長期間尿がたまるので発酵しているので、ものすごい悪臭を放ちますから、繁殖担当者は毎日の作業でその悪臭の素と格闘することになります。
もちろん、作業が終わると毎日お風呂に入るのですが、異臭が離れないので街に行く際はオーデコロンなどをドッとかけることになります。
実はこの匂いは発情の来たメス豚にはてきめんです。
上手く受精できなかったメス豚(母豚)は再発情が来ると交配する場所に移動させるのですが、オス豚の臭いをまとったマカピーが近づいただけで、まるで石のように固まってしまうメス豚がいるのです。
200㎏ほどあるメス豚ですが、こうなると押しても引いても動かないのです。その場で人工授精するか、人工授精の準備が間に合わない場合はオス豚においで願って通路で頑張ってもらったりしました。
おそらく普通の人は切り身になったポークでしかお目にかかることはないと思いますが、生のオス豚は400㎏を超える巨体です。精液を採取する際にうまく偽牝台に乗れずにずり落ちてくるヤツや後肢が弱く自重に耐えられないやつがいるとそれをマカピーが尻尾を掴んで引き上げながら「もうちょっと、がんばれ!」と支えるのですが大変でした。
採取する人も偽牝台の下で保温された広口瓶を片手にいつ巨体が降ってくるか神経を凝らしながらの命がけの作業になるんです。
だから、人工授精の精液採取は必ず二人での作業でしたけど、今でも同じ事やっているのかしら?
ちょっと昔のマカピーのマニアックな経験談をお話をしました。
最後までお時間を割いてお読みいただき感謝します。ではではまた明日。
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